広島駅から路面電車で20分。中電前駅から徒歩5分ほどの場所に「hiroto」というフレンチレストランがあります。中電前のこのエリアは美食店が多く店を構えるグルメ街。「hiroto」も広島県で唯一ミシュランの2ツ星を獲得しているレストランであり、今回広島旅行に際して真っ先に候補に挙がったお店でした。
今回私がいただいたのはディナーの12,000円のコース。シェフの廣戸良幸氏は余計なことは一切しないシンプルな料理を目指しています。例えばそれは「飾りのためにハーブを載せない。載せるならそれは料理を構成するために必要なもの」といったように、すべての食材に意味を持たせています。
まず出てきたのは人参のパンナコッタ。上にはコンソメのジュレとラトビア産のキャビアが載った一品です。これは王道ながら流石のクオリティでした。
次いで出てきたのはトウモロコシの冷製スープ。北海道に行ったばかりだったので正直トウモロコシのスープに関してはどうしても味にうるさくなってしまいます。しかしここのユニークなところは、普通の冷製スープの上にソルベが浮かんでいること。それだけ聞くと美味しそうに聞こえますが、そのソルベはただただスープを凍らせただけのもの。味は一緒で温度や食感が違うだけです。正直なんでわざわざ同じものを凍らせて載せたのか分かりませんし、それなら甘みの少ないミルクアイスでも載せたほうが良かった気がします。
そして私が特に「んん??」となったのが生の泉州ナスを使った前菜。チーズや鮎の魚醬、そして焦がしバターのスープといただくのですが、どうにもピンボケな味。味に締まりがない印象です。発酵食品が私の口には合いませんでした。
しかしその後に出てきたムール貝のフランやフォアグラの料理は美味しくいただくことが出来ました。ムール貝のフランはハーブのオイルが良いアクセントになっていて、ホッとするお味。一方フォアグラは火を入れて、赤ワインで煮たイチジクと。最近はやたらと手を加えているお店が多いですが、やっぱりフォアグラはシンプルに甘い果物と合わせるのが1番美味しいですね。
いろいろ書いてしまいましたが、全体的に見ればそこまで悪い料理ではなかったと思います。ただミシュラン2ツ星のお店ということで期待値が高すぎたのは事実です。当たり前のことですが、大抵のお店はどんなにレベルが高くても「すべての料理が美味しい」というのは稀です。今回は残念ながら私の好みとは違っていました。
しかしながら料理よりも改善すべきだと思ったのがサービス面です。お弟子さんなのか分かりませんが、接客してくれた男性は笑顔も無ければ気の利いた話題を振ってくれるわけでもなく、ただ淡々と料理を運んで簡単に説明をするのみ。せめて「どうぞお召し上がりください」とかそういうひと言があるだけでも印象は変わると思うのですが…正直これでサービス料を取るのが解せません。普段はあまりお店の文句を言わない友人でさえも「サービスのサの字も無かったね」と言っていたので相当です。サービスを向上させれば、もっと素晴らしいレストランになるだろうなと思います。ただ、帰り際に姿を見せてくださったシェフの廣戸氏は非常に感じの良い方で、笑顔でお見送りしてくださったのが嬉しかったです。 (2021年9月訪問)
レストラン名 | hiroto(ヒロト) |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 広島県広島市中区富士見町4-17 |
TEL | 050-5456-5348 |
予算 | ディナー¥12,705~ |
座席 | 20席 |
個室 | 無し |
予約の可否 | 完全予約制 |