松本市東町の名門商家「光屋(ひかるや)」は明治20年(1887年)に建てられた歴史的建造物でした。その由緒ある建物は、扉温泉にある明神館と同じ系列の会社によって東にある母屋を改装した日本料理の「ヒカリヤ ヒガシ」と西にある蔵を改装したフレンチ「ヒカリヤ ニシ」に生まれ変わりました。
以前来た時に食べたランチもとても美味しかった記憶がありますが、後で調べてみてここに来るならマクロビオティックのコースを食べるべきだったのではないかとずっと思っていました。マクロビオティックとは穀物や野菜など日本の伝統食をベースにした食事法のことです。
2度目に行く機会に恵まれた時、迷わずマクロビオティックランチ「エチュード」のコースを選びました。赤のサラダから始まるコースは、当日置かれていたメニュー表に書いてあった田邊シェフの「野菜を中心にうまく表現できてこそ」の言葉通り野菜が主役です。
普段は黙々とあまり喋らず食事をする野菜好きの主人が、2皿目の椎茸のテリーヌに感動して「これ美味しいなぁ」メニュー表に書いてある通りだな(ちゃんと読んでるんだ(笑))などと感想を言っているのが新鮮で面白かった!
そしてガルグイユ(元々はフランスの郷土料理で今は地元の野菜を美味しく食べるというような意味)というメイン料理も全て野菜。たくさんの野菜があらゆる調理方法で作られています。驚いたのはエノキの茎の根元、いつもエノキの茎の下の方は捨ててしまっていたけどこんなに美味しい物なんですね。
デザートはほとんどが果物のタルト。食べていた時に下のタルト生地に少し塩気を感じたので聞いてみたところ、ホワイトチョコ、山椒2種類の生地だそうでクランブルと言うらしい。日によって変わるメニューを的確にすぐにきちんと説明できるサービスの人は実はそんなにいなくて、なかなか料理中のシェフには話を伺うことが出来ないので、こういうプロのサービスの人に出逢えるのは嬉しいのです。
支配人の金井次郎氏は今は無い東京のイタリアンの名店で働いていた経歴の持ち主。明神館で働いた後、5年前の2月に田邉真宏シェフと共にヒカリヤニシに来られたのだそうです。
レストランとしては長野県で唯一のルレ・エ・シャトーのメンバーにもなっています。
お話の中で、ヒカリヤニシが2020年10月からコンセプトやメニュー構成、価格帯を変えていく予定であることを伺いました。田邊シェフのフレンチをベースにした健康を大切にという基本は変えず、マクロビオティックのしばりを外し枠を超えて美味しく召し上がっていただく、身体と精神の健康を保つ「ウェルネスガストロノミー」というコンセプトへ変えていくとのこと。レストランが好きと明言される金井支配人と話をしていて本気で新しいことに挑戦するわくわくする感じが伝わってきました。人がレストランを進化させていくこと、そして一番大切なシェフの料理とサービスのバランスが取れていることの大切さを改めて感じました。なるべく早くその進化、見に行こうと思います。(2020年9月訪問)
レストラン名 | ヒカリヤ ニシ |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 長野県松本市大手4-7-14 |
TEL | 0263-38-0186 |
予算 | ランチ 5,000円〜 ディナー 8,000円~(税サ込) |
座席 | 36席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 可 |