行ってみたいけれどなかなか予約が取れなかった店のひとつが、この新潟市にあるフレンチ「レストラン イソ(Restaurant ISO)」さんでした。ディナーのみ営業で1日3組限定のお店です。ミシュラン1つ星でゴ・エ・ミヨ15.5点の評価の高いお店とはいえ、これほど予約が取りにくいのはなんでだろう?今回たまたま予約が取れてお店に伺ってみると、その原因がわかりました。
オーナーシェフ磯部冬人氏とマダム2人でお店を切り盛りされているから、かつてやっていた時期もあるランチとディナー両方の営業も厳しくなり、ディナーのみ営業に。そもそも2016年オープン当初から1日3組のみを貫いてこられたそうです。コロナ禍で3密を考えて3組ではなく、もともとシェフ1人でできる限界が3組だからだそうですが、今の時代には理想的なゆとりです。
そしてどうして予約が取り難いのかというと、全国から予約が殺到しているという前に、地元のリピーターさんが90%を占めていて、帰り際に次の予約をして帰るからだそうです。地元のゲストを大切にするシェフの思いには好感が持てますが、遠くの客である我々にはちょっと困るんですが・・(笑)
新潟市内、繁華街から外れた場所にあって隠れ家風のお店は、京都の町屋レストランのように素敵な暖簾がかかっていました。元は蕎麦屋の建物を改装したので、純和風の中庭もあってスタイリッシュな店内と融合して和モダンな空間です。
長岡市出身のシェフはフランスで修業した後、白馬の「ラ・ネージュ東館」や佐渡の旅館のレストランで料理長として活躍された後、奥様の地元である新潟市でこのお店を始められたのです。
ディナーは1種類のみで、全8皿で10000円(税込み11000円)のコースを頂きました。アミューズ、自家製の焼きたてパン、スープ、前菜2皿、魚料理、お口直し、肉料理、デザート、小菓子、食後のお飲み物という構成です。
アミューズ2品はモッツァレラとグリーントマトとジュレ、枝豆やクリーム、固いチーズをサブレに載せたものでグリーンと白のきれいな料理です。その間に挟まれた冷製のビーツのスープは鮮やかなローズピンクが美しいもの。味もいいけれど見た目も素晴らしい品々です。お皿のきれいなことも必見です。
前菜の1皿目は佐渡のキジハタの湯引き。言うまでもなく新鮮で美味しく、付け合わせの数種類のプチトマトが甘さも色どりも食感も異なり変化に富んでいるのが楽しいもの。次の前菜が最も印象に残っている穴子料理。蒸し焼きにした驚くほど柔らかい穴子をジャガイモのピュレの上にのせ、サマートリュフをかけた絶妙な味わい。(冒頭の写真)。
魚料理は新潟産甘鯛の鱗焼き。外はカリカリ身はしっとり。ヒラメなどの魚類のブイヤベースソースをかけてあります。梅酒のグラニテでさっぱりした後は、越後牛のフィレのロースト。かなり上質で柔らかいお肉で、付け合わせの夏野菜が一つ一つ丁寧に調理されていて、またカラフルで素敵です。デザートは白桃とフロマージュブランのアイス、ミントやグアバソースかけ。焼きたてのパン2種もプティフールも、コーヒーも一切の手抜きなく満足のいくディナータイムでした。
地元のリピーターさんはこんなに洗練されたフレンチをいつも食べられて羨ましい!全国からのゲストが殺到する店かと思ったのに、シェフとマダムがまったくそうしたことに無頓着のようで。マイペースであくせくしないゆったり感が、またこの店の魅力なのかもしれません。 (2021年7月訪問)
レストラン名レストラン イソ(Restaurant ISO)
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 新潟県新潟市中央区春日町7−13 |
TEL | 025-290-7330 |
予算 | ディナーのみ コース11000円(税込み) |
座席 | 3組、上限6名くらいまで |
個室 | 半個室風テーブル席あり |
予約の可否 | 完全予約制 |