香川県がうどん県と呼ばれるようになって早10余年。でも、もっともっと昔から讃岐うどんはこの地に深く根付いていました。1日に1回はうどんを食べ、自分好みのうどんを出してくれる「行きつけ」を持っているのは当たり前。県内にうどん屋さんは星の数ほどあるのです。
私と讃岐うどんとの繋がりも実は深いのです。京都で生まれ育ったものの、母は讃岐が出身地。子供の頃、夏休みに田舎に帰省する時に、当時は瀬戸大橋もなく宇高連絡船で本州から四国に渡っていました。連絡船のデッキにあった小さなうどん屋でうどんを食べるのが楽しみで、シンプルながらすごく美味しい!あのうどんの味を越えるうどんに、その後出会うことがありませんでした。旅の途中、船の上でワクワクしながら食べるうどんだからなおさら美味しかったんでしょう。今でもJR高松駅構内に「連絡船うどん店」があるけれど、知り合いに訊いても、「同じうどんでも船で食べたのはあんなに美味しく感じたのが不思議」とのことでした。やっぱり!
うどん初心者は「フルサービス」と呼ばれる店から始めるのがおすすめ。メニューで見て頼んでテーブルまで運んでくれるスタイル。少し慣れたら「製麺所」タイプの店へ。麺は茹でてくれるので自分で味付けとトッピングをします。もっと慣れたら「セルフ」と呼ばれる、自分で茹でる店にも挑戦したいものです。讃岐の母を持ちながら、実は本格的なうどん屋に行ったことがない初心者の私が、今回初体験で選んだのは、「製麺所」タイプの「山越うどん」さんです。田園の中にポツンとあって皆がわざわざ食べにくる人気店です。入店するとすぐにおばさんが注文を取ってくれます。表のお品書きで何を食べるかは決めてあるのでばっちり。この店は「釜玉」発祥のお店です。やはりこれを頼まないと始まりません。釜玉はいわゆる釜上げ玉子うどん。茹でたてのうどんに卵を絡めてあり、うどん玉は1玉が小、2玉が大、4玉まで注文できます。私は「釜玉小」とオーダー。トレイに載せたどんぶりには美味しそうに玉子が絡んだ茹でたてツヤツヤのうどんが。カウンターを進むと出汁のコーナーがあって好みでつけだしをかけられますが、あえてここではかけない方がいいかも。
テーブルにも出汁や薬味が置いてあるので、席に着いてからゆっくり味を見ながらかけるのがおすすめです。かけすぎに要注意!!天ぷらコーナーもあって別皿でちくわとかイカ天とか一緒に楽しめます。ただしこちらは精算の時に一緒に頼む必要があります。
ひと通り用意したら、いざ屋外のテーブルへ木の渡り廊下を歩いて行きます。寒い中すでに多くの人がテーブルに分散してうどんを楽しんでいます。本当に四国の冬は寒いです。屋外という究極の3密防止の環境の中、「こんなに寒いなら熱々のかけうどんの方がよかったかなあ」などと愚痴りながら、震えつつ釜玉を頂きます。熱々の釜揚げうどんに卵かけご飯のように卵がかかっていて、適量の出汁とネギをそえて。食べてみるとやや太めで、もっちりしてちょうどいいコシがあるうどん。ツルリンツルリンとどんどん行けてしまいます。これは美味しい。「釜玉山」という山芋をかけたバージョンもあるので、両方要トライです。オーバーを着てこうして中級者向きの店を制覇した今、私もやっといっちょ前の讃岐の娘と言えるかな?
(2021年1月訪問)
レストラン名 | 山越うどん |
ジャンル | うどん店 |
住所 | 香川県綾歌郡綾川町羽床上602-2 |
TEL | 087-878-0420 |
予算 | 300円~ |
座席 | 90席 |
個室 | なし |
予約の可否 | 不可 営業は9:00から13:30だが、できたて麺終了時点で閉店 |