「神楽坂石かわ」「木山」など、店名に自分の名字を入れる店は多いですが、自分のフルネームが店名というのは日本では珍しいのではないでしょうか。かつては日本の商店はほとんどフルネームの店が多かったように思います。しかし、それも昭和の中頃位まで。今はそんな時代でないように思います。
私はひねくれ者なので、こういう名前をつける店主は自己顕示欲が強く、私とは肌があわない人種だと思っていました。もっと、自分の店にふさわしい他の名前があるはずだろう、なんて思ってしまいます。当然こうした店にも行ったことがありませんでした。
しかし、京都で行っていない店でフレンチに行こうとしたら、行きたい店はここしか残っていません。2021年冬、それで仕方なく(?)この店をランチに訪問することにしました。
お店は京都・祇園のど真ん中。半径500mには日本料理を中心とした名店が軒を連ねる大激戦区です。料亭のような落ち着いた外観は祇園ならではです。
店内は明るくおしゃれで自然光あふれる空間です。町家の外観からすると、薄暗い店内を想像していましたが、予想外です。しかも、スタッフの挨拶の声も丁寧で、何かこの空気感が気持ちいいのです。いい店の予感がします。
ランチは7500円、10000円、15000円の3種。メインが黒毛和牛になる9品10000円のコースを選びました。座席はカウンター、テーブル、半個室の3種類あり、今回は半個室を選択。半個室は記念日や接待にも使われるそうでプロポースにも使う人がいるとか。
店内を見渡すと、コロナ禍の冬の平日にもかかわらず満席です。決して安くない価格帯にもかかわらずにこの人気に驚かされます。しかも大半は女性です。
前菜は3品が一度に提供されます。「北海道・馬糞雲丹/自家製フムス」は私が中東で一番大好きなフムス(ひよこ豆のペースト)。その上にエゾバフンウニ、ズワイガニ、白エビが乗っている一品でさわやかで美味しい料理です。シェフはフランス修行時代に世界35カ国の料理人との交流を持ったそうですが、レバノンの料理人からの影響を受けたのかな?「淡路島・新玉葱/イタリア・プッリャ州・ブラータ」は甘みのある玉ねぎのピューレ。デザートかと思うほどの甘さです。もう1品は「北海道仙鳳趾・牡蠣/鳥取和牛・オレイン55」です。この前菜3品の印象は強烈でした。いい店の予感は確信に変わりました。
続いての「奄美大島・アオリイカのカルボナーラ」はシェフのスペシャリテ。カルボナーラといってもパスタではなく、クリームソースに和えたアオリイカに半熟玉子を加えたもので、これも大変美味しいです。その後も「奄美大島・スジアラ」や「鹿児島和牛・A5・マルシン」など特筆すべき料理が続きます。全般的に和テイスト、インスタ映えする料理が特徴です。しかもボリュミーなので満足感も高いです。
ここでハタと気づきました。フルネームの店名は自分の料理への自信なのでは・・と。しかもサービス陣もしっかりしていて気持ちもいいです。料理、サービスすべてにおいて、責任を持っているんだというシェフの気概を感じました。
京都への小旅行デート。女性好みのこのお店の半個室でプロポースというのはいかがでしょうか。料理もサービスもいいのできっと思い出に残ることでしょう。それより、お相手がOK出すか心配って?それは大丈夫だと思います。
なんせ、食べログ上のお店のPRによると、プロポース成功率は100%だそうです。ほんまかいな。
レストラン名 | 山地陽介 |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 京都市東山区祇園町南側570-151 |
TEL | 075-561-8001 |
予算 | ランチ7500円より、ディナー10000円より |
座席 | 14席 |
個室 | 半個室、有り |
予約の可否 | 可 |