目黒川のほとりに建つイタリアン「リストランテ カシーナ カナミッラ」。ちょうど桜並木が連なるこのエリア。春になると店内の大きな窓から満開の桜が楽しめる、素敵なロケーションが評判なのです。残念ながら私が訪れたのは1月の末だったので桜の木を拝むことは出来ませんでしたが、イタリアの調度品が並ぶ店内は明るく爽やかで居心地のいい空間。今回は4,000円の「バックス ランチショートコース 全5品」をいただきました。
実はイタリアのトリノにある星付きレストラン「ラ バリック」で4年半、セコンドシェフとして店を支えていた、オーナーシェフの岡野健介氏。なんとベネズエラ出身だという彼は、1981年生まれながら既に21年もの料理人としてのキャリアを持つベテランなのです。
そんな長い料理人人生のためか、はたまた国際的な彼の生い立ちが成せる技なのか、「リストランテ カシーナ カナミッラ」では創作性に溢れたユニークなイタリアンが提供されます。敷居の高い高級イタリアンとは違い、郷土料理らしい素朴なイタリア料理に個性を加えた彼の料理はまさに「新しいイタリアン」という言葉が相応しいです。
特にユニークなのが前菜で出てきたアーティチョークの一品。ピューレ状にしたアーティチョークの上から黒トリュフをかけ、旨味のあるスープと一緒にいただくこの料理。そのまま食べても勿論美味しいのですが特製のエキスを加えることで更に洗練された料理へと仕上がります。そのエキスの正体はマリーゴールドのオイル。数滴垂らすだけで一気に華やかな花の香りに包まれるそのオイルは、意外にも黒トリュフの香りを邪魔せずに、より一層深みのある味へと進化させるのです。そして面白いのがこのエキスの入った容器。なんと弁当などでお馴染みの魚型の醤油さしに入ったそれは、サンゴのオブジェと共に登場します。まさかイタリアンでこの醤油さしを目にすることになるとは…!(笑)
またメインのお肉も個性が光っている料理の一つ。沖縄県産のキビまる豚を炭火焼にしたその料理は、バナナの葉で包まれ香りと旨味を閉じ込めた逸品。嫌な脂っこさが無く、柑橘系のソースといただく豚肉はいくらでも食べられそうな美味しさ。バナナの葉で包んで焼くというのはイタリアンではまず見かけない手法ですが、国際的な視点を持つ彼だからこそ生まれたその自由な発想力は、いま日本のイタリアンに必要な新しい風をもたらしているように感じました。
勿論イタリアンで欠かせないパスタの腕も超一流で、「パスタの名人」とも言われている彼のパスタ料理は必見!特にスペシャリテのラビオリは最高で、15種類の野菜と肉を包んだラビオリは26カ月熟成されたパルメジャーノのソースといただきます。凝縮された旨味と深い味わいは虜になること間違いなし!4,000円でここまでの料理をいただけるとは…久々に満足度の高いイタリアンを堪能できました。(2021年1月訪問)
レストラン名 | リストランテ カシーナ カナミッラ (Ristorante Cascina Canamilla ) |
ジャンル | イタリアン(イタリア料理) |
住所 | 東京都目黒区青葉台1-23-3 青葉台東和ビル 2F |
TEL | 03-3715-4040 |
予算 | ランチ¥4,000~ ディナー¥10,000~ |
座席 | 24席 |
個室 | 有り |
予約の可否 | 予約可 |