京都でフレンチを頂くからには、できれば東京とは違う京都らしい風情のあるお店が嬉しいですね。そんなお店が富小路二条にありました。
その名の「MOTOI」はオーナーシェフ前田元(まえだもとい)氏のお名前でした。大正時代に建てられた呉服商の邸宅を改装したお店は坪庭が2つ残され、モダンな空間に変身しつつも京都らしい風情はたっぷり味わえるのです。
京都出身の前田氏は10年ほど京都の一流ホテルで中華の料理人をしたのち、フレンチに転身してブルゴーニュなどで修業。帰国後大阪の名店「HAJIME」などで修行ののち2012年にこのお店をオープンされました。
食材はできる限りシェフが自ら仕入れに行くそうで、その日の最高の食材を見事な料理に仕上げていきます。
よく手入れされた坪庭を眺めながの居心地のいい空間でのランチは二種のアペリティフから幕を開けました。ひとつは甘海老の紹興酒漬け。中華料理のエッセンスと食材を要所要所に取り入れたフレンチはやはり斬新で、ゲストを飽きさせない工夫に溢れていました。
アミューズは鱧のベニエ、いわゆるフリッターです。鱧の白色のまわりには色鮮やかな緑色の胡瓜のスープがかけられます。この胡瓜も珍しい四葉(すうよう)胡瓜だそうです。瑞々しい味わいで、夏にフレンチで鱧を食べるならこれ!と言いたくなるひと品です。
そして次に出たフォアグラの一皿に、私はすっかり魅了されました。ちょうど適量な少量のパテに添えられたのが甘いぶどうとフレーク状のアマゾンカカオ。これは口の中で見事なハーモニーを奏でました。
しかしながら、もっとも驚いたのがメダイのポアレの付け合せ野菜。なんと47種類の野菜をそれぞれ調理法を変えて仕上げてあるのです。他の店なら前菜としてきれいに盛り付けて出すはずです。これほど手間暇かけたものを、付け合せにさり気なく盛り付けてしまうところが、あまりにも謙虚な前田さん!
炭火を使って絶妙な火加減で仕上がったイべリコ豚を完食した後、デザートはなんと3つ。ヴェルヴェンヌという爽やかでちょっとエスニックな香りのハーブの氷とパプリカのアイスクリーム。桃の杏仁豆腐、オレンジのデクリネゾン。すべてがパーフェクトです。
京都で最高のフレンチに出会えた夏の午後でした。
(2020年8月訪問)
レストラン名 | MOTOI (もとい) |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 京都市中京区富小路二条下ル俵屋町186 |
TEL | 075-231-0709 |
予算 | 昼8500円から 夜16000円から |
座席 | 32席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 完全予約制 |