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    アコルドゥ(イノベーティブ・スペイン料理/奈良市/奈良県)~記憶に強く残る極上の料理

    アコルドゥ
    絶品テリーヌ!!!絶対また食べに行ったるからな

    絶品テリーヌ!!!絶対また食べに行ったるからな

    メインのお肉。本当に全部美味しい。何事?

    メインのお肉。本当に全部美味しい。何事?

    皆さんスペイン料理というと何を思い浮かべるでしょうか。フレンチはフォアグラやトリュフなどの食材を使った高級志向の料理、イタリアンはそれに比べると庶民的で手の届きやすい料理。ではスペイン料理は…と聞かれると、パエリアや生ハムくらいしか浮かんでこないのは私だけではないはず。スペインの中でもバスク地方は美食の地域として有名ですが、具体的な料理はなんだか想像できません。加えて私が今まで行ってきた国内のスペイン料理店はどれも酷いものでした。素材の味を殺してしまうようなやたら塩辛い料理、味に締まりがなく印象にも残らない料理…。そんなわけで今回連れに「スペイン料理を食べに行こう」と言われ、思わず渋い顔をしてしまったのも仕方のないことだったのです。
    今回私が訪れたのは奈良公園の横に建つ「アコルドゥ(バスク語で記憶という意味)」というレストラン。350坪にもなる東大寺旧境内跡すべてがお店の敷地になっていて、緑豊かな中からガラス張りの和モダンなレストランが出迎えます。ウッド調の店内は温かみも感じられ、大きな窓外に広がる東大寺の木々を眺めながらお料理を楽しむことが出来ます。「美食」という観点において奈良はまだまだ大阪や京都と比べ遅れていると思っていましたが、まさか駅から徒歩10分ほどの場所にこんなに洗練されたお店があったのかと驚き。しかも「アコルドゥ」は食べログでも4.14点(2021年4月現在)と奈良県2位、またゴ・エ・ミヨでは16.5点と奈良県トップを誇っています。

    食後のプティフール。外の眺めが素敵。

    食後のプティフール。外の眺めが素敵。

    「アコルドゥ」の料理の特徴は奈良県の食材をふんだんに使用した地産地消のスタイル。単純に「どこで作られたのか」という話ではなく、シェフの川島宙氏は「誰がどのような思いで作ったのか」「どのような背景と時間の流れの中で生まれ育ってきたのか」そんな事にも思いを馳せながら料理に向き合っているのだと言います。ヒューマン・テロワール─「アコルドゥ」は自分たちの生きる環境を愛し、人と素材、料理に向き合っているのです。
    冒頭でも述べたように正直スペイン料理に対して1ミリも期待をしていなかったのですが、そんな私の偏見は彼の料理でいい意味でぶち壊されたのでした。
    世界ベストレストランの1つであるバスク地方のレストラン「ムガリッツ」で働き、多大な影響を受けたと話す川島シェフ。そんな彼のつくり出す料理は、伝統にとらわれないイノベーティブなスペイン料理です。1品目はバスク地方の郷土料理マルミタコを「アコルドゥ」風に再構築した皿。本来はマグロや野菜を煮込んだトマトベースの温かいスープ料理ですが、出てきたのは冷たい料理で、見た目もスープとは程遠い。マグロの代わりにカツオを使ったこの料理は、甘みのあるトマトソースと、トマトのクリアジュレと共にいただきます。ガスパチョのようでありながら、それとはまた少し違った春らしい爽やかな逸品に早速胃袋を掴まれます。
    また、メインの大和牛のローストは自家製の塩鱈と。スペインのバルに訪れると大抵出てくる塩鱈…現地ではバカラオと呼ばれ親しまれていますが、その味は正直ピンキリです。中には生臭く食べれたもんじゃないと感じるものもありますが、やはりここのは別格。臭みが無いのは勿論のこと、鱈の旨味を感じられ、尚且つ主役の牛肉を引き立てる味へと仕上がっています。イノベーティブと言ってもお皿のあちこちにスペイン料理らしさが散りばめられていて、その発想力には驚かされます。

    食事終わりにシェフと1枚!ご馳走様でした!

    食事終わりにシェフと1枚!ご馳走様でした!

    「アコルドゥ」の料理はどれもが日本人好みの繊細で洗練されたものばかりでしたが、特に私が気に入ったのが前菜のテリーヌとデザートです。テリーヌは奈良県のブランド豚である大和ポークと、大和鶏を合わせたもの。臭みが一切無く、これ以上のテリーヌはこの世に存在しないのではないかと思えるような最高の一品で、ひとくち食べてその美味しさに感動。そう、私はこういうのが食べたかったんだよ!しかしながら、このお皿の主役は実はテリーヌではなく春キャベツ。これだけ美味しいテリーヌを前にすると全てが付け合わせになりそうなものですが、特製のトリュフ&胡麻ソースとの相性が抜群で、キャベツもテリーヌに負けず劣らずの存在感!これはもう理屈なく美味しい料理でした。
    そして料理の最後を飾るデザートも、創作性に溢れた極上の品。甘みもコクも強い奈良県の人参を使用したブリュレは、舌触りが楽しめるように敢えて粗めに。奈良県葛城市から届いた八朔、そしてヴェルヴェーヌのジェラートといただきます。人参の自然な甘さと八朔の爽やかさが意外なほどマッチしたこの品。デザートまで完璧とは何事ですか…。
    今回私は全7品のランチコースをオーダーしましたが、お世辞抜きで最初から最後まで最高の料理をいただくことが出来ました。しかもこれだけのクオリティのものを食べて8,000円と言うから驚き(メインが和牛の場合。和牛でない場合は6,500円)。東京だったらランチでもこの倍くらいは取られてしまいそうなものですが、良心的な価格設定まで含めてお気に入りのレストランとなりました。お店の雰囲気も変に格式張っていないので、若いカップルが少し背伸びして来るのにもオススメのレストランでしょう。スペイン料理への固定概念を180度ひっくり返した素晴らしいレストランに巡り合えました。(2021年4月訪問)

    レストラン名アコルドゥ (akordu)
    ジャンルスペイン料理・イノベーティブ
    住所奈良県奈良市水門町70-1-3-1
    TEL050-5456-4090
    予算ランチ¥6,500~ ディナー¥15,000~
    座席26席
    個室有り
    予約の可否完全予約制

     

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