クリマディトスカーナ(イタリアン/本郷三丁目/東京)～イタリアの田舎町にあるような温かな空間…

店先にそびえる巨大な楠木

オリーブの香りが引き立つ絶品パスタ

「ランチ5,000円以内でちょっと贅沢なイタリアンを食べたい」
都内で良いお店無いかな～。そんな思いで検索を掛けるものの、世間はもう12月。この時期になると高級店は揃ってクリスマスの特別メニューに切り替わり、普段より料金設定が高くなってしまいます。
私は友人と美味しい食事をしたいと思った時決まって利用するお店があるのですが、残念ながらそこも12月ということで値上がり状態。気軽に女子会とはいきません。
悩みに悩んだ末訪れたのは本郷三丁目駅から徒歩5分ほどの場所にある「クリマディトスカーナ」というレストラン。看板の無い隠れ家イタリアンで、シェフの佐藤真一氏はアンティカ・オステリア・デル・ポンテ(2つ星)、ダル ペスカトーレ(3つ星)、エノテーカ ピンキオーリ(3つ星)など、本場イタリアの名店で5年間修業を積んだという本格派です。
駅からのアクセスを調べていると「大きな楠木が目印になります」という文字が。こんな住宅地に？と半信半疑で進んで行くと…ありました！しかも想像以上の大きさです。「本郷弓町のクス」として親しまれているこの巨大な楠木は文京区の保護樹木にも指定されている特別な樹。推定樹齢600年とも言われていて、「クリマディトスカーナ」の店前に、まるでこのお店を守護するかのように根を張っています。

マグレカナールのロースト

今回は一休で予約して、1ドリンク付き4,180円のランチコースをいただきました。「クリマディトスカーナ」は名前の通りトスカーナ料理を得意とするお店なのですが、そもそもトスカーナ料理の特徴として挙げられるのが「その土地のものを使用したシンプルで豪快なもの」ということ。自然豊かなトスカーナでは料理にオリーブがよく使われ、素朴な料理が楽しめます。そしてやはり「クリマディトスカーナ」でもオリーブの存在が立っているように感じました。
まず出てきたのはひよこ豆のクレープ。アンコウのパンチェッタやカリカリとした黒米と合わせていただきます。素朴で優しい味はイタリアの田舎料理という言葉がふさわしく、私が実際にイタリアの田舎を訪れた時に食べた味と遜色無いように感じました。
次いで出てきたのはパヴェッテと呼ばれる、卵黄を練り込んだ手打ちのロング麵のパスタ。こちらは小笠原のソデイカ、群馬の寒締めほうれん草をオリーブオイルベースのソースで和えた一品です。オリーブの実やクルトンが良いアクセントになっていて、口に入れた瞬間オリーブの香りが口いっぱいに広がります。そこにイカの旨味やクルトンの香ばしさ、ほうれん草の風味が加わると絶品で、太めのもちもち麵との相性も抜群でした。

ナッツの香りが香ばしいパンナコッタ仕立てのデザート

メインはマグレカナールというフォアグラ用に飼育された鴨を使った料理。特に胸肉にはほのかにフォアグラの香りが移っているそうで、今回はそんなマグレカナールの胸肉をローストしたものをいただきました。付け合わせは菊芋やローズマリーハーブのパウダー。肉の旨味を邪魔しないシンプルな味付けで、カリッと焼かれた皮面とジューシーなお肉が美味しかったです。
そしてデザートにはパンナコッタを。ナッツとチョコと合わせて香ばしく仕上げており、4,180円のコースとは思えないほど最後まで美味しくいただくことが出来ました。
都心にあり便利なのは勿論のこと、個人的には個室や半個室の存在も有り難かったです。個室利用の場合プラスで個室料金を請求して来るお店が大半で、場合によってはランチのコース代よりも高いなんていうことも。しかし「クリマディトスカーナ」ではそれらを無料で利用することが出来て、非常に良心的だと感じました。
店員さんの雰囲気も朗らかで、ここだけ本当にイタリアの田舎町のような温かな空間。気軽に本場の味と雰囲気を味わいたい方にお勧めのレストランです。(2021年12月訪問)