愛知県・名鉄犬山駅からタクシーで10分ほど。旅館の前にタクシーが留まると、間もなく仲居さんが姿を現し私たちを出迎えます。誰もが一度は見たことのある、至って普通の光景。しかし驚いたのはこの後。なんと仲居さんが私たちのタクシー代を代わりに支払っているではありませんか!
どうやら送迎車の代わりに、名鉄犬山駅からであればタクシー代を負担してくれるシステムのようで、運転手さんも訳知り顔。こんなことをしてくれる旅館は初めてだったのでビックリしましたが、この宿を経営しているのがマリエール東海というウエディング関係の会社だと知ってなんだか納得。だからこんなにサービスが行き届いているのか…。これは宿の期待も高まります。
日本最古の木造天守閣を持ち、国宝にも指定されている犬山城。その近くを流れる木曽川沿いに、まるで旅人を出迎える灯台のように明るく灯る温泉宿「灯屋 迎帆楼(あかりや げいはんろう)」があります。
犬山城を背に美しい木曽川を見渡せるこのラグジュアリーな宿は、全10室のオールスイート。私が泊まった「ひいろ」という特別室は開放感のあるモダンな内装で、2階に小さな畳部屋もあります。実はこの2階部屋、犬山城を見るためだけに造られた特別ルーム。というのも、1階にある大きな窓は木曽川に面しており、どうしても後ろにある犬山城までは見えません。つまり、敢えて木曽川とは反対の方向に2階部屋を造ることで、部屋に居ながら木曽川と犬山城どちらも楽しむことを可能にした、なんとも贅沢なお部屋なのです。しかも10室あるお部屋はすべて半露天風呂つき。もちろん眺めも抜群で、四季折々の犬山の景色を味わうこともできます。
迎帆楼で楽しめる温泉は、犬山城の別名「白帝城」にちなんで名付けられた「白帝の湯」。犬山で唯一の100%天然温泉であると同時に、肌がすべすべになる「美人の湯」でもあるこの温泉は、旅の疲れをとるのにぴったり。大浴場がない代わりに犬山城が目の前に広がる貸切風呂があるので、是非お部屋の半露天と合わせて楽しみたいものです。ただ、犬山城が近くてよく見える反面、向こうから望遠鏡で覗かれる心配もあるそうで、備え付けの湯浴み着を着用するのがいいでしょう。
また食事は奇をてらった驚きのある料理はないものの、味付けもちょうど良く適量。尾張や美濃地方から仕入れた新鮮な野菜や、木曽川で捕れる川魚など産地にこだわった食材たちは、料理長の手によって豪華な懐石料理へと生まれ変わります。特に和牛の幽庵焼きが素晴らしく、熱々ではないものの旨味があり絶品です。
まるで穏やかな木曽川の流れのように、ゆったりとくつろげる迎帆楼での宿泊。この贅沢な環境を満喫しに、犬山まで足を運んでみてはいかがでしょうか。(2020年11月訪問)
旅館名 | 灯屋 迎帆楼(あかりや げいはんろう) |
住所 | 愛知県犬山市犬山北古券41-6 |
TEL | 0568-61-2204 |
お風呂 | 貸切風呂あり |
予算 | 2名1室利用の場合、1人44,000円~(2食付き) |
露天風呂付客室 | 全室半露天風呂付き |