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どの分野においても「独学」というのは相当な努力を伴うものですが、フランス料理の世界となるとその苦労は計り知れません。今回ご紹介する「ル・ミロワール」は広島県東部の中心都市・福山市にあるフレンチレストラン。シェフは十数回以上の渡仏経験があるものの、レストランで修業をしたことはなく、一人でここまで腕を磨いて来られた努力の人です。
クラシックな店内でいただくミシュラン1つ星フレンチ
「ル・ミロワール」は2003年にオープンした老舗フレンチレストランです。店内はフランス料理店らしい上品でクラシックな空間で、アンティーク調の家具がオシャレです。
シェフの中山孝雄氏とマダムが二人三脚でやられているこのお店。テーブル席が3つと個室が1つで計20席のキャパですが、とても一人で料理をしておられるとは思えない程手際が良く、あまり待たされることもありませんでした。
冒頭で述べた通り、修業経験が無く全て独学で身に着けたという中山シェフ。それでも二期連続でミシュランの1つ星を獲得するなど、その味が高く評価されています。
地元の食材を使ったフレンチ
「ル・ミロワール」では瀬戸内海で獲れた魚介や福山の野菜など、地元の食材を使ったフレンチが味わえます。特に塩加減と火入れにこだわりを持っているようで、いかに食材の持つ本来の旨味を引き出せるかということに重きを置いています。
伝統的なフレンチと言うと濃厚なソースをふんだんに使い、食材の味よりもソースの風味が勝ることが多々ありますが、「ル・ミロワール」の料理はそのバランスが絶妙だと感じました。
今回私がいただいたのはランチの5,500円のコース。ランチはこの1コースのみで、ディナーは11,000円から3コースの用意があります。まず出てきたのは帆立のサラダ仕立て。金柑や小かぶと和えられた帆立は、シェリービネガーのソースと。アクセントにブラックオリーブの粉末を散らしていて、爽やかな一品です。帆立の風味と金柑の甘みが相性が良く、ソースはあくまで引き立て役。素材の味を十分に感じられる一皿でした。
続いて出てきたのは追加で注文したマッシュルームのスープ。「プラス600円でスープはいかがでしょうか」と聞かれて反射的に「お願いします」と答えていましたが、これが正解。マコモダケのソテー、松の実を炒ったものが入ったスープは香りも良くホッと温まる味です。
5,500円のコースとは思えない満足感
天然鯛は皮面をパリッと焼いてパルマ産の生ハムと合わせます。ベルモットを加えたクリーム系のソースといただくのですが、これが全く重たくなく美味。派手さもなく、一見シンプルですが味には奥行きがあるのが「ル・ミロワール」の料理の特徴。ポロネギの優しい甘さもきちんと感じられるような味わいが良かったです。
そしてメインには仔牛のグリエをいただきます。こちらはサツマイモやシメジ、玉葱などを付け合わせとして選び、ソースはシンプルにマデラ酒や粒マスタードで。とても5,500円のコースで出てくるメインとは思えないほどクオリティも高く、満足感がありました。
デザートはクレームブリュレの苺ソースかけ。甘さ控えめのクレームブリュレは苺の甘酸っぱさとよく合い、料理の締めに相応しい一品です。
施設名 | ル・ミロワール(LE MIROIR)/フレンチ |
住所 | 広島県福山市宝町3-20 ダイアパレス宝町 |
TEL | 084-922-5822 |
予算 | ランチ¥5,500~ ディナー¥11,000~ |
客室数 | 20席/半個室あり |
風呂 | 予約可 |
公式サイト | http://le-miroir.jp/ |
まとめ
全体的に派手さはありませんが、クラシックな店内によく合う洗練された料理だったように思います。なにより東京や京都、大阪などの大都市で食べたら確実に10,000円はするであろうコースが、その半分ほどの料金で食べられるというのも素晴らしいと感じました。新幹線のぞみ号も停まる福山駅から徒歩わずか7分。九州や広島へ旅行するときにランチのため途中下車して立ち寄ってみたいものです。(2022年1月訪問)