和泉庵わかやのご主人は、昔からの知り合いで(何を隠そうこのお店は幼なじみの嫁ぎ先)川崎の日航ホテルに入っている和食とフグ料理を出すお店で料理の修行を始めた頃からのお付き合いになります。その後、新宿御苑にある大木戸矢部などで修行をされるなどずっと経歴や成長を見てきました。なので蕎麦部門銚子グルメランキング1位になった時も自分のことのように嬉しかったのです。
銚子にあるお店の外観はほんとに普通の町に溶け込んでいるお蕎麦屋さん(奥が小上がりになっていて障子を仕切ると2人で使うには申し訳ないくらいの広さの個室が2つあります)、でもそこで食べられる少し白めの腰の強すぎないお蕎麦は私の中では日本一のお蕎麦で,他店に行くと美味しいけれどやっぱり違うと思ってしまいます。”
喉越し良く食べられるお蕎麦は夏が一番需要が高いけれど、新蕎麦は11月にならないと出回らなかったので、夏は一番古い蕎麦粉で、そこを何とか改善するためにたくさんの努力や取組が行われたのです。
現在では蕎麦にも米で言うところの「早稲」のような「北早生」という品種が開発されて、7月に新蕎麦が出せるようになっているそうです。9月でしたが今年の新蕎麦を食べることができました。蕎麦は基本二八蕎麦と十割蕎麦、土日限定で粗挽きの十割蕎麦の産地別食べ比べをすることができます。
蕎麦会席は蕎麦がきや天ぷらなどの料理が続き最後に蕎麦でしめる構成、仕込みの関係で蕎麦会席は、平日夜のみ、ミニ会席は夜ならいつでも頼むことができます。平日の会席の締めにだけ、十割蕎麦と変わり蕎麦の2種類のお蕎麦が出ます。変わり蕎麦は蕎麦の実の中心だけを引いた更科粉で打ったクセのない蕎麦に、季節ごとの紫蘇や柚を混ぜたお蕎麦で四季も感じることができる逸品です。
10月に入ったくらいになると鴨汁や鍋焼きうどんなどの冬のメニューも始まります。蕎麦湯は、蕎麦を茹でた湯そのままではなく、別鍋で蕎麦粉を足して仕立てた濃厚な味、この蕎麦湯を飲むと大木戸矢部の流れをくむことがわかります。
ご主人は30代前半で地元銚子に戻って1年半先代と一緒に和泉庵わかやで働いた後、店を継ぎ、外観はそのまま蕎麦会席を始めるなど蕎麦のグレードを上げていきました。息子と一緒に働くことができて先代嬉しかっただろうなと私は勝手に思っています。
また、数年前に私が病気をした時に、年末にご主人から年越し用のお蕎麦が届きました。蕎麦は細く長くの縁起物、私の健康を心配してくれたのがわかります。年末は蕎麦屋のかきいれ時、ご主人は毎年、数キロ体重が落ちるほど忙しいと聞いていたのでそれまで悪くて年末のお蕎麦を頼むことが出来ませんでした。まさかの贈り物、涙が出るくらい嬉しかったし、そのおかげもあって私はとても元気です。(2020年9月訪問)
レストラン名 | 和泉庵わかや |
ジャンル | 蕎麦 |
住所 | 千葉県銚子市松本町2-955 |
TEL | 0479-22-2091 |
予算 | 昼夜共に1000円~ |
座席 | 36席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 可(会席のみ) |