新潟県村上市は古い城下町で、鮭の町として知られています。2020年、初めて新潟版ミシュランが発行され、店主・山貝真介氏の料理が1ツ星に選ばれた「割烹 新多久」に軽いランチにお邪魔しました。
城下町らしく石畳と黒い板塀の屋敷が立ち並ぶエリアにあって、存在感を示す広い敷地の中に宴会場なども持つ新多久。その一画にあるこのお店は、カウンターのほかテーブルも3つほどあります。
ランチの後、山形の鶴岡に向かう列車に乗る予定でしたが、2時間に1本しかないので、ここで過ごせる所要時間は1時間です。3000円の一番安いランチを頼んでいたので余裕で間に合うと思っていたら、通されたカウンターに置かれていた立派なお品書き。素晴らしい達筆で私の名前とメニューが書かれています。それも全8品も!!これは下手をすると1時間半以上かかるかも。
でもせっかくなので列車は気にせずゆっくり食事を楽しもうと、生ビールやワインも注文することに。お料理は少しずつ色々出るのでお腹にもたれなくてとても私好みです。きのこのお浸しと熟した柿の白和えの先付。空腹に柿の柔らかい甘みが染み渡ります。ほっとする美味しさの出汁の椀物の後は、2種のお造り。大ぶりの鏡鯛は肝も美味しいので少し炙った刺身に何ともいえぬコクがある肝ペーストと山葵を添えてあります。刺身をそのまま出すことなく2ひねり加わるのがミシュラン店です。
次はいよいよ名産の鮭の刺身。昆布〆にして酢に通し一瞬笹の葉に包んでから出されます。造り2番目にしてまたもや強力な変化球。さっぱり、ねっとり、他店とは一線を画す逸品です。
赤海老の茶碗蒸しは海老をすべてすり潰して濾して入れてあるので具はないものの、赤海老の香ばしい香りがくっきり浮き立ちます。
揚げ物は湯葉揚げで、鮭の身のつくね状のものを湯葉に包んであります。熱々で中は柔らかくホクホク、鮭の美味しい食べ方第2弾。
あとは炊き合わせとご飯だけなので、列車に間に合いそうとその時点で判断し、女将さんにその旨伝えると、「大丈夫ですよ。慌ただしくなってすみません」とこっちの都合なのに謝りつつ炊き合せとお食事を同時に出してくれました。蕪菜と胡麻を混ぜた炊き立てご飯は、さすがは米どころの絶品。少し食べると、残りはお弁当にして持たせてくれました。慌ただしいランチでも十分楽しめたのです。(お弁当は後で美味しくいただきました)
越後村上は春は桜鱒、夏は鮎、秋は鮭、冬はズワイガニとのど黒、そして村上牛も有名です。もちろん日本一のお米と地酒もあります。こんなグルメ天国村上、今後も要チェックの地となるでしょう。
(2020年10月訪問)
レストラン名割烹 新多久
ジャンル | 日本料理 |
住所 | 新潟県村上市小町3-38 |
TEL | 0254-53-2107 |
予算 | 昼3000円~夜5000円~ |
座席 | 30席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 予約可 |