渓谷に佇む隠れ宿　峡泉（天龍峡/長野県）～スベスベのラドン温泉と天龍峡ビュー

現在貸切風呂になっている2つのお風呂のうちのひとつ

テラスからのビューが最高の「龍」の室内

長野県、天龍川の景勝地である天龍峡にある温泉宿「峡泉」。国定公園の豊かな緑に包まれ、眼下には天龍川が流れています。敷地内に聳える立派な木々の幹に付けられた巣箱には、なんとムササビがやって来るとか。他にもフクロウやハクビシンなどの小動物も棲息しているのです。それほどの大自然を満喫できる宿なのです。
ラドン温泉のお湯はしっとりを超えてトロリとしていて、入った後は肌がすべすべになっています。まさに美肌の湯！元、大浴場だった2つの風呂が現在は貸し切りの家族風呂となっていて、空いている時はいつでも入れます。シャワーが4人分付いているものの、湯船は小さめなので家族風呂にちょうどいいサイズです。

夏野菜冷やし鉢

全8室のうち、4室はリノベーションされた和洋室で、半露天風呂か信楽焼の風呂付です。残る4室はユニットバスかバスなしでリノベーションされていない部屋で、木に隠れて眺めも見えないそうです。安めのお部屋は他室の音も響くとの投稿が目立つので、そちらは避けるのがベターでしょう。ずっと前から別の旅館だった建物を30年ほど前に改築したそうです。上階の音が響きやすいのは、古い建物なので防音が悪いのでしょう。
私の泊まった「龍」の部屋には室内風呂がありますが、これは信楽焼の五右衛門風呂なのがユニークです。遠赤外線効果により温泉の効能が高まるそう。テレビはタブレットが置いてあるだけで、大きいのはありません。ちょうどオリンピックでサッカー観戦をしようと思っていたのに、小さいタブレットで少しがっかり。。。

朝食もヘルシーで美味しい

楽しみの夕食タイム。30台の若いシェフは京都で修業したそうです。10皿ほどの豪華な会席です。メニューの前半はあまり美味しいと思うものがなかったけれど、途中から斬新な料理が目立ち始め挽回です。トウモロコシのすり流しは素朴ながらほっとする美味しさです。トウモロコシ全部を使っているとかで、すりつぶしてカリカリのせんべいにしたり、ひげを揚げてあったり変化のある工夫。鮎の料理はありきたりではなく、頭と中骨と尾っぽはカリカリに揚げて香ばしく、中は肝を付けて焼き、マッシュしたジャガイモを挟んであります。面白い！
低温調理の南信州牛のフィレはやわらかく、２口目にはワイングラスに入った熱々のコンソメスープを口に含んで一緒に食べてくださいとのこと。味わいがさっぱりしつつも、肉の旨味が際立ち、口の中で絶品のビーフが仕上がったのには驚きです。旅館の料理でここまで斬新なビーフを出すとは若いシェフならではでしょう。「地産地消　海のものは出さない」というしっかりしたポリシーを持っておられるのも、中途半端にならないで素晴らしい品々が出来上がっている要因でしょうか。
この旅館に、美食を求めてやって来るリピーターも多いというのが頷けたのです。
(2021年7月訪問）

旅館名渓谷に佇む隠れ宿　峡泉