「宿を大きくすることなく庭を守れ」この宿を創業した先代の教えだそうです。
「庭園の宿 石亭」は宿の名前にも入っているように、主人公は庭園にほかなりません。
石亭にやって来て誰もが魅了される庭園は、長い歴史の中で日々欠かさず手入れされ、美しく保たれてきました。
この庭を愛でるために、庭を取り囲むように建つ本館と7つの離れがあります。
滞在中は客室から直接庭に出て、庭を散歩していろんなシーンに出会い、お客様に寛いでもらうことがご主人の意図するところなのです。
実は随分前に一度この宿に泊まったことがあります。庭が素晴らしく食事が美味しかったという記憶があるのみ。今回の再訪では新しくできた「離れ ゆうせん」に泊まりました。
1階は10畳の主室、書斎、広縁、8畳寝室があり、2階は8畳の「お湯サロン」ことお風呂だけのスペース。
木のお風呂とソファ、シャワールームがあって、お風呂に入ってくつろげるスペースとなっていました。
これは斬新な発想と言えるでしょう。1階の方は古い造りで小さな部屋がいくつもあって迷いそうになる旧式なつくりだけに、古いものと新しいものの融合が味わえました。
でも大浴場の洗い場の壁の一部が剥がれていたり、部屋の襖の紙が変だったり、古いものがきっちりとメンテナンスできていないのは残念でした。
あと館内も室内も、昔ながらで無駄な段差があるのも危険です。
バリアフリーの時代ですが、そこまで直すことはできないものでしょうか?
この宿のお食事は出し方に工夫があり、アッと目が釘付けになる美しいしつらえが魅力的です。どれもが味がよく、海に面しているだけあって魚介類は新鮮です。
宿主の上野氏が宮島で経営している「あなごめし うえの」が名店なだけあって、先付の穴子三昧と最後の穴子釜炊きご飯はとても美味しいものでした。
この宿の良さをあげるとき忘れてはならないのは、おもてなしの心でしょう。事あるごとに仲居さんは心温まるサービスで私たちをもてなしてくれました。
やはりこの宿の主人公は庭園と、そして温かいもてなしだと確信したのでした。
旅館名 | 庭園の宿 石亭 |
住所 | 広島県廿日市市宮浜温泉3-5-27 |
TEL | 0829-55-0601 |
お風呂 | 大浴場 露天風呂 |
予算 | 二人部屋利用一人あたり31000円から(2食付) |
露天風呂付客室 | あり |