独学。どんな世界でも困難で計り知れない努力が必要でしょう。けれど料理の世界で独学で成功することがはたして可能なのでしょうか。・・・・・答えはYES。今回訪れた「レストラン オオツ(OHTSU)」のシェフのことを知って私はそのように考え直しました。
オーナーシェフの大津高志氏は、35歳の時脱サラして料理人に転身。修業に行くこともなく独学でフレンチのシェフとなり、1991年に地元水戸でこのお店をオープンされたのです。むしろ調理師免許を持っていたのは奥様の方で、二人三脚で30年間頑張って、食べログの茨城県のグルメランキングで1位の栄誉を誇るお店となったのです。(2021年2月現在)
フランスや有名店で修業するのが当たり前の業界でそれをしないでここまで昇りつめられたことに驚きと感動を覚えます。お二人であらゆる店を食べ歩いて、素人のようになんでも質問したそうです。プライドを捨てないとできないことです。
そうして研究を重ねてこられたのですが、今では他の有名店のシェフが研究のためこのお店に食べに来るため、シェフは食べに来られる側になったとはすごいことです。たくさんのネットワークを持ち、顔が広いことといったら!!マダムと話しているだけで楽しくなります。そう。気さくで優しいマダムとの会話もこのお店の大きな楽しみとなるはずです。美味しい料理の味が2倍にも3倍にも素晴らしいものとなります。
パリのお店のような素敵なエントランスを入ると2階にお店があります。12000円のディナーコースを頂きました。アミューズ、前菜2品、魚、肉、デザートの5コース。
アミューズの菊芋は蒸してクリーム状にして皮を揚げたのに詰めてあり、皮ごとパリっと。まろやかで香ばしくて美味しい。次の前菜は蟹。すり身とエスプーマにトマトの透明ジュレ下にはアボカドのムースも。文句なしに絶品。2番目の前菜はロワールから届いたホワイトアスパラ第1便。春から初夏のヨーロッパを思い出します。黒トリュフのソースと贅沢にトリュフのスライスもかけて、ああ美味しい。
魚料理は丹後の甘鯛です。鱗だけ別にバリっと焼いてあり、身はしっとりと焼き上げています。付け合わせの蕪やその泡、レモンソースもベストマッチ。三重のランプ肉のローストはめちゃ柔らかくて味のいい牛肉です。付け合わせの根菜類も優しい旨味。私が大きな肉料理まで完食したのは初めてかもしれません。美味しいと食欲が倍増するんでしょうか。
マダムいわく、かつてはイノベイティブ風にユニークな料理もいろいろトライしたけれど、行き着いたのは今のわかりやすい料理だそうです。その言葉のように、ここのフレンチは決して変にこねくり回したりあれこれ必要以上に手を加えてユニークなものにしたりせず、素直に美味しいと感動できる、クラシックでありながら最先端ともいえる味に着地されたのです。素材も料理法もメニュー構成もすべてが大満足のディナーでした。
そして何よりマダムとの楽しいひと時、最後にお会いでき、優し気で実直そうなシェフとのやり取りも、忘れられぬ思い出となりました。
(2021年2月訪問)
レストラン名 | レストラン オオツ(OHTSU) |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 茨城県水戸市白梅 1-5-4 |
TEL | 029-226-8502 |
予算 | ランチ、ディナー共 12000円~ |
座席 | 14席+個室 |
個室 | あり |
予約の可否 | 完全予約制 |