ホテルの部屋からの眺望がこれほどユニークなホテルはいまだかつてありませんでした。森でも草原でも渓谷でもなく、なんと目の前に広がっているのは地獄谷なのです!硫黄の香りが立ち込め、地の底から吹き出す蒸気や黄色い湯煙があちこちで噴出しているダイナミックな光景は見ごたえがあります。そこは観光名所になっていて、遊歩道を歩いて観光している人の姿も見えます。そんな観光スポットを最高の場所から居ながら見物できるのです。
そのホテルは「雲仙九州ホテル」。1917年創業という長い歴史を持つ老舗ホテルです。老舗ホテルだからこそ一番迫力ある地獄谷ビューのベストロケーションに建っているのでしょう。後から建てようとしても、こんなに最高の場所を確保することなどできません。
ホテルという名が付いていますが、その設備とサービスはまさに高級温泉宿そのものなのです。大浴場はないものの、部屋には半露天のゆったり大きい檜の温泉風呂が付いています。お湯の効能は高く、その分アクセサリーなどが変色するから要注意です。地獄谷を眺めながらのちょっと不思議なバスタイムです。
リノベーションをされているため、便利で快適なホテルになっていて、部屋のインテリアも家具調度品も素敵で、古い老舗ホテルのイメージからは完全にイメージチェンジしています。でも格式とサービスは老舗ホテルの歴史を感じさせるもので、まさにいいとこ取りのホテルなのです。
旅館のようにこのホテルは夕食、朝食の2食付きです。「メインダイニング1917」というレストランのディナーメニューは、味もその構成も良くボリュームもたっぷり。
スープにはフレンチらしく旬の白カブとビーツの彩りスープ。カブの優しい甘みと茎のほろ苦さも感じさせ、ビーツのピンク色がきれいです。前菜は島原半島の季節野菜の盛り合わせ。人参のフラン、トマトのグリル、今が旬の菊芋のロースト、ローズマリー風味。春ジャガイモのオニオン炒め。
次は長崎近海の鮮魚のお刺身と和に入ります。その後クリームパスタでイタリアンになります。和洋取り混ぜたメニュー構成は日本のホテルならではで楽しいもの。ただ、その日はランチが重かったのであまり食欲がなくて、温前菜のイカと真蛸のソテーとメインの魚料理と肉料理をパスしました。魚はスズキのポワレ、肉料理は和牛ランプの炭火焼きが出たようです。最後はあっさりと黒米の出汁茶漬けで〆ました。あっさり和食だとするっと入ります。いろいろわがままな要望にも丁寧に答えてくださり、スタッフの対応も親切で、希望通りの楽しい食事タイムとなりました。
気配りが素晴らしい4代目の女将を筆頭に、泊まって分かったのはスタッフが皆感じよくてきめ細やかなサービスができるホテルだということ。雲仙九州ホテルとは九州の雲仙にあるホテル・・・ホテルのその名前があまりにもシンプルだから、私は勝手にちょっと古めかしいイメージを持っていました。、全く期待せずに泊まってみたら、そのレベルの高さにびっくりしたのです。予想が良い意味で外れたのもこのホテルだったのです。 (2021年3月訪問)
旅館名 | 雲仙九州ホテル |
住所 | 長崎県雲仙市小浜町雲仙320 |
TEL | 0957-73-3234 |
お風呂 | 大浴場なし |
予算 | 2名1室利用の場合1人20900円~(2食付き) |
露天風呂付客室 | 半露天風呂付き |