世界で見つける旅の思い出 こだわりの旅をプロデュース

    源泉上野屋 (湯河原/神奈川県)~登録有形文化財の宿は源泉の名湯

    源泉 上野屋
    300年もの歴史がある湯宿の源泉はかなり高温

    300年もの歴史がある湯宿の源泉はかなり高温

    コロナ禍の中、新しい旅の形としてマイクロツーリズムという言葉を目にするようになりました。マイクロツーリズムを意識して旅を企画すると、グルメはもちろん、源泉掛け流しの温泉や重要文化財、ひまわり畑など、今まで遠くにしかないと思っていたものが、実は知らなかっただけで案外と近くにもあることがわかります。
    今回は近場湯河原で、登録有形文化財に指定された源泉掛け流しの名湯を持つ老舗温泉宿を見つけたので行ってみました。事前に知り合いから、口コミに夕食が質素とか大浴場が小さいなどの気になる投稿があることを聞いていたので、実際のところはどうなのかをリポートしてみたいと思います。

    敷地内に湧く効能豊かな高温の源泉

    貸切の半露天風呂大きい方の「千歳」の浴室

    貸切の半露天風呂大きい方の「千歳」の浴室

    登録有形文化財の宿 源泉上野屋は、江戸時代に開業し、水戸黄門でお馴染みの水戸光圀公も湯治に訪れたと伝わる300年もの歴史を持つ温泉宿。
    館内のところどころに現代の建材であるアルミ素材の自動ドアや合板の床があったり、現代にあわせて改修されている箇所がありますが、全体的に時を経て使い込まれた木材のいい味が出ています
    敷地内にある自家源泉を、そのまま湯船にかけ流していて、なんと源泉の温度は、82〜83℃というから驚きです。大浴場の湯船には、温度の熱い源泉と冷たい源泉の注ぎ口があってクーリングタワーで冷ますのが間に合わない時以外は、加水をしない100%源泉なのです。アルカリ性の無色透明なお湯なのに温泉成分が豊富なため、瓢箪の形の注ぎ口にはたくさんの温泉の結晶が付いていました。その分温泉の手入れは大変で、月に一度は井戸を掃除しなければならないのだそうです。アトピー、火傷、切り傷に特に効果を発揮する温泉ならしく、翌日肌がすべすべしていていました。久しぶりに良い泉質の温泉に出逢えました。

    設備的には一番新しい天空の足湯仄幸(そくさい)の湯

    設備的には一番新しい天空の足湯仄幸(そくさい)の湯

    今の時期の上野屋はとことん他のゲストに会わせないような工夫がありました。お風呂は、全部で5つ。空いていればいつでも入れる洗心の湯「千歳」と「藤木」の貸切の温泉はもちろん、男女別々に2箇所ある、大浴場「六瓢の湯(むびょうのゆ)」までも18時以降はなんと貸切になり、全く他の人と一緒になることなく安心して滞在できました。最上階には、天空の足湯「仄幸(そくさい)の湯」があって眺望を楽しみながら足湯に浸かることができます。貸切風呂は、足湯の下の階でやはり階段を上がった所にあるのですが、利用状況が部屋の近くの廊下から一目でわかります。しくみは簡単、廊下にある「千歳」「藤木」の名前の書いた電灯が、貸切風呂の脱衣所の電気をつけると自動的に点灯されます。わざわざ階段を上がっていったのに使用中でがっかりなんてこともなくて、とてもいいアイディアだと思いました。
    貸し切りなので、小さめのお風呂でも十分楽しめるというのが結論です。

    上野屋の食事ついて

    家だとなかなか食べる機会のないサザエやカマス美味しかった

    家だとなかなか食べる機会のないサザエやカマス美味しかった

    上野屋の食事は、夜は基本会席コースになります。そして三密を防ぐ工夫はここにも。夕食は部屋食、大広間でいただく朝食のテーブルも距離をかなり離してくれていました。
    一つ一つ手をかけ工夫されているメニューは、絶品とかグルメというよりは、良い意味でほっとする味です。通常の会席の食事に少しだけ(+1.100円)奮発すると(笑)刺身の盛り合わせが追加されます。桶に入った鯵、鮪、かます、サザエと数の子、刺身のツマもすごく新鮮で完食。相模湾などの海の近くの刺身はやはり美味しいものでした。

    前日あんなに食べたのに美味しくて完食した朝食

    前日あんなに食べたのに美味しくて完食した朝食

    会席は旅館のスタンダードな料理の中に途中、志乃ぎに坦々ソーメンが出たりして飽きさせません。鮎の塩焼きや野菜と抱き合わせた銀鱈の煮付けや鰯のつみれ汁など魚多めの印象です。
    正直、鮎の塩焼きは炭火焼ではないからか少し冷めてるからか、内臓部分の味を強く感じて残念でした。
    朝食は、蟹の入った味噌汁が鍋に入っていて、火をかけて好きなタイミングで熱々が食べられるのが嬉しいところ。納豆には鮪の中落が添えられていて、鯵の干物も肉厚で美味しい。基本の物が美味しいのは1番のご馳走です。茶碗蒸しのようなお豆腐と白米が美味しかったのも特筆すべきところ。白米に関しては、好みがあるので一概には言えませんが、少しかためで空気を含んだような白米は美味しくてとても印象に残りました。

    まとめ

    全部で18部屋、何故か続き番号ではない40号室の客室

    全部で18部屋、何故か続き番号ではない40号室の客室

    長い歴史がある宿だけにこなれていて、落ち着いて過ごせます。
    肌に良い本物の温泉に浸かりたい人に特におすすめです。建てられた時期の違う3つの登録文化財は、階段だらけで迷路のようになっているので階段が辛い人は避けた方が良いです。でも、たくさん働いている年配の従業員の方が元気なのは、毎日階段の上り下りをしているからなのでは(?)とも思いました。コロナ禍での対策も徹底、接客もてきぱきしていてとても気持ち良く滞在できました。

    宿のデ-タ

    館内には趣のあるたくさんの階段が迷路みたい

    館内には趣のあるたくさんの階段が迷路みたい

    宿名源泉上野屋 登録有形文化財
    住所神奈川県足柄下郡湯河原町宮上 616
    電話0465-62-2155
    室数18部屋
    開業創業3百余年
    風呂大浴場 貸切露天風呂 展望足湯
    予算2名1室の場合1名あたり14.300円~(2食付き)
    食事夕食 部屋食(今の時期限定)朝食 広間

    Follow Us !

    タイトルとURLをコピーしました