金比羅宮(こんぴらさん)から車で約30分。参拝後のお宿に選んだのは自然あふれる渓谷の畔にある温泉宿「湯山荘 阿讃琴南」。渓谷に架かる橋を渡って入口へと向かう、この風情がなかなかのもの。まさに宿屋のキャッチフレーズである「渓谷の奥座敷にある里山の別荘」というムード満点です。小惑星MANNOUCHOの命名の由来になったまんのう町にあって、それほどこの地は夜に星が美しいのです。
四国でもこの辺りは冬はかなり冷えるようで、訪れたのは雪が少しだけ舞う寒い日。宿に入るとラウンジには暖炉があって温かく出迎えてくれました。
2017年にオープンしたこの旅館は、全28室。本館のほかに、山の斜面に里山ヒュッテと言う別荘風の離れもあります。特徴的なのは、里山ヒュッテのうち4室がワンちゃんも一緒に泊まれる部屋で、ドッグランの設備などもあります。
犬のいない私は本館の温泉露天風呂付きの和洋室に滞在しました。ウッドテラスも付いている洗練されたつくりです。
森の緑を目の前にした河畔風呂は内風呂と露天風呂があって、自家源泉である美合温泉のとても心地よい良いお湯です。翌朝男女入れ替えとなって入ったのは、普通の露天風呂に加えて寝湯と深湯。とりわけ深湯は立って入っても胸の上までの深さで、立ち湯より少々浅いけれど、立ち湯が大好きな私には嬉しいお風呂です。金毘羅さん参拝で、長い石段を上った疲れが溶け出して癒される気分。
温泉までの渡り廊下も鄙びた秘湯ムードがあって素敵です。
ただし大浴場の洗い場がなぜか寒風が吹きすさびめちゃくちゃ寒かったので、これは改善しないと身体に悪いかと思いました。
宿のスタッフは皆サービスも感じよく、そのうちお食事処にいた2人のネパール人スタッフとの話が弾んで楽しいひと時でした。
食事はメインダイニング「穀雨」にて、夕食は個室でなく、朝食は個室でした。美味しかったのは里芋の豆乳コラーゲンスープとコシヒカリのご飯、そして鯛味噌とか佃煮。肉料理として出されたオリーブ牛和風シチューは塩味が濃すぎて、サーモンポテト焼きは冷めていて添えられたペンネパスタが乾いて固くなっています。他の料理は美味しかったので残念です。
総合的にみると、この旅館は客層を絞れていないように感じました。せっかくいいお湯があって、和洋室で居心地の良いお洒落な内装で高級感を出そうするなら、食事をもっと工夫しないといけないでしょう。最近はコスパのいい温泉宿の料理もかなり美味しくなっているから、差別化できる内容の食事が求められるかと思います。食事が美味しい宿こそリピートしたくなるからです。(2021年1月訪問)
旅館名 | 湯山荘 阿讃琴南(あさんことなみ) |
住所 | 香川県仲多度群まんのう町勝浦1 |
TEL | 0877-84-2611 |
お風呂 | 大浴場 露天風呂 |
予算 | 2名1室利用の場合 1人18000円~(2食付き) |
露天風呂付客室 | あり |