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    プルミエ・クリュ (1er cru) (フレンチ/長崎市/長崎県)~こだわりシェフの独創的な料理

    プルミエ・クリュ
    渡り蟹と松茸の揚げ春巻き 熱々で召し上がれ

    渡り蟹と松茸の揚げ春巻き 熱々で召し上がれ

    長崎市内に予約の取り難いフレンチのお店があります。その名は「プルミエ・クリュ (1er cru)」。兵庫県出身のオーナーシェフ深田伸治氏が2002年にこのお店をオープン。今ではミシュラン1ツ星を獲得され、料理マスターズにも選ばれています。
    たった一人ですべてをやっておられるシェフならではの方針やこだわりはどんなものだったのか?深田氏の生み出す料理は一体どういうものだったのか?2021年10月、ディナーに訪問したレポートをお届けしたいと思います。

    入店までの長い道のり

    ドアは鍵が掛かっています

    ドアは鍵が掛かっています

    深田シェフはもと建築家だったそうです。それが料理人に転身され、食べ歩きをしながら独学でフランス料理を習得したというから驚きです。

    ずっと何もかも一人でこなすやり方を貫いてこられました。だから予約の電話にも出られないことがあるとか。最初に電話が繋がって、予約を依頼した際、いろんな詳細説明があり、几帳面なシェフだという印象。

    テーブルの横にキッチンがある

    テーブルの横にキッチンがある

    営業中であっても料理とサービスに専念するため入り口は鍵を閉めているので、ドアのチャイムを鳴らさないといけません。Webサイトに書いてあった注意事項をちゃんと読んでいなくて、15分以上前に着いた私たちは、ドアが開かないのでずっと待っていました。まさか突然の定休日で予約が入っていなかったとか?リコンファームの電話もなかったし・・・不安が募ります。
    予約の時間である19時ぴったりになっても開かないのでチャイムを鳴らしてみました。するとシェフが現れて開けてもらったのです。
    無事入店し、テーブルに着いたときはほっと一安心でした。

    ディナーのみの営業は10皿15000円のコース

    1皿目は自然放牧豚のパテを美味しいパンに載せて

    1皿目は自然放牧豚のパテを美味しいパンに載せて

    店内にはテーブルが二つありましたが、その夜のゲストは私たちだけでした。貸し切りとはラッキー!
    デギュスタシオンメニューとして、食材だけが記されたシンプルなメニューが置かれています。料理は独創的で素晴らしいものが多く、オリジナリティに溢れていました。私には少々塩分が濃く感じたお皿もあったものの、お酒を飲みパンを食べるとちょうどいいのかもしれません。

    鮎1匹分が固形になって小さいキューブに

    鮎1匹分が固形になって小さいキューブに

    まず最初に出てきた自然放牧豚のパテ。これぞ本物の豚肉と唸るような、甘くてしっかりした食感は、平戸で自然放牧された母豚の肉だから。シェフの仙台の友人が送ってくれる夏黄金という小麦粉で焼いたパンに載せて。

    次は宮崎の一ツ瀬川で釣られた天然鮎。半日乾燥させ骨はしっかり焼き上げ煮出して煮詰め、出汁の中で真空圧力をかけます。白ワインビネガーと合わせて鮎酢に浸ける。小さい固形物になっても鮎1匹分だそう。

    工夫に工夫を重ねたユニークな料理が続きます

    鯖のベニエ

    鯖のベニエ

    鱧は5日間脱水して旨味を凝縮。半面を炙って出され、これが鱧なのかと驚くはず。アサヒというコメの黒麹菌で甘酒の元のような黒いソースを付けて食べると不思議な美味しさなのです。こんな鱧初めてです。骨が1本だけ残っていたので、かろうじて鱧だとわかったほど。

    五島列島の鯖は刺身用を1日脱水してしめ鯖のようにします。それをベニエにしてあります。シェフいわくこのお店のベニエの定義は衣にビール酵母のパンを付けて薄ーくつけて揚げてあり、普通のベニエより衣が薄くてカリカリです。出汁は鱧の骨や鯖の骨、昆布、原木椎茸、ハーブ、ナスタチウムをそえて。ふっくら脂が乗った鯖は表面が香ばしく、文句なしの美味しさです。

    平戸の猪のトルテッリ

    平戸の猪のトルテッリ

    島原有明海の渡り蟹のオス。蒸し焼きでほぐし、岩手の松茸もほぐして一緒に揚げ春巻きに。カニのエキスと松茸の水分のみで、要らない味付けはなしというのがポイントです。熱々を手でほうばり、贅沢な時間を楽しみます。

    イワシのシュークルートは乳酸発酵させたオーガニックキャベツ、鱧のブイヨン、長崎の鰯、ドイツのハムを使用。美しいテリーヌ状で、今年考えた料理だそうです。ソースがちょっと塩辛かった印象です。

    この後も猪のラビオリと古代小麦のリゾット風、五島沖の鰆、薪火で夕方からゆっくり焼いていたランプ肉が出ました。

    まとめとデータ

    五島沖の鰆は6日間〆てラトビアのキャビアを添えて

    五島沖の鰆は6日間〆てラトビアのキャビアを添えて

    まとめ

    シェフは几帳面そうで、料理中は話しかけにくいムードでした。料理を運んで説明することに終始し、無駄なおしゃべりは一切なし。一人でやっているシェフは概して、よほどのおしゃべり好きでない限り、料理中は集中したいのでしょうから仕方ありません。こうした一見不愛想な方をよく見かけますから。でも実際は優しい方が多いのです。深田シェフもそうでした。最後、すべて終わった段階で少しだけ会話できたのが嬉しいひと時でした。
    とにかく鮎も鱧も鯖も鰯も何もかも、今まで見たことのない工夫を凝らした姿になって、私たちを驚かせてくださり、レベルの高い料理を楽しませていただきました。

    (2021年10月訪問)

    深田シェフと

    深田シェフと

    お店のデータ

    店名プルミエ・クリュ (1er cru)
    ジャンルフレンチ(フランス料理)
    住所長崎市鍛冶屋町6-28 1F
    電話095-829-1061
    席数12席
    予算15000円(税サ別)
    予約完全予約制
    お店のwebサイトhttp://www.1ercru.jp/

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