「カンテサンス」と「HAJIME」。どちらもグルメ好きなら知らない人はいない日本の名店です。日本版ミシュランが発刊された年から13年連続で三ツ星を維持している東京のフレンチレストラン「カンテサンス」。そして独立後わずか1年5カ月というミシュラン史上最速で三ツ星を獲得した大阪のレストラン「HAJIME」。
今回ご紹介する「レミニセンス」は、そんな東西を代表する2つの名店で修業を積んだシェフ葛原将季氏が名古屋にオープンした、いま話題のフレンチレストランなのです。
以前HAJIMEに訪れた際、その圧倒的な世界観と初めて経験する味に感銘を受けた私。しかも4年前30歳という若さで独立し、現在レミニセンスは愛知県で最も人気のあるフレンチレストランというから期待が高まります。ランチ、ディナーともにコースは16,800円一本という高額設定ながら、この日のランチは若いカップルで満席というのも驚きでした。バレンタインデーに訪問したからかな…。
そんなレミニセンスの料理は「余韻と追憶」がテーマの一級品。旨味と香りがあとを引く料理の数々は、名店で修業を重ねていただけあって洗練されています。コースは前菜が4品も出るのですがどれもボリューミー。魚料理とは別に鰆の料理も出て、ミョウガや浅葱、そしてバニラの香りのパン粉と合わせて食べるのが新しく、また前菜らしい軽さも演出しています。
全11品の中でも鰻の白焼きはこの店の顔ともいえる料理。鰻の消費量が多く、東京や大阪より良い品が手に入りやすいという愛知県。くわえてカンテサンスやHAJIMEでは使わない食材である「鰻」は、今やレミニセンスにとって欠かせない食材のひとつなのです。
そして私が特にユニークだと感じたのが「追憶」をテーマにした小菓子です。細長いお皿に乗せられて運ばれてきた4つのお菓子。ですが、その中にどうにも見覚えのあるキノコ型のチョコが…。実はこれらは「追憶」というテーマ通り、シェフが子供時代に好きだったお菓子を再現したものなのだとか。雪見だいふく、プッチンプリン、わらび餅、そしてきのこの山。見た目こそ馴染みのある形ですが、勿論味はフレンチナイズされた上品で高級な味わい。こんなに遊び心のある品が出てくるとは…自然とテーブルが笑顔に包まれたように感じました。
実は24歳の時にはもう自身のお店のイメージを固めていたという葛原氏。「30歳には独立する」という確かなプランを立てていた彼は、5年後10年後自分はどうなっているべきなのか、そのために自分は今何を勉強しなければいけないのか、そういった事を常に意識していたのだと語ります。そのストイックな一面は彼の修業時代のエピソードにも表れていて、師事していたシェフの言葉は一言一句聞き逃すまいとボイスレコーダーを常備。あとで聞き返して自分に足りないものを勉強していたのだとか。
そんな努力の甲斐あって葛原氏は見事彼の30歳の誕生日にレミニセンスをオープンさせます。現在レミニセンスはミシュラン二ツ星。才能に溢れ努力を怠らない若きシェフの今後の活躍に目が離せません。(2021年2月訪問)
レストラン名 | レミニセンス (Reminiscence) |
ジャンル | フレンチ |
住所 | 愛知県名古屋市中区栄2-15-16 コンフォート栄 2F |
TEL | 052-228-8337 |
予算 | ¥16,800~ |
座席 | 23席 |
個室 | 有り |
予約の可否 | 完全予約制 |