元湯　猿倉温泉(猿倉温泉/青森県）～これぞ秘湯！電波なし！風呂に蛇口もなし！でも極楽温泉！！

貸切露天風呂。ここにもシャワーや蛇口はありません。

青森県八甲田山に近く、酸ヶ湯温泉と蔦温泉の間に位置する秘湯中の秘湯が元湯　猿倉温泉です。なにしろ電波がなくて、携帯はau以外では電話もできないし、wifiも一切繋がらないという今どき珍しい不便な宿なのです。
でもこの温泉は湯量がとても豊富で、奥入瀬渓流温泉の元湯で、そこのすべての温泉宿へパイプラインで湯を送っているほど、ここの湯は素晴らしいのです。
お風呂にはシャワーもなければ蛇口もありません。でも心地よいお風呂に魅了されてしまうのです。泊まったお部屋は新館のメゾネットタイプ。食事は・・・・？
秘湯中の秘湯　元湯　猿倉温泉とは一体どんな宿なんでしょうか？

不便だけれど心地よいお風呂

大浴場の内風呂

湯の花がたくさん浮いている白い濁り湯は、優しくてとても肌にいいようです。傷の治りも早いとか。ずっと浸かっていたくなるほど素晴らしい湯というのは珍しいものです。源泉かけ流しの本当にいいお湯です。
ちょうど紅葉のシーズンに訪れたので、木々が美しく色づいているのを眺めつつ、ゆったり入る最高のひとときでした。濁り湯と紅葉の色の対比が絵になるものでした。

大浴場は男女別で内湯はぬる風呂とめちゃ熱いのが2つ。露天風呂は小さめでもちょうどいい温度です。また貸切露天風呂はユニークで情緒あるつくりになっています。
また離れのメゾネット式の新館に泊まったところ、お部屋にも専用露天風呂が付いていました。
いずれにしても、どのお風呂にもシャワーもなければ蛇口もないのは同じです。大浴場では掛湯用の湯溜めからお湯をすくって体や頭を洗う昔ながらのやり方です。屋外で外気が寒いので、お湯をかぶりながらスピーディーに洗うのが必須で、面白い体験です。

宿泊棟について

離れの新館201号室の2階ベッドルーム

私たちが3人で滞在した離れの新館は2階建てのメゾネット式。外観は安っぽいコテージ風でイマイチな感じです。2階にベッドが2つと1階に1つあって、テレビや冷蔵庫、ソファにテーブルが1階にあるので意外に居住性はいいものです。専用露天風呂が付いているのは全部で4部屋。あとは風呂なしの部屋もあるようです。

ビューはないけれど寛げる1階のリビング

自然の中にあるのに、建物の外観の印象が安っぽいシャレーのようで、環境の良さが生かされていないのは残念です。道路に面したところに建物を立てたり、配置もよくないかと思います。窓からの眺めも、ちょうど工事中の機材が見えるだけだったので、新しく建てるならビューを考えるなどの考慮が必要でしょう。

食事のこと、そして宿主の思いとは？

ひとつひとつ丁寧に作られた夕食の品々

食事は豪華さもなく特別のものはないけれど、採れたての山菜や川魚など地元の食材を駆使して作られる料理はどれも美味しくて満足のいくものでした。
天ぷらは揚げ立て、すいとん鍋は熱々で栄養満点。焼き立ての岩魚も新鮮で最高の味。

天ぷらは揚げ立て熱々が嬉しい

不便な土地なので、宿主の方はいろいろ苦労が多かったそうです。もっと下の町に下りて宿を造ろうと何度も考えたこともあったけれど、昔から引き継いできたこの温泉宿を絶やさないでほしいという常連さんの声に励まされて今までやって来たそうです。ここのお湯を絶やさず、やり方も変えず、昔のままの温泉を守ってきたと言います。
今では貴重なこの秘湯。ぜひ守ってほしいと思います。

まとめとデータ

山小屋風の外観

まとめ

スマホが使えないという現代の生活ではありえない一夜をこの宿で体験しました。電話すら繋がらない不便さ。シャワーもなくて蛇口もないお風呂。でもそんな昔に戻ったような暮らしも新鮮でした。ひたすらお湯に浸って自然の眺めを楽しみ、自然の声を聞く時間。今にして思えばとっても貴重な忘れられないひとときでした。
(2021年10月訪問）

掃除が行き届き清潔感のある食堂の一角

データ