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高知市の北東へ車で30分あまり、川を堰き止めたダム湖の畔にある水辺の温泉宿「湖畔遊」があります。1日2組限定の贅沢な宿は料理が美味しいと評判です。お部屋は?お風呂は?食事は?サービスは?9月上旬、実際に泊まりに行ったレポートをお届けしたいと思います。その日はあいにくの嵐。朝にはなんと大雨と落雷で停電の被害に見舞われた宿。停電はチェックアウト時間まで続き、水も出ないまま宿を出発したのですが・・・・一体どうなったのか?事の成り行きは本文をご覧ください。
音楽の部屋と大浴場のこと
宿の敷地内は緑に溢れ、自然がいっぱい。そんな中にある大浴場と露天風呂に入るのを楽しみにしていました。ところがチェックイン時にスタッフに言われた言葉に愕然としたのです。「コロナ禍で大浴場はクローズです。日帰り温泉を中止しているので・・・」。こういう時こそ日帰り客は受けずゲストのみに限定して、2組だけなのだから交替で入れば何の問題もないはず。それも事前にまったく連絡がなかったので、さすがに黙ってはいられない話です。お風呂が楽しみで来ているのに、部屋に付いている半露天風呂だけとのこと。湯船は小さくゆったり入れなくて、満足できる大きさではなかったからです。
そもそもこの宿のオペレーションは素人っぽくて、ゲストのメールに返信しなかったり、夕食追加を依頼した後の宿泊料金について書面での明確な返事がないまま宿に着いてしまったし、ちょっとお不安な点が目立ちました。
交渉の結果、急遽夜だけお風呂を用意してくれました。朝はなしだそうです。しかしこれは本物の嵐の前のちょっとした嵐だったのです。
予約の際に見逃していたので自分の責任ですが、私たちには「音楽の部屋」の予約が取れていたのです。本格的な音響機器が設置された音楽室みたいな部屋でした。これを褒めないと音楽音痴と思われそう。用意されたCDをかけてみると確かにいい音です。でもテレビはない・・・・。(笑)
部屋のインテリアはすっきりした印象でセンスよかったのですが、網戸がないので虫が心配で扉を開けられないのは今いちです。部屋はレイクビューですが、小さな半露天風呂から見えるのは建物の屋根だけです。洗面所にくっ付いてトイレの便器があるのもいただけません。パジャマと作務衣とバスローブが置かれていたのは評価が高いのですが、作務衣の女性用のサイズが一つで、ズボンがちょっと小さめで窮屈だったので、大きめのサイズも揃えた方がいいかと思いました。私より太い方は無理でしょう。
アメニティはエコの観点で選んでいるようですが、シャンプーやコンディショナーは少しゴワゴワになるし、石鹸は不思議なほど薄っぺらいのをなぜか半分に切って置いてあるのみ。高級旅館で普通なら置かれているちょっとした化粧品セットなどのアメニティは一切なしです。3人で泊まったのですが、朝食のみ付いた部屋代が一人当たり35000円だったので、はたして値段に見合っているのかと思いました。しかも大浴場がなかったら残念を通り越していたでしょう。
お食事とサービスは?
夕食は評判通り美味しいものでした。野菜料理を中心にした里山懐石(6000円別途)を頂きました。郷土食を取り入れた品々は一つ一つ丁寧に作られ、食材も吟味されています。さり気ない「イタドリの炒め煮」とか「きびなごの唐揚げ」なんかも気が利いていて美味しく、ビールのおつまみにもピッタリです。「自然派懐石料理」と謳っているだけのことはある内容です。
食後、夜に準備された大浴場に入りました。真っ暗で何も見えませんが、お湯が良いのは確かです。気分よくその夜は眠りについたのですが・・・・
早朝からあいにくの大雨で、朝になって落雷があって停電。これが予想以上に長引いて、水も出なかったのです。これは災害なのでもちろん宿のせいではありません。地元の電力会社の停電なので復旧しない限りは不可能です。
水がなく、電気で温められていた部屋のお風呂もぬるくなっていました。顔も洗えないしどうしよう・・・と言っていると、宿のスタッフの方が「かけ流しの温泉露天風呂の方用意しましたから入ってください」とのこと。行ってみると小さな露天風呂のひとつにかけ流しのお湯を張って貸し切りで入らせてくれたのです。大雨の中、大きなこうもり傘をさしながら入ったのです。温泉の湯で顔も洗えてすっきり。
朝食も準備ができなかったので抜きにして、朝食代を差し引いてくれました。そして蒸かし立ての自家製温泉まんじゅうを3色、水や缶ジュース、おかき、お茶などもいろいろ持たせてくれました。スタッフがとても心配してくれたのです。
いろいろあった問題も一気に忘れてしまい、今では傘をさして入った露天風呂とか、楽しい記憶しか残っていません。宿のスタッフができることを一生懸命やってくれたことに、もてなしの心を感じたし、忘れ難い思い出の滞在となったのです。シェークスピアいわく、「終わりよければすべてよし」。
宿のデータとまとめ
宿のデータ
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宿名 | 湖畔遊 |
住所 | 高知県香美市香北町有瀬100 |
電話 | 0887-59-4777 |
アクセス | 高知市内から車で約30分。 |
部屋数 | 2室 1日2組限定 |
風呂 | 大浴場、露天風呂共に日帰り温泉の客も受け入れている |
温泉の効能 | 天然にごり湯アイソトニック(等張性)温泉。温泉の浸透圧が人の身体と同じなので、身体への負担が少ない優しい温泉で皮膚病にも効く。 |
予算 | 2名1室利用の場合1人 36850円~(朝食のみ)夕食は別途料金でコースを選べる。里山懐石は6000円 |
宿のwebサイト | https://www.kohanyu.jp/ |
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まとめ
良くも悪くも素朴でプロっぽくない対応の宿でした。災害時にこうした素朴な優しさやもてなしの心が身に沁みて、結果的には忘れられない良い思い出になったことを付け加えておきたいです。