名古屋のフレンチを食べた経験がなかったので、評判のいいお店を選んで、お伊勢さん参拝の帰りに寄ってみることにしました。地下鉄新栄駅の美術館のあるビルの地下2階にあるセンスのいいお店です。中華料理風の店名がユニークで、かなり変わった料理を出すフレンチかと思いきや、お店はかなりエレガントで正統派のフレンチとして名古屋を代表する存在だとわかりました。食後東京に戻る新幹線に乗るため18時オープンと同時の早いディナーの予約を取り、それも早く着きすぎて17:45には入店。開店前かと思っていたら、スタッフの方は完璧にスタンバイして当たり前のように笑顔で出迎え。さすがに一流店と感心しました。以前高級旅館に早めに着いたら、制服に着替える前のTシャツ姿のスタッフにスルーされたことがあったので、大きな違いでした。
日本のお店をはじめイタリアやフランスで修業した後、2001年にこのお店をオープンさせた上井(うえい)シェフ。ほぼすべてが真っ白のお皿に載せて出てくる料理はどれも正統派で、一つ一つが丁寧に作られています。安心感があってどれも間違いがないと確信できる料理です。クラシカルゆえオーソドックスなものが多い中でも、独創的で驚いたものもいくつかありました。
まずアミューズ3品の中の1品。タルト生地の上にゼリーでコーティングしたトウモロコシのジュース。口の中でプチッと溶けて広がる甘いトウモロコシのジュース。爽やかな幸福感。小さなアミューズでも驚きを与えてくれることがあるのです。
スペシャリテのひとつオマール海老と雲丹のコンソメジュレは、予想以上のボリュームですが、あっさりしているので適量でした。爽やかで万人受けする前菜です。カリフラワーのソースは珍しくはないものの確実に美味しい仕上がりです。
メインのお肉の付け合わせのニンジンが蕪剥きしてグラッセしたり、ズッキーニの輪切りの上におくらや枝豆、蕪を載せたり、手が込んでいて見た目も美しいものでした。
2番目のサプライズはデザート一皿目のスイカのソルベ。角切りのスイカも混ぜた甘いスイカのソルベの上に塩のなめらかなアイスクリームを載せて登場。これぞ「スイカに塩」です!とスタッフもジョークを言っていたけれど、ジューシーで夏らしく、お口直しに最高。魚と肉の間に出てもいいけれど、これはたくさん食べたいのでデザートでよかった!
バスク風の料理じゃないけれど、こうしたサプライズが所々に潜んでいるのが楽しいコースでした。もっとたくさんの驚きを加えれば、このお店に通う人がもっともっと増えそうな気がしました。
(2020年9月訪問)
レストラン名 | 壺中天 |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 名古屋市東区葵1-19-30 マザックアートプラザB2 |
TEL | 052-508-8850 |
予算 | ランチ5000円から ディナー9900円から |
座席 | 40席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 予約可 |