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美瑛のホテルを探していると必ずと言っていいほど上位にヒットする「森の旅亭 びえい」。自然に囲まれた数寄屋造りの宿では、木々の香りと源泉かけ流しの湯が私たちを出迎えます。
「ゆったりと過ごせるように」…そんなコンセプトの元つくられたこのお宿。しかし実際にはネットでの高い評価と随分ギャップがあるように感じました。今回はそんな自身の経験も踏まえて「びえい」という旅館を紹介していきたいと思います。
絶景青い池や美瑛の観光に便利な温泉
「森の旅亭 びえい」はその名の通り美瑛町白金温泉にある温泉宿。ここの魅力は何と言っても観光地へのアクセスのしやすさにあります。北海道旅行の定番観光地であり、絶景が広がる「青い池」へは車でわずか5分。近くで美瑛最大の観光地「四季彩の丘」の美しい花畑を見てまわるのもいいでしょう。
美瑛や富良野にはホテルやペンションが多いものの、実は温泉は数えるほどしかありません。そんなエリアで本格的な温泉を楽しめるとあって「びえい」は多くの観光客から利用されているお宿なのです。もちろん源泉かけ流しの大浴場や露天風呂もあります。
十勝岳連峰の大自然をバックに、どの部屋からも白樺やエゾマツなどの北海道ならではの自然が見られるように設計された「びえい」。森に囲まれたこの場所は都会の喧騒を忘れさせるような静寂に包まれています。
部屋の第一印象は・・・
「びえい」のお部屋は全17室の平屋づくり。コテージ風にそれぞれ独立したお部屋が回廊で繋がっており、静かに滞在することが可能です。私が今回泊まったのは、離れの1番奥に位置する「槐(えんじゅ)」というお部屋。離れ棟の全5室と本館の一部のお部屋には露天風呂もついていて、のんびりお風呂を楽しみたい人にもピッタリでしょう。屋根付きの青ヒバのお風呂は情緒もあります。
そんな「びえい」のお部屋ですが、玄関をくぐってまず抱いた感想が「めちゃくちゃ狭い」ということ。一応定員は3名とされていますが、今回実際に3名で泊まってみてこれは3人で泊まっちゃいけない部屋だと確信しました。というのも僅か10畳ほどの小さなスペースにぎっちりと並んだ3つの布団。もうこれだけで相当圧迫感があります。部屋の端には追いやられるようにローテーブルやソファが置かれていましたが、狭すぎてゆとりが全くありません。しかしそんな小さいお部屋に中くらいのテレビやミニバー、湯沸かし器、エスプレッソマシンなどなどコンパクトにいろいろ置いてあるのには驚きました。
しかし昼間は外の光が差し込んできてやや明るいものの、夜になると照明の少なさを感じてしまいます。今どき薄ぼんやりと明るい部屋なんて需要ありませんし、そんな雰囲気のある旅館でもないので明かりは増やした方がいいでしょう。あと個人的に不便だと感じたのが洗面所の狭さ。化粧ポーチや歯ブラシなどなど洗面台の周りには物を広げがちですが、ここの洗面所はそんな物を置くスペースすらない。使い勝手が悪すぎます。
普段からこぢんまりとしたホテルに泊まる人なら平気かもしれませんが、それでも部屋露天付+2食付とは言え1人1泊34,100円とは…コスパの悪さを感じてしまいました。
サービスは悪くないけど・・・
お部屋にはかなり不満のある「びえい」ですが、サービスに関しては悪くなかったように思います。部屋数に対してかなりスタッフさんがいる印象で、大浴場に行くためにフロント前を通るとなんと5人ほどのスタッフさんが。皆さん作業の手を止めて丁寧に挨拶してくださって、教育も行き届いているように感じました。
しかしその一方で食事のスタイルに疑問もあります。コロナ禍ということもあり極力会話を控えるようにというのは分かりますが、夕食を1時間半以内に全て終わらせてくださいという指示には首を傾げざるを得ません。これでまだ品数が少ないのであれば構いませんが、きっちり11品を提供。食べているそばからどんどん新しい料理が運ばれてきて、まるで中華のお店に来たかのような慌ただしさでした。もしどうしても1時間半という縛りを設けるのであれば、品数を少なくしてその分クオリティの高いものを出すべきです。今までコロナ禍でたくさんの旅館を泊まり歩いてきましたが、食事に時間制限がある旅館はここが初めてでした。
また厳しい決まりを作っておきながら、大声で騒ぐ隣のお客さんをずっと放置していたのもどうかと思いました。最後には注意してくれましたがどうせならもっと早く言ってほしかったです。
しかし料理そのものはそれほど悪くはなかったです。特に美瑛和牛の照り焼きや凄く美味しくて、それだけにこの食事スタイルが残念でした。
データとまとめ
宿名 | 白金温泉郷 森の旅亭びえい |
住所 | 北海道上川郡美瑛町白金10522-1 |
電話番号 | 0166-68-1500 |
予算 | 2名1室利用時、1人当たり1泊¥19,800~ |
お風呂 | 大浴場、露天風呂あり |
露天付き客室 | 離れ全5室、本館7室は露天風呂つき |
宿のHP | https://www.biei-hotel.com/ |
コロナ禍という特殊な状況下とは言え、通常通りのサービスを受けられるように工夫を凝らしている宿は全国にたくさんあります。「びえい」は残念ながら部屋も料理も平凡で、コスパも悪い。その上「ゆったりと過ごせるように」という宿のコンセプトからかけ離れた、食事の時間制限…わざわざ高いお金を出してまで泊まる宿ではないと私は感じました。ただ、夏の北海道は宿泊施設の料金が割高になる傾向があるのは仕方ないでしょう。観光地へのアクセスや温泉そのものはいいので、多大な期待をしないで訪問すればそこそこ満足できる宿なのかもしれません。 (2021年8月訪問)