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    ヤマウラステイ(茅野市/長野県)アレックス・カー氏の古民家宿 

    ヤマウラステイ
    1階のリビングは和モダンな居心地のいいスペース

    1階のリビングは和モダンな居心地のいいスペース

    アレックス・カー氏は東洋文化研究家のアメリカ人です。日本の田舎の桃源郷ともいえる地にある古民家を宿泊できる宿に再生するプロジェクトをプロデュースする仕事もされています。徳島の桃源郷のような祖谷や京都の亀岡など。アレックス・カー氏プロデュースの古民家宿は今や日本中で大人気なのです。
    実は私はかなり昔、京都でアレックスさんと顔馴染みでした。ずっと京都の亀岡市に住んでおられたのですが、京都の旅行会社に勤めていたときに、お客さんとして何度か手配をしたためです。当時はこれほど有名人になられることなど知る由もなく。相手はきっと私のことなど忘れているでしょうけど。
    今回、長野県の茅野市にある古民家宿「ヤマウラステイ」を宿泊先に選んだのも、アレックスさんプロデュースの古民家宿だったからです。私が泊まってみて心から気に入った「ヤマウラステイ」とは一体どんな宿なのか?詳しくご紹介したいと思います。

    アレックス・カー氏プロデュースの古民家宿

    外観も立派な一軒家

    外観も立派な一軒家

    「ヤマウラステイ」は長野県茅野市にあるアレックス・カー氏プロデュースの古民家宿です。古民家宿は一軒丸ごと貸し出しされる、普通の旅館とは全く違う特別体験のできる宿なのです。「ヤマウラステイ」がある集落は山浦と呼ばれ、遠く1万年前の縄文時代から山の恵みを糧に自然と寄り添いながら生き抜いてきた土地でした。
    “Rural Retreat”─“田舎でのくつろぎ”をテーマに4軒の古民家宿が長野県茅野に誕生しました。その中の1つ「渋道」と名付けられた最も大きな古民家宿を私たちはチョイス。アレックス・カー氏が自らプロデュースしたという特別な空間です。
    最寄りの茅野駅の観光案内所に向かうと、「ちの観光まちづくり推進機構」の人が出迎えてくれて、そのまま車で送迎してもらいます。

    お向かいには公民館もある普通の町中

    お向かいには公民館もある普通の町中

    戦国時代から栄えた街道の中心に建てられた木棟造りの2階建ての一軒家は、広々としていて、一見よくある「田舎のおばあちゃんの家」といった雰囲気。元の持ち主は標高1700mの奥蓼科温泉郷のひなびた温泉旅館「渋 辰野館」のご主人でした。100年前に創業され、当時は隠し湯にふさわしい湯宿だったとか。このご主人は蓼科高原を開拓したパイオニアのひとりだったそうです。
    元は養蚕が行われていた2階部分はベッドルームに、馬が飼育されていたという1階のスペースはキッチンへと生まれ変わり、新旧と和洋が上手く融合したつくりになっています。一歩建物に足を踏み入れた途端、私はここが大好きになりました。

    モダンなインテリアの快適空間にびっくり

    リビングの向こうには本格的なキッチンも

    リビングの向こうには本格的なキッチンも

    かつて私は古民家宿に苦手意識がありました。年季が入って古びて陰気くさいし、何より人が住んでいた痕跡がありありと感じられて居心地が悪い気がしていたのです。実際以前泊まった蔵を改装した古民家は薄暗くて狭くて好きではありませんでした。
    しかしヤマウラステイはそんな古民家宿に抱くネガティブなイメージが全くと言っていいほどなく、良い意味で新しく改装されています。特に私が「新しいな」と感じたのが玄関に設置されたキーロック。パネルに指定されたナンバーを打ち込むとドアの鍵が解除される仕組になっていて、閉める時はオートロック。ドアのスタイルは昔ながらの引き戸なのに鍵の掛け方だけ現代らしくて面白かったのです。

    新しい宿だけあって、水回りの設備も完璧

    新しい宿だけあって、水回りの設備も完璧

    一方、かつて養蚕で使った道具が壁に掛けられてインテリアとして使われていたり、囲炉裏がそのまま残されていたりと古民家らしさも感じさせてくれます。特に1階部分の居間は広々とした畳敷きでクラシックな印象。それでいてIH完備のキッチンに繋がるダイニングルームはテーブルやソファも置かれていてモダンな空間です。
    バスルームも最新の設備が整っているので、初めて古民家に泊まるような人でも安心して利用出来ます。環境にやさしいアメニティが置かれているのも、さすがに今どきの宿です。

    地元の集落の中で日常を過ごす楽しみ

    囲炉裏端もあって、田舎のおうちにお邪魔してるよう

    囲炉裏端もあって、田舎のおうちにお邪魔してるよう

    普通古民家宿と言うと、もっと自然に囲まれた場所にあるイメージですが、ここは茅野市の地元の集落の中にあるのです。向かいには公民館が建っているようなごくごく普通のロケーション。車で通り過ぎれば、ちょっと立派な民家にしか見えません。周りの民家の中で溶け込んでいます。
    だからこそ「田舎のおばあちゃんの家」といったような、どこか昔懐かしい感じがするのでしょう。お隣のおばあちゃんが「おはぎ作ったからおあがりな」なんて持って訪ねて来てくれそうな気がします。
    ここは大きなガラス戸から明るい日が差し込んできます。蔵を改装した陰気な宿とは対極の明るくて楽しくなる家でした。

    2階がベッドルームになっている

    2階がベッドルームになっている

    今回泊まったのは1泊だけでした。完璧な台所があるのに、全く料理をしなかったのも残念。大きな冷蔵庫もレンジも、調理器具やお皿類にグラスなど、すべて完璧に揃っています。何日かステイして実際に暮らしてみるゲストも多いのでしょう。でも2-3人では広すぎるしコストもかかるので、2家族くらいで借りればもっとリーズナブルにわいわい楽しめるかと思いました。
    大体必要なアメニティは揃っていて、ないのはパジャマと歯ブラシ、歯磨き、洗顔用品、シャワーキャップ位です。自分のパジャマで寛いでいるとますます我が家感が増したのは事実ですが。でも車で来るならいいけれど、旅行中の1日としてここだけのためにパジャマ持参だったのは荷物になって困りました。用意してもらえたら助かります。
    またテレビはないので静かに読書などして過ごせます。アレックスさんの書かれた本も数冊置いてありました。

    食事はどうするの?

    蓼科高原の薪料理イタリアン「カエンネ」はおすすめ

    蓼科高原の薪料理イタリアン「カエンネ」はおすすめ

    数日滞在する人なら、完璧に揃ったキッチンで自分で料理するのもいいかもしれません。自炊セットの依頼をすれば、あらかじめ用意しておいてくれるそうです。でも1泊なら、外のお店に食べに行くか、ケータリングを頼んでゆっくり家で食べたり、自分たちの好みに合わせて選べます。地元のプロの味をデリバリーしてくれるサービスも人気です。ちなみに私たちは近くのイタリアンを予約していたので外食にしました。

    本場仕込みの生ハムをつまんでワインを(カエンネにて)

    本場仕込みの生ハムをつまんでワインを(カエンネにて)

    山浦の暮らしや文化にもっと踏み込んでみたいと思えば、山浦の伝統レシピを地元の方に教わりながらつくる料理体験プログラムもあります。予約の際に一緒に聞いてみるといいでしょう。
    あとはスペシャルな感じで、プロの料理人が料理しに来てくれるという出張プランもあるようです。
    朝食は八ヶ岳の発酵食を活かした竹籠弁当ほかさまざまなデリバリーもあります。

    クリスティーナさんのこと

    日本文化に造詣が深い外国人たちが関わっている

    日本文化に造詣が深い外国人たちが関わっている

    茅野駅で私たちを出迎えてくれて、この「渋道」という宿へ案内してくれたクリスティーナさんはイタリアのフィレンツェ出身の女性。外国人に日本の古民家宿を案内してもらうとは少し妙な気分でしたが、7年前に日本にやって来た彼女は日本語もペラペラです。
    このヤマウラステイはそもそも、だんだん寂れていく村の再生のために茅野市の「ちの観光まちづくり推進機構」が企画して、アレックス・カー氏がプロデュースして実現した宿なのです。運営は「推進機構」です。彼女は5年前からここのスタッフとしてプロジェクトに参加してきた女性なのです。こうした公的機関が運営すると、ハードだけできてもソフト面で追いついていないことが多いのですが、クリスティーナさんのような古民家に情熱を持っているスタッフが在籍しているのは大きな強みとなっているようです。

    「渋道」は広々としていて6人まで宿泊可

    「渋道」は広々としていて6人まで宿泊可

    詳しい説明をしてくれ、「渋道」まで車で連れて行ってくれ、親切に宿でのステイをヘルプしてくださったのです。とても優しく感じが良くて、おかげでここでの滞在が思い出深いものとなりました。
    日本の文化や茅野の地にも造詣が深い彼女は、この古民家宿に泊まることは「ハレの日」ではなく「ケの日」(日常)なのだと言います。地元の集落の中で日常を過ごす、それは特別な「ケの日」だと。
    なるほどと、後になって納得したのです。

    宿データ

    バスルームも最新の設備が整い清潔

    バスルームも最新の設備が整い清潔

     

    宿の名称ちの旅 ヤマウラステイ
    運営会社ちの観光まちづくり推進機構
    住所長野県茅野市 ちの3506
    電話0266-73-8550
    渋道の住所長野県茅野市北山
     延床面積183㎡ 敷地面積662㎡ 定員6名 駐車場1台
    渋道の宿泊代2人の場合 食事なしで ひとり32000円~ 3人の場合 ひとり28000円~
     他にも花兎(61㎡)は2人の場合1人21000円~や金渓(103㎡)清水(141㎡)の古民家もあり

    まとめ

    食事なしプランなので蓼科で外食を楽しむ

    食事なしプランなので蓼科で外食を楽しむ

    いかがでしたか?こんな古民家宿なら泊まってみたくなるのではないでしょうか?今度の旅行にぜひ計画してみてください。

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