世のシェフは、季節の食材をいかにして新しい料理で客を楽しませるかに常々頭を巡らされていることでしょう。素材の良さを引き立てつつ、シンプルに食べる以上に美味しく食べられる料理こそが逸品と言えるのではないでしょうか。変に奇をてらって素材の味が台無しになるなどあってはいけません。
ここラぺさんは、それができるお店なのです。4年ほど前に娘の成人式のお祝いに家族できてとてもよかったので、久しぶりに友人の誕生祝のパーティーに行ってきました。
鰹や鮎など今が旬の魚も前菜でいろいろ登場。新鮮な鰹と野菜やハーブを一緒にシート状にしたゼリーで巻いて、ライムの泡状ソースをかけるという珍しい一皿。爽やかでいろんなハーブの味も鰹の美味しさを引き立てます。鮎の料理は、私は変なことをするならシンプルな塩焼きが一番、という持論でしたが、ここで出た鮎を食べたらその持論は吹っ飛びました。梅ばかりを食べさせてほのかに梅の香りがする和歌山産の鮎に魚のペーストを塗り付けてカリッと焼いて、キュウリを添えて。ゴーヤなどの緑が美しくほろ苦いソースがよく合います。
アワビのカッペリーニが出るなど、フレンチと言ってもジャンルにこだわらないシェフのイノベイティブなセンスの良さが発揮されていました。
デザートの韃靼そば茶のブランマンジェとゲランド塩のアイスは4年前にも同じものが出た定番で、懐かしい美味しさでした。そして友人へのバースデープレートの可愛さにびっくり。かに座なのでその絵が描いてありました。
松本シェフと支配人の田中氏のコンビは健在のようで、最後階段を上がって地上まで送ってくださり、見えなくなるまで手を振って下さったのには感激でした。このコロナ禍でもほぼ満席なのは、安定的にレベルの高い料理の数々に加えて、おふたりのホスピタリティの良さによるところも大きいと、今回再認識したのでした。
レストラン名 | ラぺ |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 東京都中央区日本橋室町1-9-4 B1F |
TEL | 03-6262-3959 |
予算 | ランチ 6000円 ディナー13000円 |
座席 | 20席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 可 |