1970年創業、50年の歴史を誇る老舗ですね!と言うと、若女将さんはおっしゃいました。「うちなど老舗とは呼べません。金沢は京都と同じく、加賀百万石の古ーい歴史がある町ですから」
なるほどと思いました。若女将さんは個室に挨拶に来てくれて、ビールやお酒のお酌もしてくれ、桜の話やコロナの話や、いろんな話題で5分以上話していかれました。さすが、これこそ老舗料亭のサービスのやり方だと感心。
金沢の懐石料理の名店「銭屋」。2016年のミシュランで2つ星獲得、ルレ・エ・シャトーのメンバーであり、料理長が料理マスターズにも選ばれたお店なのです。いろんなタイプの個室があるようで、5-6室ある中から、今回はゆったり広めの個室で、テーブルと椅子が用意されていて足が痛くならなくて嬉しい座敷でのディナー。23000円の懐石料理を頂きました。
仲居さんのサービスもおもてなしの仕方もそつがなく丁寧です。これは女将さんの教育のたまものでしょう。
最初のお皿は私の好物「ぬた和え」です。甘えび、ネギ、まんじゅ貝、アサツキの新芽、食べられる花の春蘭。生ビールとの相性も抜群です。次は桜仕立ての珍しいお椀です。ねっとりした美味しさのあるメバルの一種である柳八目と卵豆腐に桜の花びらを浮かせたお椀です。桜の季節感満載の趣向。次のお造りは能登の島で一本釣りされた鯛、甘エビより大きくてプリプリのガスエビ。どちらも目を瞠る美味しさです。
次はいよいよお店のスペシャリテで人気の「鰻トリュフ」。鰻の蒲焼にたっぷりの黒トリュフをザクザクスライスしてかけてある贅沢な一皿です。見た目と香りに魅了されます。
ガラスの器で元気よく泳ぐ透明なホタルイカを見せてくれたと思ったら、次に出てきたのはボイルしてえんじ色に染まったホタルイカとのどぐろの料理。口の中ではじける瞬間のホタルイカの食感は素晴らしく、その後口の中で広がる香りも絶品。今年はたくさんのホタルイカを食べましたが、飽きないのが不思議です。次は能登牛。竹の子とフキと一緒に煮込んだ料理、そして鯛ご飯と続きました。とりわけ季節の竹の子とフキの美味しさに感動でした。
帰り際、玄関でブーツを履いていると、先代の女将さんが挨拶に登場しました。私も娘もたまたまヒールが金色だったり柄が入っていたりと凝っているブーツだったことを目ざとく見つけ、べた褒めされるのです。「輪島塗の金箔みたいに豪華なヒールですねえ。お二人とも見えないところにお洒落されて素晴らしい!!」とかなんとか、褒め上手なこと!!一同大笑い。そして深々とお辞儀をして見送ってくれたのです。
ここのもてなしのすばらしさは他の料亭が真似した方が良いと思うほど秀逸なレベルでした。あとあと思い出して話題に上るほどのもてなしは、他ではなかなかないですから・・・。 (2021年3月訪問)
レストラン名 | 日本料理 銭屋 |
ジャンル | 日本料理 |
住所 | 金沢市片町2丁目29-7 |
TEL | 076-233-3331 |
予算 | ランチ10000円~ ディナー15000円~ |
座席 | 40席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 完全予約制 |