頭島(かしらじま)は瀬戸内海に浮かぶ日生(ひなせ)諸島の中の小さな島。広島と宮城に次いで全国で3番目に牡蠣の漁獲量が多い岡山県の中で、漁業の町として知られる日生(ひなせ)エリアがその牡蠣の名産地なのです。頭島は本土と橋で結ばれ、日生駅から車で15分少々で行けます。
岡山や姫路からローカル線に乗り換え日生へ向かうのどかな列車の旅もまた楽しいもの。頭島に着いたら、展望台で島の風景を一望します。自然が豊かで美しい眺めに癒されます。海辺で牡蠣の種付けをする人々の姿が見えました。名物「牡蠣おこ」(牡蠣のお好み焼き)のお店もチラホラ見えます。つい大好物の牡蠣の写真と匂いに釣られて入りそうになりますが、今日は我慢!ランチに目指すイタリア料理のお店の予約をしているからです。その名も「頭島レストラン クッチーナ テラダ」。ミシュラン1つ星に輝くお店なのです。
この風光明媚な頭島の高台にお店はありました。薄緑色の木造りのレトロなムードの可愛い外観です。5年前、この島の郵便局跡のこの建物でレストランを開いてほしいと頼まれたシェフがいました。岡山で25歳の時に自分のお店を開き16年間続けて来られたのをクローズし、2016年9月にこの地に郵便局をリノベーションしてオープン。何とオープン以来5年間ずっと岡山の自宅から頭島に通っているそうです。
1日にランチ・ディナー共、各1組のゲスト限定なので、お店の真ん中にデンと大きなテーブルが1つ置かれているのみで、店内はすっきりしています。トイレなどは天井が低く扉も昔風で情緒いっぱい。オープンキッチンでシェフと奥様の作業風景を眺めることができます。
11:45入場、12:00スタートの5コース10000円のランチコースを頂きました。ディナーも同様のコースだそうです。
パンは自家製の固めの小さいパンで、スペインの食堂などでよく出てくるあっさりしたものです。メニューはこの土地ならではの天然の魚介類と野菜のみの構成。最初のお皿はタイラギ貝。エシャロットと酸味のあるマスタードソース添え。苦みが強めなのと、冷製で結構大きな切り身がたっぷりで、途中で飽きてしまいました。帆立の貝柱の食感より柔らかく水っぽい貝です。まだ寒い日なので、体を温める料理から始まるとよかったかも。2皿目は天然オコゼのコンソメ。オコゼの頭の部分がそのまま盛り付けてあり少々グロテスク。調味料なしで塩のみの味付けというものの、私たちには塩辛すぎて、コンソメを飲み切ることができないのは残念でした。
スペシャリテのリゾットは、さすがの美味しさです。お米は地元のヒノヒカリ利用。白身魚のマゴチと菜の花入り、チーズの味も良くて、イタリア産カラスミパウダーをかけて濃厚な味わいです。でもサラッと食べられるのが素晴らしい。ただもう少し火傷しそうに熱々だともっと嬉しいと思います。この後メインは真鯛のトマトソース。今日の食材は貝のほかはどれもがよく似た白身魚に終始。もちろん食材は地産地消で新鮮で美味しいのですが、例えば少量多皿にして食材にも変化を付ければ、飽きずに楽しめるのではないかという感想でした。
また牡蠣のシーズンでなかったため、牡蠣の前菜も牡蠣のリゾットももちろん出ないので、個人的に心残りでした。牡蠣のシーズンにまたお邪魔できればと思います。 (2021年4月訪問)
レストラン名 | 頭島レストラン クッチーナ テラダ |
ジャンル | イタリアン(イタリア料理) |
住所 | 岡山県備前市日生町日生2766-3 |
TEL | 0869-92-4257(問い合わせ専用) |
予算 | ランチ・ディナー共5品コース10000円、 ランチ4名以上ハーフコース5000円 |
座席 | 1日にランチ・ディナー各1組 |
個室 | なし |
予約の可否 | 完全予約制 |