期待して遠路はるばる食べに行ったのに、結果、とても残念な思いをしたお店が最近ありました。実はそこは人気のあるらしいお店なのです。食べログの評価に頼るなら仙台でナンバー1の3.70(2021年7月現在)。2017年度宮城県特別版のミシュラン1つ星を獲得しています。お店の名前は「萬み高橋」(まんみたかはし)。
仙台市国分町にあるビルの1階です。カウンター席の後ろの半オープンの個室に通され、すぐ目の前に常連さんらしきカップル1組がカウンターに立ちはだかるように座っています。もちろん大将も若い息子さんらしき男性もそのカップルとだけ話をしています。
ご年配の男性が同行の若い女性を口説いているのか、髪の毛を触ったりボディタッチがすぐ後ろに座る我々には気になります。優雅なはずの日本料理の夜はまずそこで打ち砕かれました。
ディナーはお任せの1万円のコースです。メニュー構成はオーソドックスで、とりわけ驚くものはありません。気になったのが甘鯛の使い方です。甘鯛の料理が3回出たのにはさすがにびっくり。食材が被りすぎで、使い回して食材の無駄を省いている感がします。最初焼き魚で出て、次はすり流し、最後はスペシャリテという鯛茶漬けです。別に甘鯛尽くしを希望してきたわけではありません。今どきのフードロスは防げたことでしょうけれど。
また、手間ひまかけて作られたようですが、出来上がった「穴子の湯引き」は見た目は鱧の湯引きですが、皮が分厚いので食感的に嫌で美味しくないものでした。穴子は照り焼きとか、当たり前でも、もっと美味しい食べ方があるのに、と残念でした。
また茄子の料理は、焼き茄子を赤味噌で炊いたもの。出汁の味わいがしないそれは、赤味噌だけの味で旨味を感じません。普通に煮びたしした方が美味しいかと思いました。
全体的に塩気が少な目なのは良い点です。でもその分本来あるべき美味しい出汁の味わいが重要になります。我々にはそれが足りない印象でした。
最後に出た甘鯛の茶漬けは今回一番美味しく感じた品でした。さっぱりして最後を締めくくるのにいいものでした。この甘鯛をもっと美味しく感じさせるためには、構成としてその前にでた2回の甘鯛は不要です。他の食材を使ってほしかったです。
デザートはさっぱりしたフルーツともう1品あんこものか洋風のブランマンジェなどというのが美食店の今よくあるパターンですが、ここのデザートはあんこの巾着しぼりの小さな1点だけ。それも中に栗とかお餅が入っているわけでもなく、あんこのみ。あんこもこれは美味しい!と思わせる物ならまだしも普通のあんこです・・・。少し手抜きの気がします。
サービス係の女将らしき女性の対応も一度もニコリともしないものでした。通常愛想のいい女将さんとは話が弾む私ですが、一言も声をかけられなかったので、一切の交流もなし。大将たちも、帰り際に見送りがなかったのは今までで初めてです。カウンターに2人のゲストがいただけで他のお客さんもいないから手が空いているはずなのに。高い金額を払ってこの対応はないでしょう。居酒屋のような応対にがっかりでした。
でも私たちとしても、ご馳走様でしたとは言っても、「美味しかったです」と一言も言わずに帰ったお店は、長い美食店巡りの中で初めてのことでした。
(2021年6月訪問)
レストラン名 | 萬み高橋 |
ジャンル | 日本料理 |
住所 | 宮城県仙台市青葉区国分町2丁目12−5 凱旋門ビル 1F |
TEL | 022-225-6646 |
予算 | ランチ 不明 ディナーコース1万円~ |
座席 | 26席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 予約可 |