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    アトリエオーハウス(西予市宇和町/愛媛県) 里山に建つ1日1組限定、究極のアートな宿

    アトリエオーハウス
    自然に囲まれた環境も最高

    自然に囲まれた環境も最高

    愛媛県南部、田園風景の広がる西予市の田舎ののどかな里山に建つ、1日1組限定の宿があります。オランダ人の石の彫刻家であるケース・オーウェンス氏が選んだ西予市宇和町のこの地に、ギャラリーのような一軒家のホテルがあります。氏がメキシコへ移住した後、この邸宅は一般のゲストが泊まれるホテルになったのです。室内にも外のガーデンにも氏の作品が飾られたアート空間を独占できる限りなく贅沢な一夜。実際に泊まってみたら、実はもっと贅沢なことがたくさん待っていたのです。さて、一体どんな秘密の贅沢が隠されていたのでしょうか?

    タクシーの運転手も知らなかった宿

    こんなのどかな田舎にどんなホテルが現れるのか?

    こんなのどかな田舎にどんなホテルが現れるのか?

    その日は城下町大洲に泊まっていたため、そこから宇和町にあるオーハウスまでは車で約30分と聞いて、タクシーで向かいました。運転手さんはなんだか横柄な感じで、荷物も手伝ってくれず、乗り込んで宿名を言っても、「そんなん知らんわ」という始末。まあ新しくオープンしたから知られていないんだと気を取り直して住所を言っても、ここら辺の田舎のタクシーにはナビが付いていないのが多いようで。結局こちらのスマホを見ながらの誘導となりました。

    リビングルームはとにかくゆったり広々

    リビングルームはとにかくゆったり広々

    なんとか宿の近くまで来て、小さな標識に沿って細い道を入っていきます。一体こんなど田舎にどんなホテルがあるのやら。えらいところに連れてこられたわ…みたいな不審そうな運転手さん。しかし行き着いた先にあったのは、竹林に囲まれた素朴な風景とは不釣り合いな立派なゲート。それが自動的にオープン!車が到着する寸前にそのゲートから二人の男性が飛び出してきました。2人ともユニフォームに身を包んだシャキッとした、どうやらホテルのベルボーイさん?どうして車が来たのが分かったのでしょうか??車から降りると、ギョッとした表情の運転手さんは慌ててトランクの荷物をベルボーイさんに渡しています。すごいホテルとわかったようで、最後には満面の笑顔で急に愛想良くなった運転手さんでした。

    ケース・オーウェンスが選んだ悠久の里山

    このハンモックに寝そべって1日中読書したい

    このハンモックに寝そべって1日中読書したい

    オランダ人アーティストであるケース・オーウェンス氏は京都で造園を学んだ後、この地が気に入って20年以上暮らしたそうです。奥様がメキシコ人なので今はメキシコに移り住み、そちらで創作活動を続けているとか。日本では知名度は高くないものの、海外では高い評価を受けています。彼がここを離れた後、しばらく放置されていた邸宅を今のオーナーである越智仁文氏が購入し全面的に改装、2020年初夏にホテルとしてオープンしました。越智氏は同じ愛媛の砥部にて有名な高級リゾートホテル「TOBEオーベルジュリゾート」を経営している方です。

    奥道後温泉から温泉の湯を引いてきたという露天風呂

    奥道後温泉から温泉の湯を引いてきたという露天風呂

    建物に足を踏み入れると、そこはすでにわれわれが泊まる一軒家の広々としたリビングルーム。窓際には食事するためのロングテーブルが存在感を見せています。大きなソファとTVスクリーン、端の方にバーカウンターとシェフがサーブする際のミニキッチンやワインセラーもあります。すべてがスタイリッシュでため息が出るほど。あちこちに飾られたアート作品が目につきます。私はとりわけ壁に飾られているカラフルな絵画が気に入りました。もちろんオーウェンス氏の作品です。大きなガラス窓からは竹林や田園の緑の風景が見えて癒されます。こんな田舎の中にこれほどお洒落な邸宅があることのキャップがすごいのです。
    館の外の坂道を登っていくと、ハンモックが用意されています。寝てみたら、見える風景はすっと伸びる木々の幹と緑の葉が生い茂る眺め、そして木々に切り取られる青空。夜には水鳥やカエルの鳴き声がするそうです。

    快適な邸宅の設備

    天窓があって手元のコントローラーで開閉ができる

    天窓があって手元のコントローラーで開閉ができる

    邸宅内の設備はすべてが新しくてとても充実しています。ベッドルームが2つあって、トイレも2つ。各部屋とその通路など合わせて4か所にミニバーが設置してあります。冷蔵庫の中には愛媛だけあってマドンナやせとかなど数種類のみかんジュースがあったのも印象的。またとても役立ったのは全自動洗濯機。見えない場所に設置されていて、扉を開けたら登場。旅の途中に洗濯できたのも大助かりでした。長く滞在する人もいるからなのでしょう。
    急な木の階段を上ると、ロフトスペースが「屋根裏部屋」と呼ばれるライブラリーになっていました。オーウェンス氏の愛した書籍やアート関係の本などがたくさん見つかります。

    新しいホテルなので設備も最新のもの

    新しいホテルなので設備も最新のもの

    バスルームも眺めのいい素敵なしつらえで、シャワールームの奥に白い大きなバスタブが絵になっています。窓からの眺めも最高で、バスタイムも楽しみです。それとは別に屋外に石の露天風呂があります。なんと南道後温泉から温泉の湯を引いてきたそうです。いいお湯の露天風呂に浸かって上を見上げれば、木々の間を飛び交う鳥やトンボの姿が見えて、そよ風も心地よく、いつまでも入っていたくなるお風呂なのでした。

    そのサービスにも驚きが

    到着後、まずは抹茶でもてなしてくれる

    到着後、まずは抹茶でもてなしてくれる

    ゲストが滞在中はスタッフがすぐそばの小屋に常駐しているので何かと安心。そして最初ベルボーイさんかバトラーさんかと思っていた男性スタッフ2人組は話をしているうちに、なんとここのオーナーさんと息子さんだと判明したのです!!こういう一組だけの高級宿だから、オーナーさんたちが直接ゲストの相手をしてくれるのだそうです。ずっとゲストを入れると、松山にある自宅に戻れなくなるから、基本月に10組程度しか予約を受けられないのだとか。他人やスタッフには任せないという姿勢が素晴らしいのです。1軒貸し切りの古民家宿などには、鍵をもらってお終いというのもあって、スタッフがいればいい方で、オーナーが常駐しているところはほとんど見かけないからです。でもここでは都合のつく限りオーナーさんがいるのです。

    ガーデンでバーベキューなどもできる

    ガーデンでバーベキューなどもできる

    26歳の息子さん越智賢志郎氏がマネージャー的な存在で、若いのに日本中の宿や美食店を視察した経験と知識を持っていて、しっかりしておられるのも頼もしい限り。とりわけスイーツの名店めぐりのラインナップはプロを超えるほどなのです。
    それにしても砥部オーベルジュリゾートの社長さんでもあるこのホテルのオーナーが自ら食事時のサービスや露天風呂の管理に掃除など下働きも兼ねたゲストサービスをしているというのが驚きです。社長さんの椅子にふんぞり返っているのとは大違いです。こちらとしてはお陰でいろんな会話も楽しめて、なかなか得難い時間を過ごすことができました。

    プロのシェフが一組のゲストだけのために料理する

    陶芸家・岩崎龍二氏の美しいお皿に載ったアミューズ

    陶芸家・岩崎龍二氏の美しいお皿に載ったアミューズ

    オーハウスでは食事についても特筆すべきことがあります。なんと一組だけのゲストのために有名シェフが料理を作りに来てくれるのです。通常は提携している「砥部オーベルジュ・リゾート」のシェフが来ます。前回そちらのホテルに泊まった際も料理が美味しかったのですが、そんなシェフを独占できるなんてビックリです。サービス係はオーナーと息子さん。こんな贅沢なディナー他にあるでしょうか?連泊するゲストのために、松山の有名寿司店の大将などにも話をしたら、皆さん喜んできてくれることになったそうです。こうした宿に泊まるゲストは口も肥えているから、たまにはそうしたゲストの相手もしたいというわけです。

    旬の野菜と瀬戸内の魚介類の前菜

    旬の野菜と瀬戸内の魚介類の前菜

    厨房は部屋の外の見えないスペースにあって、シェフが準備を進めていました。18:30ディナータイムのスタートです。まずは素晴らしいアミューズ4皿から。お皿も砥部焼の他に有名陶芸家のものも登場します。最初は白地にブルーのクジャクの羽根のような柄の大皿の真ん中に、トマトと蜂蜜のグラニテ、その上にシマエビを載せて。色彩も美しく、新鮮で美味しいアミューズ。熱々の揚げ立てキスのベニエ、スモモのコンフィチュール添え。赤酢で〆た太刀魚、黒鮑の蒸し焼きと続きます。前菜は旬の野菜と瀬戸内の魚いろいろの盛り合わせ。里芋と白味噌のポタージュも優しく滑らかで深い美味しさです。魚、肉、デザートと続き、薫り高いコーヒーと共に大満足のままにディナータイムは終わりました。ちなみに朝食は別の和食の料理人が来てくれました。一つ一つ丁寧に作られた料理の数々に、地元の名産、じゃこ天のフライも入っていたりして、とても美味しい朝食でした。

    データとまとめ

    廊下にも部屋にもオーウェンス氏の絵が飾られている

    廊下にも部屋にもオーウェンス氏の絵が飾られている

    宿データ

    宿名アトリエオーハウス
    住所愛媛県西予市宇和町伊延東1040番地
    電話089-907-1655
    アクセス松山空港、松山市内から約1時間 無料送迎サービスあり
    予算4人で滞在の場合 1人78650円から108900円 2人で滞在の場合1人 157300円から217800円 (いずれも2食付き)4人まで滞在可能。子供連れの場合は要問合せ。また素泊まりプランや連泊プランもあります。
    宿でのプログラムスパプログラム(有料)
    宿のwebサイトhttps://o-huis.com/
    オーナーの越智仁文氏と息子さんの賢志郎氏と

    オーナーの越智仁文氏と息子さんの賢志郎氏と

    まとめ

    いかがでしたか?こんな田舎の地で美術館のように素敵な邸宅ホテルがあったのです。そして有名シェフによるお食事や、オーナーさんのきめ細かなサービスを受け、普段は味わえない贅沢な滞在を体験することができました。できれば2家族や友人4人集まって泊まりに行くのがお得です。アートやグルメ好きのあなたなら気に入ること間違いなしです。
    (2021年9月訪問)

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