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京都の嵐山や宇治川、岐阜の長良川などで行われる鵜飼の行事を知るうちに、ますます気になるようになった鮎料理。埼玉県の寄居にとびきりの鮎ご飯を食べることが出来る鮎旅館があるらしい。今回、念願叶って、ようやく行くことが出来ました。
目の前は名勝、埼玉県の絶景鮎旅館
「京亭」の建物は、料理旅館として造られたものではなく、提供した楽曲で、レコード大賞も受賞したことのある作曲家、佐々紅華氏が一度見た景色が忘れられず、昭和6年に道路が開通したのを機に、自ら設計図を引いて5年もの歳月をかけて建築した別荘が元になっています。
敷地に入ると垣根の間に門があり、庭にぬけられる様になっていたので食事前に庭を散策しました。純和風の庭園には鯉のいる池があり、趣のある建物がとても絵になります。
この景色は、ホームページなどでも見ていて何となく想像していたのですが、敷地の隅から外を見てびっくり。京亭は、寄居の駅から10分ちょっとで行ける便利な場所にも関わらず、目の前に名勝 玉淀河原と鉢形城址が一望できる借景を借りて建てられた絶景の宿だったのです。
京亭では、食事だけの利用でも個室を準備してくれます。庭を眺められる池波正太郎さんが宿泊されたという良い部屋をご用意いただいて、食事が始まりました。
池波正太郎も食した鮎ご飯とは?
池波正太郎が初めて京亭に宿泊したのは、1970年代で読売新聞夕刊に連載した「忍びの旗」執筆のための取材だったようです。その少し前から鮎ご飯を提供する様になったというから既に50年くらい経っていることになります。
今回は、夕食で6.500円のコースをいただきました。コースは何時間も煮ているので頭から食べることが出来る煮鮎と鮎の内臓の塩辛のうるかから始まります。甘いと辛いを交互に食べて日本酒と合いそうです。
五寸は、昆布だしに入ったじゅんさいや海老、もと焼きと言って白身の魚をすり潰してオーブンで焼いたもの、きぬかつぎ、いちじく田楽と鴨ロースト、どれも丁寧に作られている今の時期を感じる料理です。次は、ガラスのお皿の上に竹の器に入った身のしまった新鮮な鮎のお刺身です。背越しで食べることが多い若鮎ですが、今は9月なのでどう食べるのか伺ったら京亭の料理担当の方は、元々骨の残る「背越し」があまり好きではないそうで、いつも基本三枚おろしなのだそうです。(予約時に希望があれば背越しももちろん作っていただけます。)
小鉢は、一つ一つ味が際立つ海老が添えられた炊いた冬瓜と鰻。
続いては、鮎の炭火焼きです。今日の鮎は、富山県神通川の鮎だそう。今は、日本中からその時々で一番美味しい鮎を調理されているそうですが、以前は、京亭の眼下に流れている荒川でも鮎がたくさん捕れたそうです。荒川で捕れた魚は、町の魚屋さんに持っていって鮭などの海で捕れた魚に変えてもらったりしていたのだそう。
そしていよいよ鮎ご飯が登場です。蓋をしたまま蒸らす間テーブルの上に置いておいてくれます。テーブルの食器を片付けて、味噌汁と香の物が揃ったタイミングで蓋をあけ、頭や骨、エラなどを慣れた手つきで手早くとって湯気があるうちに薬味のねぎと紫蘇を混ぜて完成です。
ライブ感があって開けた瞬間歓声をあげたのは言うまでもありません。全く生臭くない鮎ご飯、鮎は焼いてから炊くのかと思ったらお米も魚も生から炊くのだそうです。
なるべくお腹に入れて余ったらお土産にすると言っていただきましたが、あまりに美味しくて見事、全てお腹におさまりました。
京亭は、人気ロックバンド東京事変ファンの聖地
京亭は、今年、椎名林檎さんを中心に結成されたロックバンド東京事変の曲「緑酒」のミュージックビデオの撮影地になったことで、いまやファンの人達の聖地になっています。音楽にゆかりのある建物が時を超えて、音楽と美味しいものとで新しく紡がれたご縁です。当日は、残念ながら遭遇することが出来なかったのですが、ファンの方達は、みんなでお揃いの着物を来て、雨の日には、お揃いの傘を手に撮影をしていたりするそうで、何かを好きというエネルギーは、本当に凄いと京亭の方が楽しそうに話してくれました。
訪問した日は、2日後に十五夜を迎える晴天の夜。食事が終わった後、庭から月が綺麗に見えますよと声をかけられて縁側へ。縁側から見あげたもうすぐ満月になる少しだけ欠けた月は、庭の緑とあかりの灯った建物と共に記憶に残る景色で、こんなに素敵なお月見は初めてかも。席に戻った時に、少しだけ欠けた月の形のお皿に甘く煮た栗、お団子や果物が盛られたデザートが置いてあって季節にそった趣向にとても感動しました。お団子を食べながら月が見れるなんてとても風流、楽しい時間が過ごせました。
家から近すぎて、今回は鮎ご飯を目的にしてしまいましたが、食事中の賑やかさとは対照的な落ち着いた趣のある建物と特別に見せていただいた今年改装したばかりの浴室などの水まわりは快適で、次回はぜひ宿泊してみたいと思いながら帰路につきました。
まとめ
京亭の素敵な空間と食事は、日本にもまだまだ知らないことがたくさんあることを教えてくれました。東武東上線寄居駅から歩けるので車が無くても行くことが出来るのもポイントです。古い建物なので音の気になる人にはおすすめできませんが、都会の喧騒から離れて自然の中で過ごしてみるのはいかがでしょうか?。京亭は、料理だけの利用でも分け隔てなく迎えてくれる気持ちのいい接客の料理旅館でした。(2021年9月訪問)
宿名 | 枕流荘 京亭 |
住所 | 埼玉県大里郡寄居町寄居547 |
電話 | 048-581-0128 |
創業 | 昭和25年 |
個室 | 個室のみ4部屋 |
予算 | 昼食5,000円〜 夕食6,000円〜(税サ別) |
宿のWEBサイト | http://chinryusou-kyoutei.jp/ |