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梨のデザート。生やスープにしたものや、凍らせて削ったり・・
烏丸御池から近い、衣棚三条の京都らしい町並みに、町屋を改装したお店はありました。11月のとある平日のランチ、13時の予約でお邪魔しました。1階のカウンター8席は満席で、通された2階に3つあるテーブルも、仕切りがあって、2つは満席。1つだけ残っていたテーブルに通されました。昼時と思えないほどの賑わいを見せ、ワインを飲んでグルメを楽しむ人々の陽気な話声に溢れる店内。このお店の人気のほどがわかります。
京都生まれの谷村シェフが、ほぼ京都産の食材を使うというORTO(イタリア語で菜園の意味)のお料理はどんなものだったのでしょうか?
京都産の食材にこだわる

鰆にリンゴのソースが合う
オーナーシェフの谷村真司氏は1976年京都の久御山生まれ。自然の豊かな地で京野菜に親しんで育ったそうです。小学校の時から料理人になるのが夢だったといい、京野菜を使ったフレンチで知られる「エヴァンタイユ」で修業をされました。フレンチとイタリアンを両方学んだ後2008年にこのお店をオープンされました。リストランテとしてイタリアンを出していたものの、2016年リニューアルオープンと同時に店名もシンプルに「ORTO」に変えて、ジャンルもイタリアンだけではないイノベーティブなメニューにして、アラカルトはなくし今のコースのみの営業にされたのです。

スモークした30種類の野菜の「菜園」
ほとんどの食材は京都産で、野菜も生産者にこだわり、多くの京野菜を使用。店名と同じ「菜園」というスペシャリテは30種類もの野菜を使ったもので、見た目も美しいこだわりの1皿です。
2011年には京都から「旬の京野菜提供店」との認定も受けたそうです。
ランチメニューは通常の魚や肉も出るランチコースの他に、京野菜を使った8皿前後のベジタリアンの「菜園コース」も6050円で提供しています。(事前要予約)シェフがどれだけ野菜にこだわっているかがわかります。
コスパの良いランチメニュー 8皿前後 5500円のコースとは?

焼きたて熱々のパンもとっても美味しい
ランチコースは小さなアミューズの後、前菜2品。来店時は前菜の1品が魚。そしてメインが2つとも肉料理という設定でした。デザートの2品の前に1品メニューにないものが出たりして、形式にこだわらないイレギュラーなやり方もまたイノベーティブらしいところ。
サービスはしっかりしていて感じよくてきぱきしているのですが、かなりの客数をさばくにはサービス係が少ない印象でした。でもほとんど待たされることもなかったのです。ただし皆さんとても忙しそうなので話しかけておしゃべりするといった余裕は皆無でした。

鹿肉と栗のソースのパスタは美味しかった
定番のアミューズは黒いビスケット。発酵熟成させた黒ニンニクのビスケットに柚子七味を加えたサワークリームを挟み、竹炭を混ぜたクリームチーズを添えて。
次はバターナッツの冷製スープをかけたイカのタルタル。スダチやアールグレイのクランブルを敷いたり、ローストしたカボチャの種を載せてあります。
前菜2皿目は魚。低温調理した鰆に炭を押し付けて香りを付けたもの。紅玉リンゴのソースやわさび風味、キャベツのソースやグリーンコリアンダーなど計算されたであろう様々な風味が混ざり合っているのですが、結果の味はコリアンダーが勝ってしまった感じです。もっと熱々だったら私の好みでしたが。
まだまだ続く豪華なランチコース

山城の鴨肉
ガラス容器にスモークの香りと一緒に閉じ込めているのが、30種類の野菜たちの「菜園」でスペシャリテ。ジャガイモや自家製の風味豊かな味噌のソースが美味しい。フルーツ茄子やツルムラサキ、わさび菜、壬生菜、紫大根や紫芋などなど、珍しい野菜がたくさん食べられます。栄養満点!
メインの1皿目は美山の鹿肉。荒挽きのミートソースにして栗のソースを混ぜてブッカティーニという太麺を頂きます。今日の一番好きな料理でした。
2皿目のメインは山城の鴨肉でした。ゴルゴンゾーラやポートワインのソースを付けて頂きます。美味しいけれどとりわけ珍しさはないものです。
デザートの前にサービスでメニューにない一皿が出ます。それは・・・・

メニューにないグリーンカレーのお味は?
それはグリーンカレー!前菜で食べた鰆のグリーンカレーが麦ごはんにかけてあります。かなりスパイシーです。家族はギブアップしていました。日頃辛めのカレーに慣れている私は、「なんで最後にこんな関係ない、しかも辛いカレーを出すのか意味が分からない」と思いつつ、1口2口と食べていきます。ココナッツ味のタイ風カレーは、しかし後を引く美味しさで、止められなくなって完食した私。メインはすべて量を減らしてもらって、満腹だったのに・・・この不思議なカレーは別腹でした。
お店のデータとまとめ

食材の書かれたメニューが置いてある
店名 | ORTO/オルト |
ジャンル | イノベーティブ、イタリアン(イタリア料理) |
住所 | 京都市中京区衣棚通三条下る三条町337-2 |
電話 | 075 212 1166 |
席数 | 18席 |
個室 | あり |
予約 | 可(事前予約が望ましい) |
予算 | ランチコース 5500円~、ディナーコース 9900円~ |
お店のWEBサイト | http://orto-kyoto.jp/ |

デザート2皿目はぶどうのコンポート、ジュレなど
まとめ
この内容のランチが5500円というリーズナブルな料金設定で楽しめるのは、やはり大注目です。かなり賑わって、かなり騒がしいくらいの店内でしたが、それも致し方ないのかと思います。すべてが自分好みというわけではなかったものの、いくつか気に入った料理があっただけでも行った価値ありです。
ゆっくりスタッフと話したり、できればテーブル席でもシェフと話したりしたかったですが、それは今の混雑状態では望めませんね。その辺りだけが心残りです。 (2021年11月訪問)