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    インスタレーションテーブル・エンソ・ラシンメトリー・ドゥ・カルム(フレンチ/金沢市/石川県)~私の大のお気に入りフレンチ

    エンソ
    ユニークなメニュー。ワクワクしてしまいます。

    ユニークなメニュー。ワクワクしてしまいます。

    イワシの料理。そのまま手で持っていただきます。

    イワシの料理。そのまま手で持っていただきます。

    第一印象、店名が長い。インスタレーションテーブル・エンソ・ラシンメトリー・ドゥ・カルム、通称「エンソ」。金沢駅から少し離れたところにある住宅街、明治期の元洋裁学校を利用したお店は、知る人ぞ知るフレンチの名店です。洒落た外観はとても古い建物には見えませんが、店内はどこか明治時代の洋館らしさが残ります。白を基調とした店内は清潔感があり、オープンキッチンスタイル。休むことなく流れていく調理手順を間近で見ることができます。
    それにしても、どうしてこんなに長い店名になったのか…一発ではとても覚えられる気がしません。なんでもシェフの熱い想いが込められているらしいのですが、その意味も「空間全体を作品として体験させる」だの「左右非対称」だのどこか抽象的。2021年現在、「ゴ・エ・ミヨ」で16.0点という高評価を得ているお店ではありますが、きっと店名通り奇をてらい過ぎてごちゃごちゃとした一貫性の無いコース料理に違いない。そう思いながら訪れた私の予想は瞬く間に裏切られたのでした。

    旬のホタルイカは、ゴボウや馬肉と一緒に香ばしく。

    旬のホタルイカは、ゴボウや馬肉と一緒に香ばしく。

    席に着くとまず運ばれてきたのが謎のイラスト数枚。勿論置き物ではなく、なんとこれがメニューの代わりなのです。メインとなる食材が描かれたイラストは全部で10枚。カブなどの野菜から始まり、最後はコーヒー豆のイラストで終わります。イラストを見ながら次はどんな料理が出てくるのかワイワイと想像する楽しさはこのお店ならではかもしれません。
    シェフの土井誠氏は元々日本料理の職人。その後スイスや北欧、フランスなど様々な国で修業を積み、2016年ここ金沢に自身の店をオープンさせたのです。そんな彼の料理は思わず感嘆のため息が零れてしまうほど創作性に溢れたモダンフレンチ。どれも鮮明に思いだせるほど美味しい料理の数々でしたが、特に素晴らしかったのが前菜のトマトを使った料理と、イワシの料理、メインのホロホロ鳥です。
    トマトというと「赤」を連想しがちですが、この料理は驚くべきことに真っ白!ゼリー状の膜に覆われた地元能登のトマトと生姜のピューレを、新玉ねぎのソース、そしてトマト風味の泡と共にいただきます。発想のユニークさもさることながら、今まで経験したことのないような爽やかで洗練された味わいに、思わずひと言「美味い!」。少ない人数でこれだけのものを作るとなると相当大変なはずですが、一つ一つ丁寧に作られているのが分かる最高の前菜でした。
    一方イワシの前菜はまったく想像していたものと違ったものが登場。荏胡麻の葉に包まれているのは能登のイワシとラタトゥイユ、そして竹炭のカリカリパン。北陸で揚がるイワシは3月~6月が旬らしく、今はまさにイワシのピーク!脂が乗って肉厚なイワシですが、荏胡麻の葉や赤紫蘇のパウダーといただくことでサッパリ、しかし満足感のある料理へと仕上がっています。この発想力にはもう脱帽。パンを葉で包むなんて一体誰が考えつくんでしょう。シェフの引き出しの広さにひたすら驚かされる一皿でした。
    そしてメインのホロホロ鳥は低温調理で仕上げた逸品。絶妙な火入れによって驚くほど柔らかくなったそれは、旨味も凝縮された至極の料理です。一応ナイフが用意されていますが、切らずにそのまま割けてしまえるほどで、しっとりとした食感が癖になります。運ばれてきた時は(ちょっと大きいな…)と思っていたのですが、気づいたら瞬殺。これは何個でも食べれそうです。

    食事終わりにシェフと1枚。ごちそうさまでした!

    食事終わりにシェフと1枚。ごちそうさまでした!

    今回私が頼んだのはコーヒーやデザートも含めた全12品のランチコース。量も申し分なく、なにより充実したラインナップでしたが、なんとこれだけの料理を食べてお値段がたったの7000円と言うから唖然。これはコスパが神すぎます!!
    元々は愛知県で生まれたという土井シェフ。彼が金沢という地に店を構えたのは、能登を中心とする北陸の食材に魅了されたからなのだとか。野菜やフルーツ、魚介、肉、そして塩にいたるまで最高のものが揃う石川県は、まさに食の楽園。彼のつくる料理はそんな北陸の「美味い」を結集させた至高のフレンチなのです。
    今度2021年5月に北陸のミシュランガイドが5年ぶりに発売されます。5年前、2016年はちょうど「エンソ」がオープンした年だったため、掲載されることはありませんでした。しかし私はこのお店がミシュランの星をとるに足る、素晴らしいレストランであると自信を持って言えます。これで選ばれなかったら、ちょっとミシュランの見る目を疑ってしまいそう(笑)きっとこれからもっともっと人気になっていく「エンソ」。是非その味を体感してみてはいかがでしょうか。(2021年3月訪問)

    レストラン名Installation Table ENSO L’asymetrie du calme
    (インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム)
    ジャンルフレンチ
    住所石川県金沢市池田町4番丁33
    TEL050-5457-1772
    予算ランチ¥7,000~ ディナー¥10,000~
    座席14席
    個室有り
    予約の可否予約可

     

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