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    SHIROIYA HOTEL(白井屋ホテル)(前橋市/群馬県)~「めぶく。」町・前橋でアートと食文化を発信

    SHIROIYA HOTE
    緑に囲まれたラウンジスペース

    緑に囲まれたラウンジスペース

    今回泊まったのはギャラリーのようなお部屋

    今回泊まったのはギャラリーのようなお部屋

    「美術館に泊まってみたい」
    きっとアート好きな人なら一度は憧れるそんな望み。大好きな作品に囲まれて、誰にも邪魔されず思う存分作品を楽しんで…。でも現実的な話、美術館に泊まれるわけがない──そんな常識を覆してくれるのが、群馬県前橋市にある「SHIROIYA HOTEL」です。
    実は2020年12月にオープンしたばかりのこのホテル。元は地元で有名な老舗旅館でしたが、「せっかくなら今まで見たことのないホテルを」というコンセプトの元、このようなスタイルに生まれ変わったのだと言います。このホテルの仕掛人は眼鏡ショップとして有名なJINSのCEOである田中仁氏。起業家として地元に貢献すべく、「シャッター商店街」と呼ばれた前橋の再生を目的に、歴史ある「白井屋」をリノベーション。約6年に渡り建築家の藤本壮介氏と協議を続け綿密に練られたホテルは、まさにオンリーワンという言葉が相応しい独創的な宿になっています。
    まず注目したいのがその外観。「ヘリテージタワー」と「グリーンタワー」という2棟の建物から成るこのホテル、特にグリーンタワーの外装は異様としか言えません。前橋市の街中にあるホテルにもかかわらず、そこにあるのは緑に包まれた「丘」。なだらかな曲線を描く壁面を人工芝がびっしりと覆っていて、とてもホテルとは思えないような、それ自体が巨大なアートのようですらあります。一方、国道50号線に面しているヘリテージタワーは、敢えてレトロな雰囲気を残した外観。一見するとちゃちなホテルのようですが、中に入ると全く違った印象を抱きます。

    夜には天井部分にある水道管アートがカラフルに光る

    夜には天井部分にある水道管アートがカラフルに光る

    造園家でありクリエイティブディレクターである齊藤太一氏によって彩られたラウンジスペースは、緑に包まれた癒しの空間。吹き抜けの天井に向かっていくつもの植物が伸び、まるで植物園の中にソファを持ち込んだかのような雰囲気を感じさせます。窓からはあたたかい陽光が差し込み、居心地も抜群です。その一方でラウンジスペースの頭上、吹き抜けになった天井には剝き出しの水道管が張り巡ります。もちろんこの演出もアーティストによる作品。実際には水は通っておらず、この無機質さと緑のラウンジのアンバランスさがユニークです。夜になるとこの水道管がライトアップする仕様になっていて、赤や青などカラフルに発光するのも楽しみの一つなのです。
    さて、外観やラウンジスペースなど館内の至る所にアート作品が飾られた「SHIROYA HOTEL」ですが、やはり一番の醍醐味はアーティストが1からデザインしたユニークなお部屋です。クリエイターごとにコンセプトの異なるお部屋は、「ヘリテージタワー」に17室、「グリーンタワー」に8室の、計25室。今回私はヘリテージタワーにある#8のお部屋、ライアン・ガンダー氏デザインのお部屋に泊まりました。打ちっ放しの天井と、白とグレーのシックなインテリア。そして枕元にはまるでギャラリーのように氏の作品が飾られます。ファンには堪らないまさに夢のようなお部屋ですが、「SHIROIYA HOTEL」のお部屋はまだまだこんなものではありません。
    先ほどご紹介した水道管アートを考えたレアンドロ・エルリッヒ氏が手掛けたお部屋は、なんと水道管だらけのユニークな一室。椅子やタオル掛けに至るまで純金色の水道管で出来ていて、遊び心が溢れています。

    水道管だらけのユニークなお部屋。

    水道管だらけのユニークなお部屋。

    そして特に印象的だったのが、「グリーンタワー」棟にあるライトのお部屋。鬼頭健吾氏による「星」をイメージしたこちらのアート作品は、細長いお部屋の壁面をカラフルなホースやLEDライトで彩ったド派手な演出が特徴的です。また、鬼頭氏の奥さんであり同じくクリエイターの竹村京氏のトランプの部屋もユニーク。カップルや女子旅にピッタリの可愛らしいお部屋から、余計なものが一切ないミニマルデザインのお部屋まで様々なスタイルのお部屋が揃っていて、どのお部屋がいいか迷ってしまいます!
    そして「SHIROIYA HOTEL」の魅力は建物だけにとどまりません。なんと東京の2つ星フレンチレストラン「フロリレージュ」のシェフがメニューを監修するなど、食事に関してもかなり本格的。こういったタイプのホテルとしては珍しく、朝食も和食、洋食、サンドイッチ、オムレツの4種類から選べる充実ぶりです。朝からアート作品に囲まれて、最高の食事を摂る…これがかつては「シャッター商店街」として廃れていた前橋で体験できるというのだから驚きです。
    またスタッフの方たちのサービスも非常に気持ちの良いものでした。常に笑顔で溢れていて、お部屋見学ツアーも満足度が高かったです。部屋、食事、サービス、そしてアート。そのすべてに妥協せず、最高のクオリティのものを堪能できるのが「SHIROIYA HOTEL」なのです。
    群馬の県庁所在地でありながら新幹線も走っておらず、観光地も無い前橋。ずっと地味な町だと思っていましたが、こんなにユニークなホテルが出来ていたとは…。「めぶく。」というホテルのキャッチコピーに違わず、この前橋という町に新たなランドマークが生まれたと言っていいでしょう。(2021年6月訪問)

    旅館名SHIROIYA HOTEL(白井屋ホテル)
    住所群馬県前橋市本町2-2-15
    TEL027-231-4618
    お風呂部屋風呂のみ
    予算2名1室利用時、1泊1人当たり¥18,150~(食事なし)
    露天風呂付客室無し

     

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