もしもあなたがグルメで日本料理に興味があるなら、きっと憧れるはずのこのお店。「柏屋」は1989年に現在の総料理長である松尾英明氏となって以来、ミシュラン3ツ星を獲得、ゴ・エ・ミヨでも4ツトック、17点という稀に見る高得点。ルレ・エ・シャトーにも加盟し、世界的に知られる名料亭なのです。
ペンギン案内人仲間の一人がなんとこの松尾氏とは関西学院大学時代の学友だったため、以前から「すごく美味しいからぜひ食べに行って」と勧められていたのです。千里山の住宅街にあると聞き、行きにくそうと思い込んでいたところ、今回実際に行ってみて新大阪駅からタクシーで20分で着いたので、それならもっと早く行っておけばよかったと後悔しきり。それほどお料理が素晴らしかったのです。
松尾氏は滋賀の「招福楼」で修業をしたのち、実家であるこのお店を継がれたのです。美しい庭園もある数寄屋造りの料亭では、2人である我々でも静かでゆったりと広い個室が用意されました。献立は食材まで丁寧に書かれた会席です。茶の湯の心を大切にされてきた松尾氏のこだわりはすごいのです。新暦と旧暦のずれから生じた年中行事の時期の捉え方など、暦を考慮した献立作りをしていて、このお店が慶事や法事などをよく扱っておられることも頷けます。
8月下旬の猛暑の昼にこれ以上ふさわしいメニューはない!そう感心したお料理は、涼しげで重厚なガラスの器に入って登場。松尾氏の料理は伝統的なのに創造性があって驚きがあるものばかり。先付けの車海老、雲丹、アボカドのゼリー寄せは、底に白いクリームがあります。それは松の実を擦ってできたクリームだと聞いてびっくり。どう見てもフレンチのクリームなのに、エビの出汁とぴったり合う和風クリームなのです。
煮物碗ではお店の実力をいやが上にも発揮。冬瓜の上に香ばしくふくよかに焼き上げた鰻の白焼きをのせて熱々の極上出汁をかけてあります。他店では真似のできない味です。
お造りの鱧は5種類の料理法で出されます。中には叩き寄せと言う鱧とは分からないものも入っていました。発想がとにかく斬新です。この後続くたくさんの料理の素晴らしさについてここでは書ききれないのが残念です。
今日は松尾氏はお出かけなさったので、奥様である女将さんの松尾克子さんが挨拶に来てくれました。料亭の女将さんという派手なイメージと違って理知的で優しい感じの方という印象です。そしてご主人とのエピソードも聞くことができました。奥様も同じ関学出身で大学時代からずっと一緒で、お店も一緒に二人三脚でやって来られたとか。そしていろんな人との縁を感じている、というお話にとても感動したのでした。私も縁があってまた来れることを願ってやみません。
(2020年8月訪問)
レストラン名 | 柏屋 |
ジャンル | 日本料理 |
住所 | 大阪府吹田市千里山西2-5-18 |
TEL | 06-6386-2234 |
予算 | 昼食10000円から 夕食15000円から |
座席 | 40席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 完全予約制 |