ここ賢島に昔からあった老舗ホテル「志摩観光ホテル」。私はこのホテルを憧れと愛着を持って愛称である「シマカン」と呼んでいました。学生時代に名物の鮑のステーキとビーフステーキ目当てに1度だけ泊まりに行った思い出があるのです。今にして思えば鮑のステーキは昔からここのスペシャリテでした。
2008年に新しくこのベイスイートがオープン。古い方はクラシックと名付けられました。2016年にはサミットで世界の首脳がこのベイスイートに滞在したことは記憶に新しいものです。部屋は素晴らしいのですが、とりわけ感動的なのがバスルームです。ワイドなガラス張りで緑と海を眺めつつ入れるバスタブは大きく、天井のレインシャワーもいい感じです。下手な大浴場はなくてもこのバスルームで十分。むしろ籠っていたいほど気に入りました。
サービスの良さもさすがは老舗ホテルだけあって、プロの集団と感じされられます。きめ細やかでかゆいところに手が届くサービス。その辺の新しいリゾートホテルなど到底真似できないレベルの多さです。
ディナーの前にはラウンジで過ごすのがお薦めです。シャンパンやワインを飲みながらソファで寛いでいると、ワゴンでおつまみをいろいろ運んできてくれました。小さなキッシュやチーズや生ハムなど、どれもがアミューズ前のおつまみとして食欲をそそる美味しさです。
1971年、29歳の若さで総料理長になった先々代の高橋シェフが鮑のステーキなどを生み出して、「シマカン」を「食」で有名にすることに貢献しました。志摩で採れた食材しか使わない地産地消でレストラン中心のホテルを目指したのです。
1991年に入社して、20歳の時から高橋シェフのもとで厳しい修業を積んできたという樋口宏江シェフ。負けず嫌いで努力家で、叱られても絶対泣くものかと涙も見せず頑張ったというエピソードを聞きました。そして2014年には、「ラ・メール クラシック」とベイスイートの「ラ・メール」の両方の総料理長に就任するほどの名シェフに成長されたのです。
楽しみにしていた新生「ラ・メール」はグランメゾンと言える風格と気品のある本物のフレンチレストランでした。味ももちろん、サービスも超一流。樋口シェフは高橋シェフの精神を見事に引き継いで、なおかつクラシックの方では正統派、こちらではより進化した料理を提供されていたのです。私にとっての「シマカン」押しはまだまだ続きそうです。
(2020年8月訪問)
旅館名 | 志摩観光ホテル ザ ベイスイート |
住所 | 三重県志摩市阿児町神明731 |
TEL | 0599-43-1211 |
お風呂 | 大浴場なし |
予算 | 2名1室の場合 1人25500円から(食事なし) |
露天風呂付客室 | なし |