近鉄榛原駅からわずか10分ほど車を走らせるだけで、そこにはもう山々に囲まれ美しい渓谷が広がります。こうしたのどかな環境の中にあるのがミシュラン1ツ星のそば屋「一如庵(いちにょあん)」です。
連日満席の人気店ということで予め予約してから向かいました。単品のオーダーを受けるのは昼の12時までで終了。13時からは予約の6,000円の野菜コース料理「昼の膳」のみとなります。私は単品の料理を食べたかったので午前11時半の予約になりました。
生家を店主自らリノベーションしたというお店は、昔懐かしい日本家屋といった雰囲気。幕末に建てられた築160年以上の古民家は自然に囲まれ環境も抜群です。
一如庵の食事の特徴は地元奈良の大和野菜をふんだんに使用した精進料理であること。動物性の食材は一切使っていないので、ベジタリアンやビーガンの人も安心して食べられる料理です。
蕎麦はもっとも麺の風味を堪能できる1,100円の「もり」を注文。なんでも製粉から手打ちにいたるまで全てご自身でやっているそうで、こだわりの打ち立て麺を味わうことが出来ます。白っぽい色味の蕎麦は喉ごしが良く、スルスルッと食べられる一品。しかし思っていたよりも蕎麦の香りが弱く、味の濃いつゆに浸けて食べると蕎麦の風味が負けてしまうのが残念な点でした。量も少ないので、天ぷらなども一緒に注文するのがオススメです。
しかしながら、一如庵の食事で私が特に気に入ったのは蕎麦ではなく、事前に予約しておいた大和菜寿司(季節野菜の箱寿司/1,650円)でした。箱寿司は一般的にエビや魚の切り身などをのせて作る押し寿司のことを指します。木製の型に入れて形を整えてから切るので四角い形が特徴的です。しかし、ここ一如庵で出される箱寿司に魚は一切使われていません。入っているのはお米と、季節の野菜、湯葉、昆布、大葉などなどヘルシーなラインナップです。この日は8月の初旬だったので、押し寿司に使われたのは茄子。胡麻の入ったご飯と一緒に湯葉で巻かれ、上にはワサビがちょこんと乗ります。魚が入っていないとなんだか物足りないような気がするかもしれませんが、食べてみるとこれが絶品。茄子を油で調理しているので味わい深く、夏にピッタリなさっぱりとした一皿ながら十分に食べ応えもあります。冬には茄子の代わりにタケノコになったりと季節ごとに材料も変わるそうです。
どうやら調理は店主1人が担っているようで、提供スピードはかなりゆっくり。席に着いてから30分近く待ちました。そうこうしている間にもお店の前に人が並び始めあっという間に列が。このスピードなら列が出来てしまうのも仕方ないですが、確かに並んででも食べる価値のある料理でした。特に大和菜寿司が素晴らしいので、訪れる際には是非予約をしていくと良いでしょう。私はあまりの美味しさに追加でもう1個箱寿司を頼もうとしましたが、「15分ほどお時間いただきます」と言われてしまい断念。外に待ってる人がいなかったら待ってでも食べたかった…!
このお店はそば+大和菜寿司+天ぷらという食べ方がベストなようです。 (2021年8月訪問)
レストラン名 | 一如庵 (イチニョアン) |
ジャンル | そば |
住所 | 奈良県宇陀市榛原自明1362 |
TEL | 0745-82-0053 |
予算 | 単品¥1,000~ コース料理¥6,000~ |
座席 | 20席 |
個室 | 有り |
予約の可否 | 予約可 |