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北海道のグルメレストランと言うと大都会札幌に集中し、それ以外では観光地である函館、ニセコ、富良野などに点在しています。もう普通のレストランでは満足できなくなった私ですが、ここ北海道でも辺境グルメやレストランを探していると…ありました。「フェネトレ」は、道東の中標津(なかしべつ)という人口2万人の町にあるフレンチレストラン。周辺都市に行くのには根室は車で1時間20分。釧路へは車で3時間と言う辺境の地にあります。
自然いっぱいの森の中にある一軒家レストラン
とは言え、東京羽田から中標津空港まで全日空の直行便が就航しており、しかも空港からレストランまでは車でわずか5分。県外から来るなら飛行機で向かった方が便利かもしれません。
「フェネトレ」はゴ・エ・ミヨにも掲載されたいま注目のレストランです。空港の近くとは言えロケーションは抜群に良く、私たちが北海道と聞いて想像するような豊かな自然の中で料理をいただくことが出来ます。
店名は「窓」を意味するフランス語「Fenêtre」からとったそう。実際いくつも窓があって、外から温かい陽が差し込むのがこのレストランの魅力の一つです。店内は派手な装飾などなく至ってシンプルな内装ですが、窓の外に広がる緑すらも建物を飾る一部のようで、お店の雰囲気も素晴らしいです。
北海道の食材を最高の状態で
海の幸や野菜・果物、乳製品にお肉など、食の宝庫北海道には様々な食材が揃っています。どれも質が高く鮮度も抜群に良いので、北海道は料理人にとって最も料理に適した地の一つと言っていいでしょう。事実、松村聡彦シェフもそんな北海道の食材に惚れ込んだ一人。この地を選んだのも、恵まれた静かな環境で素直に料理に向き合いたかったからなのだとか。
「フェネトレ」ではそんな北海道の食材にこだわった、シンプルな料理を得意とします。伝統的なフランス料理らしいこってりとしたソースやこねくり回された調理はここにはありません。いかに素材の本来の旨味を引き出せるかということに重きを置き、結果それが絶品料理へと姿を変えるのです。
シンプルだけれど絶品料理
今回私がいただいたのは一人11,000円のコース。本来は夜しか営業をしていないそうですが、他にもゲストが居たのでランチにも開けてくださいました。
先ほども述べたように「フェネトレ」の料理はシンプルなものが多いです。その中でも特に私が気に入ったのが、アミューズのあとに出てきたトウモロコシの料理2種。ポレンタと呼ばれる粥状のトウモロコシをコロッケのように揚げたものと、冷製スープです。トウモロコシの冷製スープと言うとなんとなくクリームを加えているものを想像しますが、ここの冷製スープはクリーム無しでもっとシンプル。もはやスープというよりはジュースのような感覚で、香りと甘みが凝縮されています。一口飲むと北海道の大草原の風景が浮かぶような、自然な味わいです。
また鮭を使った料理も美味しかったです。スモークした銀鮭にはジャガイモのピューレとチップスを。中にはイクラも添えられて、味だけでなく香りや食感まで楽しめる一皿になっています。
ヤングコーンとホタテのベニエも安定の美味しさでしたし、生ワサビのクリームやパセリオイルを垂らした生牡蠣も絶品。メインのポークはホエイを飲ませて育てたというミルキーポークのローストで、柔らかくて味わい深く、赤ワインと黒糖のソースがよく合います。
実は松村シェフ、札幌で長く日本料理の修業をされていたそうで、その経験が今の「フェネトレ」の料理に繋がっているようです。特にそれを実感したのがデザートで出された水羊羹。ハマナスの花びらを散らしたライチの水羊羹はとっても爽やか。和風でありながら今までに無い味で、新しい和風フレンチのデザートの形を見た気がしました。
データとまとめ
店名 | Fenêtre(フェネトレ) |
ジャンル | フレンチ |
住所 | 北海道標津郡中標津町緑町南1-2-29 |
電話番号 | 0153-72-3775 |
個室 | 無し |
予算 | ¥11,000~(通常夜のみの営業) |
予約 | 完全予約制 |
接客を奥さんに任せ、2人でやられているレストランなので当然料理はすべてシェフが作っているのですが、そんなに時間がかかり過ぎることも無く、アミューズからデザートまですべて美味しくいただくことが出来ました。
立地的に「わざわざ食べに行く」ことになりますが、ここでの食事はそれほど価値があるものになりました。(2021年8月訪問)