愛媛県で知られる砥部焼の故郷。松山近郊に位置し車で約30分。200年も前からあると言われる通谷(とおりだに)池という溜池の畔に、2010年オープンのこの高級ホテル「TOBE オーベルジュ リゾート」はあります。
レセプションの棟から客室のコテージへはカートで坂道を登って行きます。全部で10室のこじんまりしたホテルです。大きなガラス張りの室内はゆったりと洗練されたインテリアでとてもスタイリッシュ。春には目の前の桜並木が満開で美しく、秋には紅葉も楽しめ、四季折々の池の風景を眺めながら寛げます。目の前の桜の木には鳥の巣箱が一つ取り付けてありました。
砥部焼のランプシェードや洗面台のシンク、キーホルダーにもブルーの柄の砥部焼の小物が使われています。道中寄って来た歴史的な街並みの内子で見つけた和ろうそくがここのバスルームにも置いてありました。炎が大きく煙が出ない不思議なろうそくです。
ロビーラウンジ、バー、レストランを含め室内もすべて最低限に照明を落としてありお洒落。大きな石造りのバスタブはまるで展望風呂のようで、ワイドな風景を眺めつつバスタイムも楽しめます。テレビはクローゼットの奥に電源を抜いて隠すように置かれ、リモコンも引き出しに隠れています。よほどでないとテレビは観るなと言う感じで面白い。コーヒー豆とミルが置かれているので、手でコキコキ廻して毎回コーヒーを淹れる楽しみができました。香りも最高!ウェルカムドリンクで、シャンパンなどと一緒に選べたせとかのミカンジュースはさすがみかんの故郷と感心する美味しさ。
オーベルジュと名が付くだけあって、ここのディナーはかなりレベルが高いものでした。塩味が私にはちょうどいい薄さで、アミューズの3品はどれも抜群の逸品ぞろい。渡り蟹のフランは優しくホッとする味。トラハゼのベニエもスモモのコンフィチュールで美味しく頂きました。大皿のオードブルは海の幸の盛り合わせ。次に出た「はったいこ」はじゃがいものまろやかなポタージュに大麦の粉であるはったいこの香ばしさと独特の風味がプラスして絶妙な味わいのスープでした。
食事が進むにつれ、気になったことがありました。カウンターの中のスタッフが私たちに話をしないのです。その夜は私たちを含め2組しかゲストはいません。多忙ではない時はもっと話しかけてほしいものでした。隠れ家バーじゃないのです。初めて訪れた私たちはいろいろ話を聞きたいのですが、スタッフは客との会話を楽しもうとは思っていないようで、料理の説明だけするマニュアル通りの対応です。愛想のいいお兄さんが一人だけいましたが・・・。そういうサービスができないなら、わざわざカウンターに座らせるべきじゃないでしょう。最初の出迎えからそうでした。こちらが訊いた事だけに短く答え、会話は全く広がらない。
高級オーベルジュを目指すなら、「ひらまつ」などのスタッフの接客を体験してみた方がいいのではないかと感じました。料理もよく設備もいいので、温かみを感じる対応をすれば、もっともっと素晴らしいホテルになるのではないかという感想でした。 (2021年1月訪問)
旅館名TOBEオーベルジュリゾート
住所 | 愛媛県伊予郡砥部町宮内1622-7 |
TEL | 089-960-7501 |
お風呂 | 室内風呂のみ |
予算 | 2人部屋利用の場合1人約46000円~(2食付き) |
露天風呂付客室 | 展望風呂付き |