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金沢市内で有名な日本料理店のひとつ「金澤せつ理」。店主の河田康雄氏はかつてミシュラン2つ星の金沢の有名料亭「つる幸」の2代目主人で料理長をしていた方です。2018年に店を閉じた後、「つる幸」のすぐ近隣にこの店をオープンされました。新たな舞台はこの小さなカウンター割烹でした。カウンター席を設けて目の前で美味しい料理を提供したいという強い思いがあったからだそうです。
ディナーのみの営業。現在はゆとりを持ってカウンター5席、半個室のテーブル4席の計9名が18時半から一斉スタートです。「仕込みから調理、接客まで全部ひとり」と言われるのは本当のようで、広いカウンター内で調理するのは大将只一人です。サービス係も見たところ女将さんひとり。でもすでに2021年度版ミシュランで1ツ星を獲得されたのです。
豪華食材がどんどん登場の贅沢ディナー
トリュフ、ウニ、カニ、エビ、フォアグラ、カラスミ、キャビア、イカ、ノドグロ、タイ、大トロなどなど。大将の料理には豪華食材がこれでもかというほど登場します。ややハイカロリーのものも。でもただ豪華な食材が並ぶわけではありません。斬新な手法で驚かされる絶品料理がどんどん出てくるのです。
広いカウンターでは壁面に巨大なスクリーンがあり、四季折々の美しい金沢の風景が流れています。料理を食べながら眺められるのもステキですが、待っている間も心が癒されるので、これはグッドアイディアかと思います。カウンターでは大将がひとりで9人分を仕上げていきます。
最初に出てきた2品は空腹時に食べるととりわけ幸せを感じられるものでした。若い人でも日本料理が大好きになれそうな、いわば薄味あっさりの京都風シンプルとは対極のやや濃いハイカロリーの料理です。
まずは香箱ガニ。白子のすり流しをグラタンのように表面を炙ります。トリュフをざっくざくと削ってかけて、アンチョビが入った小芋を添えて。大将いわく「この店ではトリュフは香りのいいキノコ位に平気で使いますのでたくさん出ますよ」とのこと。太っ腹な削り方にワクワクします。
カラスミシャーベットと熱々の雲丹茶碗蒸しの融合!
2つ目は八寸です。熱々の雲丹やゆり根、マッシュルームの茶碗蒸し。これだけで贅沢ですが、ここではカラスミのシャーベットの板状のものをたっぷり載せます。熱々茶碗蒸しと冷たいシャーベットが面白い!そして美味しい!もう一皿には平目の昆布締めにこのわた(ナマコのはらわたの塩辛)を少しかけて。
次は蓮根餅です。中にはたっぷりのカラスミが入っています。それを海苔でぐるっと巻いたのをパクリと手で頂きます。こういうお餅はやっぱり好物!
椀物はカニと湯葉の真丈、原木椎茸「のと115」の入ったお吸い物です。ホッコリしたところで、お造りが2回出ます。まずはこちらではナメラと呼ばれるマハタ。大葉で包んで3日間寝かせてあります。大きなボタン海老と小さな甘エビも一緒に。さすがにトロリと甘くて北陸の醍醐味を味わいます。2皿目はボストンの天然マグロを燻製にしたものと塩を付けて3日間寝かせたヤリイカやキャビアと。
6回お替りした人がいる香箱カニご飯の美味しさ
炊きものは源助大根を炊いたもの、若狭の甘鯛にフォアグラを巻いたもの。香箱ガニの餡かけ。炊きものひとつにも豪華食材がきちんと入っています。
しゃぶしゃぶにはノドグロ、白子、ジャンボ椎茸、春菊やレッドオニオンが入っています。
お食事は炊き立てのご飯を持って大将が披露します。中には香箱カニのご飯。美味しくてお替りします。大将の「つる幸」時代からの自信作とかで、皆さん多い人で3杯から6杯お替りする人がいるそうで、それも女の方にも多いそう。
デザートもしっかり美味しいものが出ました。厳選されたフルーツは、紅マドンナ、シャインマスカット。それにマスカルポーネチーズに卵をプラスして砂糖を振って炙ってキャラメリゼした後、ここのもトリュフをザックザク振りかけます。デザートにまでトリュフ??と思うけれど食べてみたらこれがまた絶品。豪華食材の効力は最後まで続いたのでした。
レストラン名(ジャンル) | 金澤せつ理 |
住所 | 石川県金沢市高岡町4番5号 |
TEL | 076-264-2375 |
予算 | ディナーのみ営業 一斉スタート 21000円のコースのみ |
座席/個室有無 | カウンター5-6席 別途半個室あり |
予約の可否 | 完全予約制 |
公式サイト | https://kanazawa-seturi.com/ |
まとめ
大将の河田氏は一昔前に流行ったテレビ番組の「料理の鉄人」で日本料理のレジェンド道場六三郎氏とあんこう対決したことがある経歴の持ち主です。そして数々の料理人としての実績を積んで来られた実力派。
現在は一人ですべての料理をこなしていることから、19時スタートで料理が終わるのは22時近くになりますが、その内容はじっくり味わって食べるにふさわしい逸品ぞろいです。
痛風になりそうな豪華食材と茶化す人もいますが、カニや雲丹、フォアグラ、トリュフにキャビアにカラスミと、嬉しくなるような美食三昧。それもオリジナルの料理法で驚きの工夫がある料理の数々を堪能させてもらいました。 (2021年12月訪問)