宮崎県日南市にある北郷(きたごう)町は、なんと森が90%を占めるという珍しい町です。それだけ自然が豊かで、心身を癒す効果のある森林エリアの麓に位置する宿が「音色香の季 合歓(ねむ)のはな」です。
レセプション棟とレストラン棟が別々で、客室は全10室すべての部屋が離れです。雪、月、花、蝶、空、風など、漢字1文字の名前が付いています。私たちの部屋は月。部屋の広さは63.4㎡ですが、テラス、外庭、内庭、露天風呂すべて合わせると160㎡というゆとりの広さです。この部屋のコンセプトは「大地の輝き」だそうです。滞在中は大自然を感じていることができました。
木々に包まれる広いガーデンの中に石造りの専用露天風呂があります。目の前には小川が流れ、すべての眺めは本物の自然のみ。これだけの環境はなかなかありません。木々に飛んでくる鳥たちの姿を眺めながらの気持ちいいお風呂タイムです。天然温泉がいつもこんこんと湧いていて、それもちょうどいい湯加減です。大浴場はなくとも、十分このお風呂で温泉情緒は満喫できます。ただ、屋根替わりなのか緑のテントが少し低めに張ってあったのが、雰囲気にそぐわない気がしました。(よって写真には入れずに撮りました笑)
月の部屋のインテリアに関しては、リビング、ミニキッチン、トイレ、バスルーム、ベッドルームすべての位置関係が絶妙に良くて、動線がちょうど私好みでした。ここにあってほしい!という場所にきちんとコンセントがあって、デスクには読書や書き物に最適な照明があって、ここにゴミ箱があるといいなと思ったちょうどその場所に置いてあるので完璧です。ここを設計した人はきっと私と趣向が合う方なのかも。これほどぴったり希望が叶う宿はありそうでないものです。
夕食はお食事処にある個室で、浴衣でも甚平でもOK。夕食は通常時間を指定して、決めた時間に行くのが当たり前ですが、なんとここは18:00から20:00までいつでもOKとのこと。そう言われたとき、ふと大丈夫かなあと思った予感が的中。行ってみると、すでに作って置かれているお皿がテーブルに並んでいました。天ぷらは揚げたて熱々でなく当然冷めているし、グラタンも熱々なら美味しいだろうなあと残念なものでした。それ以外も全体的にぬるい料理が続きました。唯一宮崎牛シンシン、イチボ、サーロイン食べ比べのみ目の前で石焼き出来て、熱々が頂けてよかったです。宮崎県民が皆使っているという戸村のタレを付けると美味しかったです。ご飯も鯛飯にしたり工夫がありました。高級旅館としては、どう出せば最高に楽しんでもらえるかを考えて、時間を決めてもいいので、出来立てを出してほしいという感想です。
この宿で特筆すべきはサービスの良さです。女将も2回も顔を出してくれて、料理長も挨拶してくれ、食事から離れの部屋に戻るときも皆でお見送り。そして宿を発つときも、総出で8人ほどが見送ってくれたのです。これほど丁寧な宿は未だかつてありませんでした。そういう心遣いは大切で、実際後々になっても記憶に残る宿となるはずです。 (2021年2月訪問)
旅館名 | 音色香の季 合歓(ねむ)のはな |
住所 | 宮崎県日南市北郷町郷之原2711 |
TEL | 0987-21-7110 |
お風呂 | 大浴場なし |
予算 | 2人1室利用の場合 1人34000円~(2食付き、税込み) |
露天風呂付客室 | 全室露天風呂付き |