界　霧島　(霧島温泉/鹿児島県）～最大の魅力はこの絶景！

部屋からの眺めは霧島の絶景。スロープカーも見える

霧島の丘の上、向こうには桜島を見渡し、広大な草原を一望できるロケーション。これを絶景と呼ばずしてどこが絶景！？と言いたくなるほどの素晴らしい場所に立つ宿、それが「界　霧島」。躍進を続ける星野リゾートの中で上質な温泉旅館シリーズとして展開している「界KAI」チェーンの中で、2021年1月にオープンした最新の旅館です。絶景を満喫できる母屋と丘の下にある大浴場のある「湯浴み小屋」を繋ぐスロープカーもユニークで楽しい趣向。
10月、実際に泊まりに行ってこの宿を検証してみました。ロケーションの良さはお墨付きですが、お風呂は？食事は？サービスは？この辺りをご紹介したいと思います。

この場所を選んだ時点でこの宿は大成功！

ビュールームは眺めのいいラウンジスペース

部屋に入って窓からの眺めを見た瞬間、この宿が気に入ってしまった私。最初に部屋だけを見た時は、なんだか狭めだなあなどと不平を言いながらレースのカーテンを開けたのでした。そして次の瞬間、他のことはどうでもいいと思えるほどこの景色に魅了されたのです。神話が息づく高千穂峰の中腹に位置し、全49室すべての部屋から桜島をはじめ霧島の草原を一望できる癒しのひとときが過ごせるのです。

自動運転のスロープカーで露天風呂へ向かいます

だからはっきり言って「界　霧島」の素晴らしさの半分、いや70％はこの絶景にあると言っていいでしょう。この場所を選んだ時点で、星野リゾートさんはすでに大成功したと確信できます。
上と下を繋ぐ「スロープカー」の存在も大きいでしょう。これに乗って「湯浴み小屋」と呼ばれる大浴場へ向かう道中もワクワクできる時間です。部屋からスロープカーが行き来しているのが見えると、向こうからも部屋の露天風呂が丸見え？なんて心配は無用でした。スロープカーの上の部分は目隠しの摺りガラスになっていたのです。

湯宿として誇れるお風呂とは？

朝、遅めに行ったら誰もいなくて露天風呂を独り占め！

星野リゾートの中の上質な温泉旅館を謳う「界」のチェーンだけあって、ここのお風呂は素晴らしいものでした。スロープカーで下りたところは辺り一面がすすきの草原でした。風にそよぐ背の高いすすきの中にある露天風呂！目の前に広がる草原は開放的で、遮るものが一切ない素晴らしい眺めです。霧島温泉ならではの硫黄泉は美肌効果もあり、透明感のある明るい肌を作るそうです。いつまでも入っていたい！心からそう思いました。

お部屋のお風呂も源泉かけ流しなのが素晴らしい！

大浴場の内湯は2つ。あつ湯は源泉かけ流しで少々熱め、ぬる湯は湧き水を加えて少しぬるめのお風呂です。もちろん内湯も露天風呂も男女別に２つずつあります。
ちなみに部屋に付いていた露天風呂も源泉かけ流しだそうです。いつも一定の温度に保たれるように調整されていて、窓を開けて入ったら、絶景を独占しながらの温泉気分が最高です。気持ちよくて何度も入ってしまいました。要するに、下と上の両方の異なる眺めを温泉に浸かりながら味わえるのがこの宿の売りといえるでしょう。

お部屋の設備とスロープカー

露天風呂付き和室のお部屋

私たちが滞在した部屋は高層階である5階にある「露天風呂付き和室」で42㎡。露天風呂部分を除けば、部屋自体はそれほど広くありません。でも目の前に桜島や錦江湾、手前には美しい緑の草原や木々が見渡せて幸せ気分です。部屋は新しいだけあって清潔感があり快適性は十分です。地域らしさを意識した「ご当地部屋」と呼ばれる室内には、薩摩和紙や大島紬などの工芸品がインテリアに使われています。またベッドボードとして霧島連山をモチーフにしたデザインを火山噴火物である「シラス」で作った「シラス壁」が飾られています。チェックイン後の部屋の案内の際にスタッフが詳しく説明してくれました。地方の文化を大切にしている宿で、それをアピールされているのがわかります。

スロープカーと呼ばれる20人乗り(現在は10人に制限）のケーブルカーが上の母屋と下の湯浴み小屋を繋ぎ、自動運転で運行しています。ゲストがボタンを押して呼べばやって来ます。このシステムは楽しく、子供連れのファミリーにはとりわけ大人気です。上り下りする道中の景色も美しく、これに乗るだけでも楽しいものです。お風呂の後はラウンジでお茶などを飲んで休憩もできます。その後スロープカーを呼んでお部屋に戻ります。

食事とサービスのレベルは？

デザートに付いていたプレートも嬉しいもの

「地域の魅力を再発見できる心地よい和にこだわった・・」というのが「界」のチェーンのコンセプトです。この宿の食事は地元産の食材をふんだんに使い、霧島名物の「あくまき」という餅料理や鶏皮ポン酢、蓮根餅、軽羹あんみつなどの名物料理も多く出されました。メインにとりあえず牛肉を出せばいい、といった型にはまったメニュー構成でなく、オリジナリティのあるメニューに好感が持てました。

さつま揚げなど地元の食材を多く使った朝食のメニュー

この宿のスタッフは誰もが優秀です。そこらへんの高級旅館の若いスタッフに比べて、そのコミュニケーション能力はかなりのレベルといえるでしょう。さすがは星野リゾートです。チェックインの際の部屋や宿全体の説明をしてくれたＨさんは食事の際のお世話もしてくれました。ここが星野リゾート4軒目という彼は、いろんな場所を体験できることが楽しいようで、宿の魅力を語らせたら止まりません！有能なセールスマンでもあるようです。
彼は我々の記念写真を撮って革の表紙付きアルバムを作ってプレゼントしてくれました。「界」に泊まれば受けられるサービスですが、これはいつも嬉しいものでアルバムは自宅の棚に飾っています。今回もお酒を飲んで真っ赤になって、家族と一緒の幸せそうな私が写っている新しいアルバムが自宅に増えました。
(2021年10月訪問）

宿のデータとまとめ

満天の星空の元、湯浴み小屋がシルエットで浮かぶ

宿のデータ

宿MAP

夜に「ご当地楽」と呼ばれるショーもある

まとめ

お風呂が良くて、食事もサービスもレベルが高い宿。ご当地感が出るような工夫はインテリアのみならず、神話の根付く霧島の地ならではの独特のショーでも魅せてくれました。ここまでは他の「界」のチェーンでもありましたが、ここでは「絶景」という要素が加わっていました。「界　霧島」を語るうえで絶景という要素が最大の魅力だったのです。だからこの宿はわざわざ泊まりに行く価値があるというのが私の結論でした。