舞台は東京の金融街、日本橋兜町。お堅い重厚感のあるこの街に、そんな重苦しい雰囲気とは対照的にエレガントで洗練されたグランメゾン「アサヒナガストロノーム」があります。一歩店内に足を踏み入れるとそこはもう別世界。4~5人の黒服スタッフさんが万全のサービスで華やかな世界へと誘うのです。
そんな「アサヒナガストロノーム」を率いるのは、あのフレンチの名店ロブショングループの「ラ・ターブル・ドゥ ジョエルロブション」の料理長も務めた朝比奈 悟氏。彼のつくり出す料理はどれも古典を深めながらも今を感じさせる、驚きに満ちた一皿です。
コース料理の印象を決定づけるアミューズは目にも美しい3種。蝶や葉っぱをイメージした可愛らしいそれは見た目に違わず、この後の料理を期待させる名店の味。葉っぱを模したゴーフルで挟まれたリエットは、濃厚なのに上品な風味で食欲をかき立てます。
「アミューズがこだわっていて美味しいところは、その後の料理も全部美味しい」というのが私の持論なのですが、間違いなくアサヒナガストロノームはこの定義に当てはまるお店でしょう。その後も朝比奈氏のひらめきに満ちた料理は続きます。
特に驚いたのが前菜のズワイガニの一品。つけあわせはクスクスとカニを巻いたものと、上に被せた謎の緑の物体。チュイルと呼ばれるそれはサクッとした食感の言わば薄い煎餅のような料理で、ここではなんとタピオカを混ぜて作っているのだそう。一時ブームになって耳にタコができるほど聴こえてきたタピオカですが、ここまで原型を留めていない料理は初めて。見た目が面白いのは勿論ですが、カニとタピオカとクスクスという一見共存し得ない3つが見事にオシャレなフレンチの前菜へと昇華されており、シェフのアイディアに驚かされます。
ランチが1万円とかなりお高め設定のレストランですが、確実にそれに見合った料理の数々でした。斬新な発想と名店で培った技術で生み出される料理は、まさに兜町に突如として現れるこのお店のように非現実的で夢見心地になる美味しさ。ボリュームも申し分なく、きっと満足のいく時間になること間違いなしです。(2020年11月訪問)
レストラン名 | ASAHINA Gastronome (アサヒナ ガストロノーム) |
ジャンル | フレンチ |
住所 | 東京都中央区日本橋兜町1-4 M-SQUAREビル 1F |
TEL | 03-5847-9600 |
予算 | ランチ¥10,000~ ディナー¥20,000~ |
座席 | 20席 |
個室 | 有り |
予約の可否 | 予約可 |