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    BYAKU NARAI(奈良井宿/長野県)~中山道・奈良井宿で他では味わえない非日常体験を!!

    BYAKU NARAI
    外観。一見宿のようには見えませんが…

    外観。一見宿のようには見えませんが…

    今回の舞台は長野県奈良井宿。江戸時代の町並みが今も残る場所で、まるでタイムスリップしてきたかのような風情が味わえる町です。そんな奈良井観光のメインストリートであり、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている場所にあるのが「BYAKU NARAI」という町屋ホテル。周囲の建物に溶け込んだこの宿は一体どんなところなのでしょうか。実際に泊まって調査してまいりました!

    奈良井宿について

    時代劇に出てきそうな町並みが広がります。

    時代劇に出てきそうな町並みが広がります。

    江戸時代、江戸・日本橋を起点に五街道が整備され参勤交代の際に大名たちがこの街道を通ったというのは、歴史に明るくない人でも知るところだと思います。今回の舞台である奈良井宿はそんな五街道の一つ、中山道に位置する町です。長い長い旅路で欠かせないのが宿の存在ですが、奈良井宿は中山道のちょうど真ん中に位置する宿場町でした。

    どこを撮っても絵になります

    どこを撮っても絵になります

    今でも当時の町の面影が色濃く残っていて、その町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています。
    江戸時代から曲げ物や櫛、漆器などの木工業が盛んで、今も変わらず土産物として人気があります。

    BYAKU NARAIの部屋

    出来たばかりの宿なので清潔感があります

    出来たばかりの宿なので清潔感があります

    今回泊まったのはそんな奈良井宿にある「BYAKU NARAI」というホテル。創業1793年の酒蔵で木曽五大銘柄酒と呼ばれる「旧杉の森酒造」の建物と、曲物職人の住居を改修して出来たそうで、2021年の秋にオープンしたばかりです。情緒ある町並みに溶け込んでいるため酒造と間違えて入って来る人も多いです。実際私がロビーでチェックインをしている時、酒屋さんと勘違いした人が来店して、スタッフさんが「ここホテルなんですよ~」と説明している姿が見られました。

    陽が差し込むと陰影がついて綺麗

    陽が差し込むと陰影がついて綺麗

    私が泊まったのはロビーの真横に位置する101号室のお部屋。天窓が高い場所にあるのがユニークで、ベッドルームの他にリビングルームもついた和モダンのお部屋です。天窓から陽の光が差し込むと部屋に陰影が生まれ、雰囲気もオシャレで抜群。お部屋には陶器で出来た露天風呂もあって、ちょっと贅沢な気分も味わえます。古民家の良さを生かしつつ、個性的なホテルに再生されているのが凄く良かったです。
    ただ、その一方でお部屋の防音対策は改善する必要があるとも感じました。ソファでのびのびとくつろいでいる時、隣の部屋の人が露天風呂に入っている音や話し声などが全て筒抜け。木造家屋のため防音対策は難しいかもしれませんが、こちらの声も向こうに聴こえているかもと思うと部屋にいるのに声のボリュームに気を遣ったり、落ち着きません。

    BYAKU NARAIの設備

    山の湧き水を引いて沸かした大浴場

    山の湧き水を引いて沸かした大浴場

    こうした町屋ホテルとしては珍しく大きめの大浴場があるのも評価したいポイントです。温泉ではありませんが、ここでは山の湧き水を引いて沸かしているそう。山の湧き水は奈良井宿の生活用水であると同時に、日本酒製造の仕込み水として活用されるなど、この地域の人にとって欠かせない存在です。それを聞くとなんとなく特別な気分にさせられます。元々は日帰り入浴として開放する予定だったそうですが、このご時世ということでその話は見送りになったのだそう。宿泊する側としては、日帰り入浴客でごった返しているお風呂は好きではないので、今のままを貫いて欲しいなと思いました。

    宿泊客であればいつでもフリーで飲めちゃいます

    宿泊客であればいつでもフリーで飲めちゃいます

    またフリードリンクのサービスも便利で良かったです。お部屋のミニバーには水しか入っていないのですが、レセプションの横にジュースやお茶などが入った冷蔵庫が備えられており、宿泊者であれば好きなだけ持って行けるという仕様になっています。大浴場から帰ってくる際ついでにジュースを籠に入れてお部屋に持ち帰れるというのは素晴らしい。
    もちろんバーも「BYAKU NARAI」を語る上で欠かせない存在です。同施設内の「suginomori brewery」と提携したバーは、日本一標高が高い蔵元で製造された日本酒が味わえる場所となっています。

    BYAKU NARAIの食事

    すき焼き風に味付けられた焼き饅頭

    すき焼き風に味付けられた焼き饅頭

    食事は朝夕共に酒蔵を改装したレストラン「嵓KURA」でいただきます。なんとこのレストラン、日本のトップシェフとして数えられる「傳」の料理長・長谷川在佑氏が監修しており、塩尻のレストラン「ラ・メゾン・グルマンディーズ」の友森隆司氏をシェフとして迎えているのです。地域の厳選された食材を使い、季節感だけでなくその土地固有の文化や習慣が感じられる料理を生み出しています。これこそが「BYAKU NARAI」が単なる他の古民家宿とは違う点です。食を通じてリアルな季節感を感じ、非日常な体験が出来るのが魅力です。
    さて、では「KURA」の料理を見ていきましょう。まず出てきたのはネギのすり流し。最初に椀物から出してくるあたりが普通の和食とはちょっと違います。熱々のすり流しはネギの風味が伝わるようなほっこりとした味で、山岳地帯で朝夕が冷えるこの場所にぴったりのメニューでした。器は蔵から出てきたものらしく、少なくとも150年前に使われていたものなのだそう。

    お椀に入って出てきた鴨肉

    お椀に入って出てきた鴨肉

    また次に出てきた焼き饅頭もユニークで面白い。中に信州牛の内もものスライスと松茸を加え、すき焼き風の甘辛いタレで味付け。もちもちとした生地に包まれていて美味しかったです。
    お造りもただ醤油につけるのではなく、柿の甘酢漬けやプラムのソースでいただくという創作性が良かったです。ネタはシナノユキマスの1種類だけでしたが、2通りの食べ方でそれぞれ全く違った良さがありました。
    しかしその一方で少し残念だった部分もあります。サラダに入っていたほうれん草のお浸しが醬油辛かったり、メインの鴨肉はお箸で食べるにはぶ厚すぎる上に嚙み切りにくい。せめてフォークやナイフの用意があるとよかったです。
    またキノコいっぱいの炊き込みご飯も味が濃いように感じました。せっかくのキノコも調味料やバターで香りが失われていて、最後に味噌汁や香の物といただくには主張が強すぎます。それでも全般的にはオリジナリティがあって、私的には美味しいものが多かったように思います。「KURA」の料理は美食を味わうための料理ではなく、生きるための料理。土地の味を表現したいというシェフの気持ちは理解できました。

    データ

    テーブルセットにこんな紙が…

    テーブルセットにこんな紙が…

    宿名BYAKU Narai
    住所長野県 塩尻市奈良井551-3
    電話番号0264-34-3001
    大浴場有り
    露天風呂付き客室有り
    予算2名1室利用の場合、1人当たり1泊¥32,017~(2食付き)
    宿HPhttps://byaku.site/

    まとめ

    蔵の面影が残る食事処

    蔵の面影が残る食事処

    まだまだ出来たばかりの宿で気になる点はいくつかありましたが、サービスは一生懸命やっている印象で、大浴場も気持ちが良かったです。こんな江戸時代の風情が残る町並みの中で泊まるなんて滅多にできないですし、普通の古民家宿に宿泊する以上の体験を楽しめました。非日常の時間が流れるこの宿ではいろいろな思いがけない発見が出来た気がします。(2021年11月訪問)

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