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由緒正しい高級老舗旅館や情緒あふれる純日本風の古民家宿、はたまた和モダンな美食の宿やホテル。日本にはさまざまなスタイルの個性的な宿がいっぱいあります。そんな中から、今回はいろんな面にこだわって選び抜いた世界に誇れるような素晴らしい日本の宿ベスト10をご紹介します。いろんな特徴がある宿ばかりなので、好みで選んでみてください。お部屋は?ロケーションは?食事は?サービスはどう?実際に滞在してみてわかったレポートをお届けします。
(ベスト10の基準はファイブペンギンズによる独自のチョイスです。なお掲載順は1位からではなくベスト10の順位は不同です)
日本の宿 ひだ高山 倭乃里(わのさと) (高山市/岐阜県)
まず1番目にご紹介するのが、飛騨高山の古民家宿です。160年も前の豪農の館を改築したこの宿はもはや歴史上の遺産と呼んでもいいほど、世界に誇れる存在です。その名は「日本の宿 ひだ高山 倭乃里(わのさと)」。なんと15000坪もの敷地に原生林があり、小川が流れる中に茅葺屋根の家が建ち、まさに飛騨高山のムードも満点。日本に憧れる外国人が泊まったら感動すること間違いありません。
料理は田舎風で美味しく、サービスも温かいものでした。でも宿の一番の思い出は「囲炉裏おじいさん」の存在でしょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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Luxury hotel SOWAKA そわか (祇園/京都)
2番目に紹介するのは京都にある八坂の宿です。「Luxury hotel SOWAKA そわか」はホテルという名が付いているけれど、元料亭を改装したクラシックな和モダンの宿なのです。八坂神社のすぐそばに2年ほど前にオープン。かつて京都で名料亭と言われた「美濃幸(みのこう)」が廃業し、その建物がスモールラグジュアリーホテルに加盟するこの高級ホテルに増改築されたのです。ロケーションがめちゃくちゃよくて、観光にも食べ歩きにも最高です。
町屋を使ったホテルは京都に増えてきましたが、このホテルは建物も立派で部屋も広めで居心地よく、次元の違うハイグレードな宿です。部屋ごとに大きさも設備も異なり、私の滞在した本館2階の東山ビューのデラックスセミダブルは、59㎡で中の上というレベル。畳敷きの部分と窓枠などは古き良きものを生かし、板の間にはミニバーやクローゼットなど新しいものを設え、もちろんバスルームもシックでモダン。サービスの良さもさすがはスモールラグジュアリーホテルのメンバーです。
ところで、ここのラウンジスペースにはとある秘密が隠されていました。それは京都生まれの私でもびっくり。さてその秘密とは??
西村屋本館 (城崎温泉/兵庫県)
冬の日本の楽しみのひとつが日本海の松葉蟹。カニ尽くしの懐石を温泉のある優雅な旅館で、最高に新鮮な状態で頂く。それも至れり尽くせりのサービスの元。これが冬には欠かせない、まさに理想の宿なのです。
そんな我儘をかなえてくれる宿はそうそう見つかりません。あれこれ捜し歩いて、すべてをかなえてくれる宿はここしかないとたどり着いたのが城崎温泉の西村屋本館です。
この宿には素晴らしい温泉もあって、美食の宿としても年中おすすめですが、カニにこだわるならシーズン中に訪れてほしいものです。世界に誇れるカニの宿の「本生かにづくし」。これは地元津居山港で水揚げされた最高級の松葉ガニが1人2杯ずつ用意され、さまざまな料理で出してくれます。大きな蟹の足の刺身が乗った握り寿司などの先付。そして定番の茹で蟹はまるまる1杯。次に刺身と生の蟹味噌。炭火焼きで頂く蟹味噌甲羅焼き。蟹すきや蟹雑炊と幸福な時間が続くのです。年に1度行かないと寂しくなってしまうほど。
NIPPONIA HOTEL 大洲城下町(大洲市/愛媛県)
城下町大洲の旧市街に分散型の古民家宿NIPPONIA大洲城下町があります。素敵な町中に溶け込むようにして、このホテルはレセプションもレストランも客室もすべてが点在しているのです。街のあちこちで見つかるNIPPONIAの暖簾。部屋から夕食にレストランのある棟へは徒歩10分。夕暮れ時の散歩しながら向かうのも楽しいひと時。夜にはライトアップされた大洲城を眺めてそぞろ歩きも。このホテルはサービスもしっかりしていて食事も予想をはるかに上回るほどハイレベルなものでした。
私の泊まった部屋は蔵のタイプ501号室。この蔵のお部屋はとてもユニークなメゾネットタイプで、分厚い蔵の扉を開けて一歩足を踏み入れるとびっくりしました。そこにはガラス張りですべてが見渡せる1階丸ごとバスルームがあったのです。2階が丸ごと一間のベッドルームとリビングルームで、広々開放感があります。斬新なインテリアで、蔵なのに明るくできるように天窓や照明の工夫がありました。コスパの良さも注目です。
強羅花壇 (箱根/神奈川県)
随分前から日本旅館の中で私が好きな宿ベスト3に必ず選んでいた宿のひとつがこの強羅花壇です。長い間ブランクがあって、久しぶりに行ってみてもやっぱり素晴らしかったので、間違いなく世界に誇れる「日本旅館の王様」と名付けました。
玄関を入って出迎えられるのが「袴軍団」。袴姿の男性スタッフです。多すぎるほどの袴姿のスタッフがずらりと並んでのお出迎えは壮観。板張りの廊下をシャッシャッと音を立てて歩く姿は江戸時代のよう?
強羅花壇の象徴というシーンである一直線に続く木組みとガラス張りの渡り廊下も健在で、大浴場にも露天風呂があり、他にも貸切風呂もあっていろんなお風呂が楽しめるのも素晴らしいのです。
薄味でセンスがよく美味で適量の申し分ない懐石料理も見事です。これだけ完璧だから仕方がないにしても、コスパは相変わらずよくないかも。強いて言えばこれだけが難点でしょうか。
天然田園温泉 ふかほり邸 (久留米市/福岡県)
福岡県久留米市の田園地帯に、どこか懐かしい故郷のような宿「天然田園温泉 ふかほり邸」があります。4000坪もの庭を持ち、190年以上の歴史ある旧家を改装した建物を母屋に、全客室が離れにある5室だけの小さな宿です。私が泊まった「ひめしゃら」の部屋は環境が良くて、黒を基調にしたアジアンテイストのゆったりした和洋室で、とても静かなのが特徴です。滞在中他のゲストの存在を感じなかったほど。
部屋には専用の内湯と露天風呂があり、石風呂でともにかけ流しの温泉は泉質が素晴らしいのです。
宿には自家農園があり、野菜を作ったり鶏を飼ったりしていて、新鮮でいい食材がいっぱい。ディナーは「自然食会席」と呼べるほど、どれもがヘルシーな食材で格別の料理が出揃いました。どこかホッとする宿で温泉を楽しみ美味しい食事を満喫。そんな宿だから、多少地味でも世界に誇ってみたいのです。
俵屋旅館 (麩屋町姉小路/京都)
京都に現存する最古の旅館として、300年以上の歴史を持つ高級老舗旅館が俵屋旅館です。建物は登録有形文化財に指定されており、ここに泊まるだけで京都の歴史の真っただ中に潜り込んだような気分になれるのです。日本のみならず世界の著名人が京都での常宿にしているほどです。
私が泊まったお部屋は、庭に鹿威しがあって情緒たっぷり。そんな庭を眺められるお風呂が付いていました。お風呂は冷めにくい高野槙の湯船で、心地よく癒されるバスタイムです。
俵屋旅館の素晴らしさは、宿のおもてなしの心と言われます。たしかに宿に着いたときに現れるご年配の下足番(今でいうベルマン)の方々の温かい笑顔に気持ちもほぐれます。仲居さんも皆気が利いて親切。
夜も朝も部屋食でゆっくり楽しめるのは、コロナ禍にも安心です。旬の食材を使った会席料理はまさに典型的な京料理を堪能でき、逆に朝には和食の他洋食も選べるというのも老舗旅館なのに粋な計らいです。この宿にリピーターが多いことにも深く頷けるのです。
べにや無何有 (山代温泉/石川県)
山代温泉の薬師山という眺めのいい高台にある上質な老舗の温泉旅館が「べにや無何有」です。3000坪もある敷地に全室露天風呂付きのお部屋が16室だけという贅沢な宿です。
例えば、私の泊まった部屋は和洋室「唐紅花KARAKURENAI」。竹敷広縁付の和室とベッドルーム、それに檜の気持ちよい温泉露天風呂付きで広さは85㎡。ウォークインクローゼットも備えています。竹の床が素足に心地よいリラックススペース(竹敷広縁)では、ガラス張りの大きな窓から木々や町並と共に、遥か彼方に加賀観音像も眺められます。
「べにや」は老舗旅館で代ごとに名前が変わってきたそう。初代は「安楽荘」、2代目は「永楽」、そして今の3代目が「無何有」です。今の時代に合わせたスタイリッシュでモダンな要素を取り入れて、シンプルでも上質を極め、贅を尽くした極上の宿となっています。料理の方もハイレベルでサービスもしっかりしているので、国内外のVIPにも安心して薦められる宿と言えるでしょう。
THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海 (熱海/静岡県)
THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS のホテルの特徴は、やはりスタイリッシュで優雅で、食事が美味しいこと。もちろんサービスも良いし、チェーンのどのホテルに泊まっても外れることがない信頼感があります。温泉地ならパウダールームの真ん中にデンと居座るような展望温泉風呂も特徴的。
そんなHIRAMATSUさんの決まったパターンを完璧に打ち砕いてくれたのが、この熱海にある2つだけの和室です。私の泊まったのは「梅の間」という160㎡もの広さの数寄屋造りの建物でした。田舎の家に帰省した気分。縁側で花火でもしたい懐かしい1軒家です。
広い庭にある露天風呂は石造りで熱海の名湯を楽しめます。海を見渡せて開放的な気分が味わえます。
レストランでのディナーはハイレベルなフレンチ。期待を裏切らないどころかすべてが感動的で思い出深いものとなりました。日本建築の部屋に泊まり、夜は本格フレンチ・・・・世界に誇る宿として、どんなセレブでも満足させられるホテルに違いありません。
東山オーベルジュ薪の音 金澤(金沢市/石川県)
金沢の祇園とも言える花街、「ひがし茶屋街」。国の伝統的建造物群の保存地区にも指定されている観光名所です。そんな町並に溶け込んでいるのが「東山オーベルジュ薪の音・金澤」です。1日合計4組限定というスモールラグジュアリーなこの宿はモダンで清潔。街中にありながら静かなことにも驚きました。
オーベルジュだけれど食事は日本料理です。レストラン「東山 和今」は人気店で、食事だけしに来る人も多く賑わっていることがゲストにとっては多少難点と感じました。ゲストの食事処が別にあるといいのですが。毎月変わるメニューは金沢らしさが詰まった割烹スタイルで、金沢の「今」を味わうことが出来るのです。全15品ほどのコースは食材の組み合わせが素晴らしいアイディア料理の数々。お腹いっぱい食べて飲んだ後は上の部屋に戻るだけというのが、何とも嬉しいのでした。
まとめ
いかがでしたか?あなたの大切な方にも自信をもって紹介できる、世界に誇れる宿。今後の宿選びの参考にしてもらえれば幸いです。