restaurant KAM （レストラン カム）　(フレンチ/川口市/埼玉県）～川口の住宅街に古民家フレンチが出現！！

日本家屋で頂くフレンチはとっても落ち着く

川口市の住宅街に昨年4月オープンしたばかりのこのお店「restaurant KAM 」。オーナーシェフの本岡将（まさる）氏は、かつて23歳の若さで静岡の「レストランビオス」のシェフを務めておられました。その後、栃木県の「アートビオトーブ那須スイートヴィラ」の統括シェフをされていました。当時からシェフのことは知っていたけれどなぜか縁がなかった私。今回初めて行くチャンスに恵まれました。
築60年という日本家屋で、2組しかゲストを受けない特別なフレンチ。2月の平日のランチの予約が取れたのでお邪魔してみました。

日本家屋で頂く情緒あふれるランチのひととき

お庭では野菜やハーブなどを育てていて、摘みたてを使っている。

川口の駅から徒歩10分ほど、静かな住宅街の中の瀟洒な一軒家は、到底フレンチのお店には見せません。表にKAMと書いた小さな表札がなければ通り過ぎるところでした。
シェフの奥様のおじい様の築60年の日本家屋を改装し、庭では野菜を育てているそうです。
立派な古民家で、大阪障子と呼ばれる素敵な扉をそのまま残し、2部屋を区切って、2組のゲストを上手く個室風にしてもてなしてくれます。

最初に出たのが玉葱のキッシュ

床の間には掛け軸や日本刀が飾られ純和風ですが、ライトにはドライフラワーを入れたり、センスの良いインテリアも見受けられます。テーブルと椅子と絨毯は自分たちで用意したとか。200年前のイギリスのテーブルはねじを使わずに作ったからくり式だとか。各自の前に付いている引き出しにカトラリーが入れてあります。
テーブルから庭が見渡せ、シェフが時々庭に現れて、料理にすぐ使うハーブや野菜を摘んでいる姿も見られます。縁側に日差しが差し込んで、温かくていい雰囲気です。

サービス係は幼馴染のソムリエ田代さん

スペシャリテのリコッタチーズが燻製の煙に包まれて登場

シェフはこのお店を幼馴染でソムリエの田代圭祐氏と二人で経営して切り盛りしています。お二人は兵庫県の出身で、保育園の時からの幼馴染。高校生の時からフレンチのお店をやろうと考えていたシェフと二人で20歳の時にこの店の計画を始めたそうです。二人の名前のイニシャルを取ってＫ and MでKAMと名付けたのもその時。
シェフはフランスやバスク地方で修業を積んだ後、静岡や那須のお店でシェフを務め、田代さんは大手旅行会社などで働いて経営などに生かすべく経験を積んでソムリエ資格も取得したそうです。
それから数年が経ち昨年、満を持して27歳の時に二人の夢は叶いました。なんだかいい話です！

焼ったてのフォカッチャは玉葱入りでずっしりしていて美味しい

さてランチで頂いた11000円のコース。少しずつたくさん飲めると田代さんがお薦めしてくださったワインペアリングが7500円。途中モンラッシェが出たりして嬉しくなりました。ソフトドリンクのペアリングが5500円。こちらも結構凝っているドリンクです。

まず最初、アミューズとして出たのが玉ねぎをローストした焼きたてのキッシュ。上にたっぷりパルメザンチーズを削って、ブラックペッパーをアクセントにしています。最初の1杯のシャンパーニュにぴったりです。

シェフはゲストを見てからその日の肉料理を決める？！

ワインペアリングに大好きなモンラッシェが出た！

次がスペシャリテのリコッタチーズの燻製。香りを閉じ込めるためガラスの蓋付きで登場し、開けた瞬間ふわっと燻製の良い香りが広がります。フレッシュなミルクのクリーミーなチーズの上にサクサクと甘みのあるメレンゲが載せられ、オリーブアイルと塩がアクセントになっています。
北海道産の白子はカリッとポワレにしてアスパラやレンズ豆、柚子のコンポートと。
焼く前に一度見せてくれた焼きたてフォカッチャがここで登場。ずっしりとしていて中には玉ねぎも入っています。これで1皿と数えてもいいほどのボリュームです。
次はワタリガニをたっぷり使用したフランに、畑でとれたネギのソースとパプリカパウダーを合わせてあります。

北海道白子のポワレ

先ほどからシェフが庭に出て野菜を摘んでいると思ったら、ここで温野菜のサラダが出ました。アスパラ菜は摘みたての新鮮なものでした。
またシェフは料理を始めてしばらくするまでメインの肉料理は何にするか決めていなかったそうです。ここにきて「鹿肉に決まったそうです」と田代さんが教えてくれました。その日のゲストを見たり、いろいろ考え抜いて決めるのでしょう。
エゾジカのローストはフキノトウのソースと2種類のアスパラを添えて頂きます。
デザートは3層のチョコのデザート。横には赤ピーマンとラズベリーのアイスを添えて、凝った一品です。
長年にわたって培ってきたシェフの実力が随所に発揮されているランチでした。

まとめ

シェフの本岡さん（右）とソムリエの田代さんと

最初、焼く前に見せてもらった自家製玉葱入りフォカッチャ。料理の途中で焼き上がりました。ずっしりとしたパウンドケーキのように重みのある美味しいフォカッチャは、オリーブオイルがたっぷり滲みたカリカリの表面もすごく美味しいものでした。到底食べきれない量だったので持ち帰りさせてもらい、翌朝美味しく頂きました、
行ってみていろんなことがわかりました。若くして仲良し二人組が素晴らしいお店をやっていることに驚きと感動を覚えました。
今後のお二人の活躍から目が離せません。
(2022年2月訪問）