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お店はバーのように小さなカウンターだけの店舗。スタッフ2人がかろうじてすれ違えるスぺ-スの厨房は、端の方にこれまた小さなコンロやレンジや炭火が設置されています。一般家庭と大きく変わらない設備なのに、どんどん美味しい料理が造り上げられるのです。その手際の良さにはただびっくり。
そんなお店は熊本市にある「IL CASINO(イル カジーノ)」さんです。ミシュランの1ツ星も獲得し、食べログのイタリアン百名店にも選ばれた人気店です。
1月の平日のディナーにお邪魔してみました。
とても謙虚で手際の良いマスターの仕事ぶり
このお店のマスターは松本興治氏です。実直な感じの腰の低い方です。お店のオーナーは別城(べっき)健太郎氏。別城氏はかつて松本氏と二人でこのお店を切り盛りしていたのですが、福岡に2店目の「bekki」を出してそちらのシェフをされています。こちらのお店は松本氏が任され、それ以来アシスタントさんと2人体制でやられているのです。
カウンター8席だけの店で、19時の予約で入店すると、もう1組いたゲストはしばらくして食べ終わって帰ったので、カウンターは私たちだけの貸し切りディナーとなりました。
ディナーは10000円のコースで7皿。手のかかる料理の数々をスピーディーに仕上げていく手際よさに感心しました。一般家庭とあまり変わらないほど小さなキッチンなのにプロにかかればすごい料理が生まれるのです。
普通ならカウンターで一斉スタートにしてまとめて料理するところでしょうけれど、松本氏は一斉スタートにはこだわらないと言います。ゲストが好きな時間に来られる方がいいだろうからと。そこまで客優先の謙虚な方なのです。
手作りのモッツァレラチーズに感動
料理のオリジナリティーにも驚きました。まず出たのが手作りモッツァレラチーズです。これはスペシャリティのひとつのようで、出来立てのミルキーなモッツアレラにパルマの生ハムを載せて、オリーブオイルとトマトのクリアジュレをかけてあります。いきなり空きっ腹に嬉しい濃厚さです。
次は珍しい有明海のタイラギ貝のフリット。帆立のようでいて帆立より蛸に近い噛み応えです。レモン、オリーブオイルとたっぷりのパルミジャーノを振りかけてあります。空腹のゲストが喜ぶ料理を知っておられます。
鹿児島の尾長鯛(ハマダイ)の4㎏超えのものを塩で〆て寝かせ、ハマグリと生海苔のソースをかけます。さっぱりした美味しさです。
次は自家製の生ソーセージの登場です。フライパンや炭火で二度焼します。リゾット添えで、バターやパルミジャーノや温玉まで添えて、かなりこってりボリューミーな一皿です。
ちょっとこの辺りから私はお腹が膨れてきました。どちらかというと若向きのオイリーな料理と言えます。
しっかり濃厚な料理が続きます
次はパスタです。自家製の手打ちタリオリーニ。八代の白魚とフキノトウのソースですが、少しくせがあって私の好みではありませんでした。
肉料理は尾崎牛の内もも。良く焼いてあってジューシーで美味しいお肉で、塩、マスタード、レモン、胡椒で頂きます。肉自体に脂が多いタイプのジューシーさなので、そういうお肉が好みの人には受けるかと思います。
デザートはゴルゴンゾーラチーズに富山の満寿泉の日本酒を合わせたこだわりのアイスです。ユニークな発想でそれ自体は素晴らしいのですが、ゴルゴンゾーラのクセの強い味は、こってりした食事の最後にはちょっとキツイので、私的には柑橘系ソルベなどででさっぱり終わりたいと思いました。これは好みの問題ですが・・・・
レストラン名(ジャンル) | IL CASINO (イタリアン/イタリア料理) |
住所 | 熊本県熊本市中央区手取本町3−7 |
TEL | 096-355-8305 |
予算 | ディナー コース 10000円~(ランチは土曜のみ) |
座席/個室有無 | カウンターのみ8席 個室なし |
予約の可否 | 予約可 |
公式サイト | https://fbkb200.gorp.jp/ |
まとめ
IL CASINO さんの料理は本当にお客さんを喜ばせたいと感じるものばかりでした。狭い厨房で一生懸命調理されておられることに好感が持てました。
手間暇かけて美味しさを追求し、なおかつ濃厚な食材が多用される傾向にあるので、たくさん食べられるグルマンにはもってこいでしょう。少食の私には後半少しきつくなりましたが、今度行く時はもっとお腹をペコペコにして行こうと思います。
(2022年1月訪問)