皆さんはアナグマの肉が美味しいことをご存知でしょうか?私は全く知らなかったのです。アナグマは「まみ」という呼び名で、その美味しさからジビエファンに親しまれているそうです。もともとジビエの肉は臭いという偏見を持ち避けてきた私。グルメを究めていくうちに、地方でよくジビエ専門とかジビエに力を入れている名店を見かけるようになりました。やはりジビエは避けて通らない方が良いのかもしれないと反省する昨今です。
そして今回ご紹介する日本料理店「和彩空間 たち花」さんで、「まみ」の話を初めて大将から聞いたのです。奥出雲の田舎。ジビエは猪や熊なども含め6種類の肉を扱っているというこのお店。土地柄そうした動物がたくさんいるから、自然とジビエ料理が増えてくるのでしょうか。大将の立花秀明氏は、子供の頃はこの地でよく「まみ」が採れたそうで食べ慣れているといいます。どんな味がするのかと訊いたら、牛と豚と熊の肉をミックスしたような旨味のある肉だそうです。アナグマがそんなに美味しいなんてびっくりです。
今回、JR山陰本線・宍道駅から車で1時間かけてはるばるランチにお邪魔しました。その夜は重いディナーが入っていたので、軽いランチにしようと計画し3000円の会席を予約していったのです。
上品なムード漂う一軒家のお店は、松江で修業を終えた大将がお祖母様のやっていた居酒屋の建物を改装して13年前にこのお店をオープン。今では人気が高い店となり、ゲストの7割近くが県外から来るそうで、農林水産省の料理マスターズにも選ばれ、今年の秋にはJR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」の食事の監修をする3人の匠の一人にも選ばれたそうです。東京で「まみ」を使ったジビエの催しをした際は大好評だったとか。赤身と薄くスライスした脂身を別々に燻製し、赤身を脂身で巻いて調理、木の芽のソースで食べる1品です。得も言われぬ美味しさだとか。
私たちの頂いたランチはお値段がお値段だけにシンプルで、前菜の盛り合わせの後はいきなりメインで、奥出雲ポークを低温ロースト、コシヒカリの半年塩発酵したソースと奥出雲の古代米を天日干しして発酵させたソースの2種類で頂きます。ご飯も同時に出たので、食べ始めてから30分ほどで終了のクイックランチです。宍道駅から往復2時間かけて来たのに。ジビエのジの字もこの料金のコースに出るはずもありません。やはりもう少しお高いコースにした方がよかったかなあと後悔。ところがデザートを食べ終わり精算を頼んだところで、大将が「ちょっと待ってください。せっかく来てもらったんで、面白いものお出ししますから食べて行ってください!」とのこと。まさかアナグマとか??・・・それはあり得ませんが。
しばらくして出されたのは今まで食べたことはおろか見たこともない「牛尾菜(しおで)」という山菜でした。山深い場所でしか採れない幻の山菜だそうで、1m以上にのびることもあるそうです。赤黒い太くて長いアスパラみたいで、穂先だけ食べられます。天ぷらにしてカラッと熱々の牛尾菜は香ばしくて美味しくて、山菜の女王と呼ばれているのが納得でした。思わぬサービスのお陰で、私たちの満足度もアップ!!遠方から来た客をもてなしてくださる気持ちが嬉しかったのです。
今度来るときは「まみ」にも挑戦できるようにジビエにも慣れておき、ゆっくりディナーを頂いてみたいものです。 (2021年5月訪問)
レストラン名和彩空間 たち花
ジャンル | 日本料理 |
住所 | 島根県仁多郡奥出雲町横田1035−1 |
TEL | 0854-52-1077 |
予算 | ランチ ディナーとも 3000円~ |
座席 | カウンター8席と個室3室 |
個室 | あり |
予約の可否 | 可 |