その年は、この宿の予約から始まりました。柳田邦男の遠野物語で有名な遠野が実は、どぶろく特区ですごく美味しいどぶろくが飲めるオーベルジュがあると年末にたまたま読んでいた資料の小さな記事で見つけたからです。
実際に行くのは6月でしたが、せっかくのどぶろく、仕込みがいつでどのくらいの在庫があるのかがわからなかったので、お正月明け早々、予約をした際に、種類は問わず一番良い状態のどぶろくを1本取っておいてもらうようにお願いしました。
オーベルジュ「とおの屋 要」は入口からご主人のセンスの良さがわかります。
建物に入って左がダイニング右がオーベルジュになっていて、部屋は3つ、ベッドルームの部屋や和室、お風呂、また数段階段を上がると下にダイニングが見下ろせる談話室がありとても広々としています。
しかもここは1棟貸しなので本当に気楽に滞在することができます。
いよいよ夕食です。この場所の裏にある「濁屋」で仕込むこの宿ブランドのどぶろくは、スタンダード、生酛(きもと)水酛(みずもと)の3種類があり、今回ご用意いただいたのは「生酛」です。酒器に入れてからもずっと泡立っていて発酵が続いていることがわかります。
どぶろくの味は、濃厚だけど後味すっきり、半年待った甲斐がありました。
またご主人の作るコース料理も遠野豚の熟鮓や納豆を使った料理など野生的、発酵に発酵を合わせるメニュー構成は独創的でした。
宿では在庫があれば仕込んだ酒や酢の販売もしてくれ、どぶろくの他に、どぶろくとフルーツを合わせた酒や「濁酢(どぶす)」というお土産にしにくい名前の身体に良い米酢があります。好みは分かれるかもしれませんが、好きな人にはたまらないこだわりのある宿です。(2019年6月訪問)
旅館名 | とおの屋 要 |
住所 | 岩手県遠野市材木町2-17 |
TEL | 0198-62-7557 |
お風呂 | 浴室あり(温泉はなし) |
予算 | 35,200円~ |
露天風呂付客室 | なし |